65話奴隷密売組織クランノストラの三天王!
「さあ! 今日のカモを探してこい!」
魔法のスクロールから、使い魔のフクロウが5羽が飛び出し四方に飛び立っていった。
彼らのパーティーの名はブラックスネークス……通称ブラスネ、ハンティングワールドオンラインでは主にPVPに特化したパーティーである。パーティーの仲間は皆同じ大学に通う連中で構成されている。
メンバー構成はリーダーであるエイジが魔法剣士で他には、タンク、魔法使い、神官、槍士とバランスのとれた普通のパーティーに見えるが、さらに暗殺者(アサシン)が3人隠れる様に追随しており、彼らこそこのパーティーの要である。
PVPの際に表向きは正攻法で戦いながら、後ろから暗殺者(アサシン)達が不意をつくという戦法でハンティングワールドオンラインのPVPランキング5位につけているパーティーである。
5位につけている理由はメンバーひとりひとりがレベル95超えで、ハンティングワールドオンラインなかでは100位以内の高レベルなのと、またリーダーのエイジが常に使い魔を飛ばして戦う相手を観察してから、戦略を練るという慎重な姿勢こそがこのパーティーを高ランクに保っている秘訣である。
「あれ! 使い魔のフクロウ5羽が全部撃ち落とされたぞ!」
目の前には3人の人間が微笑みながら立ち塞がっていた。ひとりは暗黒の鎧に包まれている190センチはあろう長身で筋骨隆々な筋肉の持ち主。
もうひとりは対照的に純白の鎧に包まれた細身ではあるがやはり185センチはあろう長身である。
そして最後の一人は黒いゴスロリドレスを着た美人女性。
「何! 欧米人? NPCなのか?」
暗黒の鎧を纏ったボスらしき欧米人がいきなり目にも止まらない迅速さで斬りつけて来た……エイジの左腕が吹き飛ぶ。
ブラックスネークスのタンクが大楯を構えながら前に出る。
「なんだコイツら、強い! しかも笑ってやがる!」タンクのリュータロウの大剣を持った右手も純白の鎧の男に切り落とされた。
「アサシン達は何をやってるんだ?」エイジが後方を見渡す!
「あらコイツらの事かしら、もうすでに死んでるわよ! ほほほほ!」3人のアサシン達が黒いゴスロリドレスの女の持つ刺突系の剣に刺され消失して行くところであった。
既に左腕と右足を失ったブラックスネークスのリーダーエイジはなすすべも無く暗黒と純白の鎧を着た戦士に仲間を斬られるのを見ている事しか出来なかった。
PKを専門にする事に決めたブラックスネークスはレベルアップのスキルポイントをスピードに割り振る事を重視していた。派手な火力が有効の対モンスターパーティーと違い、対人戦ではスピードが物を言う。そして隠密の暗殺者(アサシン)を巧みに使い不意を突くスタイルがブラックスネークスの武器であったはずが、そのスピードで全く歯が立たないのである。しかも3人とも笑いながら8人の仲間達の手足を斬り落として行く。
「コイツら狂ってやがる……!」
叫びながら消失して始まりの神殿に飛ばされたエイジであった。
その3人は奴隷密売組織〔クランノストラ〕の三天王と呼ばれている連中である。暗黒の鎧を纏った戦士がボスの〔暗黒のキルドレッグス〕黒髪の短髪の白人男性、純白の鎧を纏った戦士が〔白のアルカイン〕見事なブロンドのロン毛の白人男性、黒のゴスロリドレスを纏った黒髪ロングの白人女性が〔黒のシェパード〕である。
暗黒のキルドレックスが「楽勝だったな! アース大陸の連中は殺しても、死に戻りをするらしいな……それが奴らの強さの秘訣らしいが、そんな奴らを屠る事で俺たちはさらなる強さを手に入れられる、ははは!」
白のアルカインが「黒のシェパードよ、お前を脱獄させるのに多くの王国兵士を倒しましたが、はっきり言って奴らは弱すぎでしたな、アース大陸の連中の方が骨がある」
「そんな事より、私を牢屋行きにした連中の居場所はわかってますの、早く復讐したくて……」
「分かっている、今から向かう……馬に乗るぞ」
PK前に近くに繋いでいた馬に乗り込む3人。
そして湖畔の屋敷が遠くに見えてきた、「懐かしいわね! あの屋敷は私が幼少の頃住んでいた場所じゃない! なぜここに?」黒のシェパードの両親こそ、王と反対派閥を作ったという事で処罰され、湖畔の屋敷を手放さざるを得なくなった没落貴族であった。
湖側の裏庭が見える反対側の岸辺から隠密スキルと遠視スキルを駆使して晃達を覗く3人……。
楽しそうに釣りをやっている連中が見える。
「あれは、忘れもしない……私を牢獄に追いやった疾風の晃とエルフ達じゃない! なんでよりによって奴らが、私の住んでいた屋敷で楽しそうにやってるのよ、一体どういうこと」
「次のターゲットは決まりだな!」
沙羅が合流して来て明るさを取り戻した晃達に、奴隷密売組織クランノストラの三天王の襲撃が始まろうとしていた。
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