第57話エンシェントファイヤードラゴン!



 エンシェントファイヤードラゴンは葵のオリジナル精霊である氷の女王シヴァの放った巨大な氷柱に左前脚を吹き飛ばされたことにより、手負い状態の凶暴さを剥き出しにすることとなったのである。


 大地が震えるかの咆哮を放つエンシェントファイヤードラゴン……その巨体から猛烈な熱気が放出される、「暑いわね!」沙羅がつぶやく。


 晃が「闇の閃光」のリーダーであるフィッツジェラルドに「奴はブレスを使いましたか?」と質問する。


「いや……まだだ、我々の攻撃では奴は本気になってなかったからな! それにしても精霊召喚魔法なんて初めて見た、凄いな!」


「本当にすごいわ!」闇の閃光の魔法使いミレーヌが葵を賞賛する。


 「それほどでもないのですわよ」照れる葵、その葵の肩当てに乗ってるコタローがなぜか誇らしげに尻尾をピンと立てる!



「ブレス来るぞ!」エンシェントファイヤードラゴンの様子を伺っていた晃が叫ぶ!


 50メートル級の巨体から放たれるファイヤーブレスはそれは火炎放射器の数十倍はあろう大きさのを持つ究極の灼熱の嵐であった。


「アイスロックウォール!」ミレーヌが叫ぶ!

ファイヤーブレスに対し、巨大な氷壁が現れた……しかしみるみるうちに灼熱により氷壁が溶解して行く!

「アイスロックウォール!」

 ルークが黒龍のロッドを使いミレーヌの倍はあろう氷壁を出現させた!


 その巨大な防壁も徐々に溶解されて行くが、なんとかブレスを止めることに成功する。


「エルフさんの魔法って、本当に威力が凄いのね!」ミレーヌが褒め称え、ルークが照れる。


 調子に乗ったルークが「出でよ! 我が精霊イフリートよ!」


 ルークのオリジナル火属性精霊であるイフリートが現れ、頭上に大きな炎の塊を作り始めた!


「こいつも精霊召喚出来るのか……」Sランクの連中がざわつくのを見て、ルークは得意げな表情を浮かべる。


 晃が「あのう……ルークさん……それは悪手ですよ、敵と同じ属性攻撃すると、無効化どころか下手すれば回復させてしまうかも、ゲームの基本原則……」


「あ……イフリートよ、キャンセルだ……」


 訝しげにルークを振り返ったイフリートが消えて行く。「精霊との親密度が1つ下がりました」

アナウンスが流れる。


「危ない、危ない! 私ももうちょっとでフェニックス召喚するところだったわ」沙羅さんのつぶやきに、苦笑いを浮かべる晃でありました。


 なんとも言えない空気が流れる……しかし、その間にもエンシェントファイヤードラゴンの怒涛の連続攻撃が襲う!


 右前脚の鉤爪と噛み付きの連続攻撃に「殲滅の嵐」の戦士2人が負傷する。すかさず彼らの神官が治癒魔法ヒールを掛けている。


 少し上昇して急降下してくる姿は、さながらジャンボ旅客機が自分に向かって堕ちてくる様な感じである。散開して避けるもやつの攻撃が地面に衝突し、その重量による圧力で物凄い大音量と共に飛び散った岩が晃達を襲ってくる!


「さあ気をとりなおして攻撃だ!」


「よし名誉挽回だ! 必殺ダークカッター!」魔剣グラムを手にしたルークが闇属性必殺スキルの闇の刃を飛ばす!


「兄者に続け! 必殺スパークリングショット」

アリシアの神剣白狐から光属性の必殺スキルである光弾が無数にショットガンの様にエンシェントファイヤードラゴンを襲う! 奴の身体から血しぶきが飛び散る!


「なんと! 魔剣に神剣だと!」騒つくSランクパーティーの面々……」


「俺達も続くぞ!」忍者スキルで大ジャンプをした晃と桜。

 愛刀である妖刀イザナギ改の必殺スキル20連撃を、そして桜の神刀水神が周りの空気を凍てつく空気に変えながら絶対零度の必殺斬りを奴の喉笛に決める。


 そしてエリザベスに飛翔能力向上させてもらった沙羅が魔槍ロンギヌスを必殺スキル呪いを伴いながら突き刺す、鮮血が飛び散り苦痛の咆哮を上げるエンシェントファイヤードラゴン。


 愕然とした表情を浮かべる「殲滅の嵐」の連中に対し、笑みを浮かべながら「闇の閃光」のリーダーのフィッツジェラルドが晃に接近、「お前たち俺の想像を遥かに超える強さだった……驚いたよ!」


「殲滅の嵐」のリーダー格も接近してきた「どうやら勘違いしてた様だ、俺の名はリカルド、共闘しよう!」と晃にガッチリと握手をして来た。


 こうして晃達は共闘することとなった……まだまだエンシェントファイヤードラゴンのHPは1割程しか減っていない……さあ闘いの行方は?


 


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