66話決して負けられない戦い!




 沙羅が合流を果たす事により、明るさを取り戻した晃達を観察する、奴隷密売組織クランノストラの三天王達であった。

 彼らはNPC(ノンプレイヤーキャラクター)でありながらハンティングワールドオンラインのランカーである晃に匹敵する程のレベルを持つ。


 リーダー格の暗黒のキルドレックスが「奴らの人数は俺たちより多いが強そうなのは、あの疾風の晃とやらとエルフ兄妹の様だな……」


「その通りですわ! 私ひとりでは流石に捕まってしまったけど、最強の私達なら問題ないですわ! それに私達アース大陸の連中を狩る事で以前よりさらに強くなっているのを感じますわ!」黒のシェパードがのたまう。


「よし、惨殺するとしよう!」


「沙羅姉! お帰りでござる! 晃お師匠がヤバいくらい心配していたでござるよ!」


 沙羅の合流に湧く晃達! 照れ笑いを浮かべる晃だったが、突然探知スキルが警告を発して来た!


 振り返る晃! 館の陰から現れたのは3人。


 女性の顔に見覚えがある、「確か、奴隷密売組織の黒のシェパードとか言ったな、なんでこんなところに……確か王国の牢獄に入れられているはずでは?」


「その節はお世話になりましたわ、この奴隷密売組織クランノストラの三天王の二人である暗黒キルドレックスと白のアルカインが私を脱獄させてくれたのですわ! 今日はあの日の屈辱をあなた達を屠る事で晴らしに来ましたわ! あなた達アース大陸の連中は死に戻りが出来るらしいけど、お仲間のエルフさん達はそうはいきませんもの、仲間が惨殺されたらさぞかし悲しいでしょうね、

ホッホッホ!」


「なんだと俺達に勝つつもりか!」ルークが背中から魔剣グラムを抜いて構える。


 晃は3人を観察する、PVPの基本は相手の強さや戦法を職業や装備から見抜く事だ……。


 ひとりは暗黒のキルドレックスと呼ばれた男、身長190センチとルーク並みに高い、漆黒の鎧を纏った剣士の様ではあるが、ステータスは暗黒剣士と書かれている、そんな職業聞いたことがない。NPC独自で進化したレア職業なのか? レベルがヤバい、120とランカーである晃のレベルを2上まっている。正攻法で戦ったらまず勝てない。


 そしてもう一人白のアルカイン、純白の鎧に身を包んだ剣士で、聖戦士という……やはりレア職業の様である、こちらもレベル115とルークと拮抗している。


 かつて晃に借敗した黒のシェパードもあの時よりレベルが上がっている。


「こいつらかなりヤバいぞ! 暗黒の剣士は僕が、白いのはルークが、黒のシェパードはアリシアが相手するんだ! 葵は何が何でもエリザベスを守ってくれ! 沙羅と桜は、葵のガードの下で投擲か弓のみで参加、間違っても直接対峙するなよ!」


「了解したぜ!」

「わかったのじゃ!」

「了解しましてよ!」

「わかったわ!」

「ラジャーでござる!」

「ワン!」


 いつものようにコタローが葵の肩当ての上に飛び乗り、臨戦態勢に入る。


 葵の後ろに回るエリザベス、沙羅、桜!


 そして暗黒のキルドレックスと対峙する晃、「小僧! 果たして俺の剣を止められるかな!」


 妖刀イザナギと、炎魔刀飛燕を二刀流で構える晃、正攻法で戦う気は無い!


 そしてすかさず黒光りする剣を構え斬りつけて来た、速い……しかもパワーも甚大である。

 受太刀した炎魔刀飛燕が力負けし弾き飛ばされた。


 苦戦必至ではあるが負けたら、ルークやアリシア、そしてエリザベスと言う仲間達を失う事になる、決して負けられない戦いの火蓋が切られた、湖畔の屋敷の広大な裏庭であった。




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