第61話至福のひととき……体育の授業!?


 遂に湖畔の立派な屋敷を拠点として構えた晃達であった。

 自身の居城を持つことでエルフに対する人種差別やコタローを室内で飼うことへの気遣いが無くなるので最良の選択と言えた。


 学校の教室なみに広いダイニングルームで晃達はくつろいでいた。まだまだ家具を揃えてないのでだだっ広いだけの空間である。


「ほい! 投げるわよコタロー!」

「ワフ!」

 沙羅がゴブリンの骨を投げると尻尾をプルプル振りながらコタローが骨を拾ってくる。「コタロー偉いわよ!」コタローの頭をなでなでしながらドラゴンジャーキーと骨を交換する。

 美味しそうにドラゴンジャーキーを頬張るコタロー!

「次は私の番でござる! コタロー行くでござる!」次は桜がゴブリンの骨を投げる。

「ワフ!」

 見ているだけでも心が癒される。


「晃、柔術のスパーリングやろうぜ!」ルークが晃に声をかける、「いいっすよ! やりましょう!」


 晃とルークが向き合い取っ組み合いを始めると

「ワン! ワン!」2人が喧嘩をしていると勘違いしたコタローが割って入って来た。


「オホホホ! コタローさん大丈夫ですわ!

晃君とルークさんはじゃれあってるだけですのよ! 骨遊び再開ですわよ! そーれ!」


 葵がゴブリンの骨を投げるとプルプル尻尾振りながら拾いに行くコタロー。


 アリシアとエリザベスはアニメを仲良く鑑賞してる。「チョーイケメン登場よ!」「かなりイケてるわね、あんなのに壁ドンされたらたまらんわよね!」2人とも腐女子化しつつあるな。


 ルークが蹴り攻撃と見せかけてのタックルを行ってきて晃に寝技を仕掛ける、晃も対抗するがなかなかマウントポジションがとれない「ルークやるじゃないか?」「ふははは! 連日のお前との柔術練習のおかげで俺の柔術スキルが上級に進化したからな!」


「なんだと! 僕と同じじゃないか」慌てた晃はエンシェントファイヤードラゴンを倒した時に大量にもらえたスキルポイントを柔術に割り振る。


 柔術スキルが上級から達人級に変わった。ちなみに達人級の上には精霊級や神級がある。


 達人級へと進化した晃は魚のような動きで不利な下側のポジションから三角絞めを極めてルークからタップを奪った。

「さすが晃だな、まだまだかなわないぜ……」

「はははは、いつでも挑んでこいよ」



 なんか和やかで楽しいな、ゲームの中でこんなに団欒出来るとは……と感じる晃であった。


「お休みー!」

「お休みなさいでござる」

「お休みですわ」

「ワン!」

 それぞれが個室に戻って寝る、コタローと一緒に寝る権利はじゃんけんで勝った人が権利を持つ。

 今回のコタロー権は晃が勝ち取ったのでベッドに横になった晃がポンポンと腹をたたくとコタローが乗っかって来た。

 そしてコタローをなでながら寝る晃であった。


 そして翌日……晃はの学校の授業、体育の時間である、その日の男子は柔道、女子は創作ダンスと分かれている。


 晃は柔道が苦手であった。柔道は本来体重が重いほど有利であるのにかかわらず、この授業では、背の高さ順で相手を組まさられる。


 痩せていて173センチの中背の晃はそれなりに重量級の相手と戦うはめになり、連戦連敗が続いていたのである。


「さあ組手開始だ、それぞれ右隣りの相手と組みなさい!」

 体育教師の号令がかかる、晃の右隣りは野球部の森岡だった。体育部で運動神経抜群だけに勝てる気がしない。


「また木崎相手かよ、帰宅部でゲームおたくと戦わされるなんて、なんの練習にもならんな……」

と晃を見るなり、森岡がひとこと……。


 このひとことには晃の闘争心に火が着くこととなった。



 投げの大技を狙う森岡に対し腰を落としながら組み付いた晃は、相手の動きに肩透かしをかけながら寝技に持ち込み、袈裟固めを見事に決めた。


 もがく森岡、しかし袈裟固めからの脱出はむりだと判断したのかタップした。


「おーすげぇ! 木崎が森岡に勝利したぞ!」


 クラスメイト達が晃のまわりに集まる……ルークとのモーションキャプチャーモードでのスパーリングは決して無駄では無かったなと胸を張る晃であった。





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