第2話 うらやましい
私の名前は
元々農家だったのだが、農家を嫌った両親は離農して公務員となり、田畑は貸している。それでも代々農家だった家の土地だけは広い。里山のふもとにある我が家の裏には裏山があるがそこも自分の敷地だ。裏山も3つあり、裏山A、裏山B、裏山Cとある。うらやましいか?。ただの放置山林だ、何の価値も無い。
事実上引きこもりになってしまったので、脱出口を探したが見つからなかった。自宅の敷地境界には見えない壁の様な物があり、玄関口からだけは出られるが砂漠の真ん中である。車で砂漠を走ってみるがガソリンを給油出来ないので探索は早々に諦めた。
さて、なぜ自宅前砂漠が異世界だと感じたかをお話ししよう。そこには夜が無いのだ。太陽は斜めの一定の位置にある。日本で言えば午後3時ぐらいの位置であるが、そこに停止してまったく動かない。風はそよかぜ程度が吹く。温度は28度一定、湿度は80%一定、雲は見えるが雨は降らない。おそらく季節も無い。
とりあえず太陽の方向を北と仮定すると、東西南方向は地平線の見える砂漠。北方向は木の一本も生えない岩山がある。動物も見えないし植物も無い。虫もいなければ、微生物さえ(多分)居ない。
大地以外は何も無い。こんなに広い空き地があるのに、何も出来ない。水が無いから。
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