第58話アリシアの秘技炸裂……!

58アリシアの秘技炸裂……!


 エンシェントファイヤードラゴンにわずかながらも打撃を与え、Sランクパーティーに実力を認めさせることに成功した晃達であった。


 最初は晃達を邪魔物扱いしていた「殲滅の嵐」の連中も考えを改めた様子であった。


 闇の閃光のリーダーであるフィッツジェラルドが「よし! 共闘しよう、指示はお前に任せる!」と晃に向けて言い放つ。


「まじかよー……またもや無茶振りかよ!」

焦る晃……沙羅がニヤニヤしながら「頑張って晃君!」


「わかったよ! やればいいんでしょ! 奴の左脚を集中攻撃だ!」


 リカルドと名乗ったいかつい体格をした「殲滅の嵐」のリーダーがパーティーメンバーに「お前達も晃という奴に従え、奴らの実力は見ただろう?」


「わかったぜ、リーダーの言う通りにしよう!」

「殲滅の嵐」の重戦士達が次々とエンシェントファイヤードラゴンの左脚にバルディシュやハルバートで斬りつけて行く。流石にみんなレベルが高いだけあって魔法効果も伴う斬撃て派手な光学エフェクトを放っている。大ジャンプ攻撃が出来る晃と違って彼ら重戦士達はジャンプが出来ない……故に左脚集中攻撃が正解であろう。


 さらに晃が叫ぶ! 「魔法使いは、水属性魔法を! 攻撃陣は雷属性で!」


「おうよ!」

「任せて!」

 アリシアと「闇の閃光」の魔法使いミレーヌがウオーターカッターを放つ! 水の刃がエンシェントファイヤードラゴンの左脚の皮膚の表層をきずつける。




 その攻撃に追随するかの様に「殲滅の嵐」の重戦士達が雷属性を帯びたバルディシュで攻撃を行う! 雷は水属性だけに、ウオーターカッターにより水分が残るエンシェントファイヤードラゴンの左脚の表皮をえぐって行く。雷は水により伝道性が増すのだ。


「さすがだぜ! 的確な指示だ!」フィッツジェラルドが雷属性を帯びた剣撃を叩きつける。


 晃、ルーク、沙羅も続けとばかりに攻撃に加わりエンシェントファイヤードラゴンの左脚から血しぶきが飛び散り始める。


 全長50メートルもある超巨大なエンシェントファイヤードラゴンも猛者達の一点集中攻撃に少しずつではあるが、ダメージを蓄積させていた。


 そして再び大地を揺るがす咆哮を上げて翼をはためかせ飛翔を始めた。


 猛烈な熱気を帯びた烈風が晃達やSランクパーティーを襲う。吹き飛ばされそうになりながらも晃は「逃すか! 出でよ風の精霊グリフォンよ! アリシア行くぞ!」


「やっと私の出番じゃな!」笑顔を見せ嬉しそうな表情のアリシアが晃と共に鷲頭獅子(グリフォン)に乗り込む。そして翼を広げて飛翔を始めた。


「なんだと! あいつら空を飛べるのか……」

驚愕の表情をしながらつぶやくSランクパーティーの面々。


 逃げるエンシェントファイヤードラゴンに接近して行くグリフォン、さながら大型ジェット旅客機に詰め寄る小型ジェットの様である。


 そして下に人がいない事を目視で確認した晃はアリシアに「ここなら大丈夫だ、リヴァイアサンぶっ放せ!」


「その言葉を待ってたぞ! 出でよ水の精霊リヴァイアサンよ!」


 上空1000メートルの空中に召喚されたリヴァイアサンは目の前に水の塊を球状に形成し始める。そして超巨大な水球が出来上がって行く。


「行っけー!」アリシアと晃が同時に叫ぶ!


 その超巨大な水球はエンシェントファイヤードラゴンの右翼を直撃し粉砕させた。


 墜落して行くエンシェントファイヤードラゴン! そして大音響と地響きを立てて地面に激突した。


「凄えな……」Sランクパーティーの連中も愕然と見守る。そしてエンシェントファイヤードラゴンの墜落箇所に向けて移動を始めて取り囲む。


 墜落ダメージがあるとは言えまだまだエンシェントファイヤードラゴンのHPは30パーセントも減っていない! 


「勝負はこれからだ!」

地上に降り叫ぶ晃に、「おうよ!」

と一斉に応ずるSランクパーティー達であった。


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る