80話VR授業のお時間!





 大切な仲間であるルーク、アリシア、エリザベス、コタローが生きているこのハンティングワールドオンラインのゲーム世界を守る決意をした晃、沙羅、葵、桜でありました。


 葵が立ち上がり「みんなの決意は分かりましたわ、さあ明日から勉強もしますわよ、もう期末テスト直前ですわよ」


「あまりに楽しい毎日に忘れかけてたわ」

「葵姉、いきなり現実に引き戻すのはまいったでござる」

「こりゃ一本取られたな、ははは」

 思わず顔がこわばり苦笑いを浮かべる沙羅、桜、晃であった。


「おやすみー!」

「お休みなさい!」

「ワン!」


 ワープで湖畔の屋敷に戻ってきた晃達は寝床についた。


 そして翌朝学校に登校して授業も終わり、またハンティングワールドオンラインにログインしたところである。


 ダイニングルームの扉を開けると、「ワフ!」

と興奮したコタローが飛びついてくる。


 そして室内を見渡すと巨大な長テーブルにルーク、アリシア、エリザベス、沙羅、葵、桜が腰掛けており中心には初対面のスーツを着た30過ぎの男性がいた。


 その人物は晃の視線に気付くと、立ち上がり晃に近づいて来る。


「私はセンターシティでVR学習塾を経営し、講師も兼ねる柳田陸男と申します。縁がございまして、龍ヶ崎姉妹の家庭教師も務めております、この度はこの場にいる全員の勉学のお手伝いを申し渡されております、つきまして木崎晃君の勉学のお世話もさせて頂きます」と手を差し出し来た。


 有名な塾講師として名前を聞いた事がある、お金と言う名の縁だろうな……などと考えながら握手を交わす、龍ヶ崎グループマネーのお世話になるのは心外だが、柳田先生の教えには興味がある。


「ところで何でルーク、アリシア、エリザベスも座ってるの?」


「もちろん俺達も勉学を教わっている」

「算数はかなり進んだのじゃ!」

「理科も面白いですわ」


「彼らには才能がある、あっと言う間に小学校の高学年レベルに達したよ」


「ちょ! キャハハ晃君追いつかれるのも時間の問題ね!」沙羅が笑いながら囃し立てる。


「何おー!」

「おほほほほ! さあ晃君も席につくのですわ!」座ると膝にコタローが飛び乗る。



「ではこの世界の御三方には、算数の宿題をやってもらっているとして、高校2年生の君達にはそちらのカリキュラムに入るとしよう! 但し基本を教えます、授業を一度聞いただけで内容を覚えてしまう天才なんてのは存在しません。先生の祖父の時代は授業が終わったら、習った事は何でもかんでも単語帳に書き出し、面に問題、裏に答えを書いて5回連続で答えられたら破り捨てるというやり方をしていたらしいです。英語だけでなく漢字や歴史、地理などの暗記問題は当然として数学物理の公式まではこれでカバー出来ます。私の父の時代はスマホと言う便利な物があったのでメモにどんどん登録して風呂場でもトイレでも反復記憶したと言ってました。まして現在では眼鏡端末やコンタクト端末の時代です、便利になりました。でも歩きながらスクリーンはダメですよ、二宮金次郎の時代とは交通量が違いますから」


「はははは!」晃は笑いながら楽して学力が上がる方法はないのか、やはり努力が必要なのかと納得するのであった。



「あと英語は日本語に無い発音を最初にマスターするのは重要です。例えばRの発音は舌をくるっと巻いてアーと言うとか、Vは下唇を口に入れてヴと発音するなどの基礎は大事です、現在は動画チャンネルとかでネイティブな英語を聞くことが出来る君達は幸せですな……」


 などと柳田先生の分かりやすい授業が2時間続いて行く。


「今日の授業はこの辺で終わりにしましょう」


「ありがとうでござる」

「ありがとうございました」

「では狩りに行きますわよ!」

「おー!」

「ワン!」


 みんなで楽しく学び、楽しく狩りに行く晃達でありました。







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