第51話バハムート襲来!


 野営地として、ドラゴンの襲撃の心配の無い洞窟を選択した晃達であった。


「ドラゴン肉美味しいのじゃ! 舌にとろける脂身の感触がたまらん」アリシアが満足気に食べる。


 エリザベスさんも「こんなに美味しい肉はじめて食べた」とお喜びの様でなによりである。


「美味しいわね! 初めて食べる食感ね」沙羅も龍ヶ崎葵の策略にはまり、ドラゴン風焼肉セットを食べている。


「コタロー美味しいか?」

「ワフッ!」コタローも尻尾を超高速に振りながら肉にがっついている。


「ドラゴン肉を食べた犬なんてお前がきっと初めてだろうな、ははは!」

「晃お師匠! コタローはスピードウルフの子供だから狼でござるよ!」

「洞窟ダンジョンで生まれたおかげで体毛色が茶色だし犬にしか見えない、犬でいいんじゃねー!」


「ワン!」コタローも嬉しそうに返事をする。

「ちょ! キャハハ!」

「オホホホ!」



 ドラゴン肉を堪能し、キャンプファイヤの焚き火を囲んでみんなで雑談をした後、ルークが「晃! 柔術を教えてくれないか? 以前お前と格闘した時、あれで翻弄されたからな!」


「いいよ!」

 晃はマウントポジションやガードポジションなどの基本から教えていった。


「もしマウントポジション取られそうになっても、こうやって相手の左腕と左足をロックしてバランスを崩せばひっくり返すことも可能だよ」


「なるほど目からウロコだ、晃は教え方が上手いな!」


 モーションキャプチャーモードでプレイしている晃だが、技スキル補正がかかるので素早い動きでルークを圧倒して行く。


 一方、女子達はアリシアがエリザベスに「アニメというものを教えてあげるぞ!」とエリザベスの目の前にスクリーンを展開させアニメのオープニングが流れる。


「えええー!?」見たことの無い光景に目を丸くして再び腰を抜かすエリザベス。


 腐女子に人気の『フローラ王国騎士団』が流れている。

 初めて見るアニメにエリザベスがすっかり見入っている。


「イケメンがたくさん! アニメっていいわね」

 エリザベスも腐女子化するかもな……。


「このメイス、フローラ王国騎士団の四銃士のひとりの魔法使いが愛用する物と同じなのだぞ!」

 アリシアが自慢気にメイスをエリザベスに見せる。


「へぇー! いいなぁ!」目を丸くしながら羨ましがるエリザベス。


 葵が『フローラ王国騎士団』とハンティングワールドオンラインのタイアップ企画のガチャで当ててアリシアに譲った物である。


 そして夜も更けて行き、みんなとお休みの挨拶をして、大型テントの男女区画に分かれて入りログアウトした晃だった。



 学校が終わり再びハンティングワールドにログインした晃がテントから顔を出すとコタローが嬉しそうに走ってきて、興奮しながら回りをクルクル回る。


「コタロー元気にしてたか?」

「ワン! ワン!」

 こうやって興奮で迎えてくると嬉しいものだ。


 エリザベスさんが近寄って来た「アキラ君おはようございます」

「おはようございます、エリザベスさん僕らが学校に行ってた昨日はどう過ごされてました?」


「ルークさん、アリシアさん、コタローと少し下山してファフニール狩りをしてたわ! ほらドラゴン肉たっぷり補充したわよ!」


 キャンプファイヤー横にドラゴン肉がたっぷり大きな葉っぱに載せられていた。


「帰って来てからは桜ちゃんと合流してみんなでアニメ三昧したわ」「ははは!」



 ルークやアリシア、沙羅、葵、桜が駆け寄る!


「おう! 優秀なシェフのご登場だ! ドラゴン焼肉ばかりで飽きてたところだ!」


 沙羅が「そうよねーさすがに胃がもたれてるかも……」


「任せなさい!」


 晃は油揚げを取り出してカットして大きく広げ、その上にドラゴン肉、野菜類、チーズをトッピングする。


「はーい! 特製ドラゴンピザができたよ! しかも、糖質オフでヘルシーだよ」


「いただきまーす!」


「アキラ君美味しいわよ、料理の才能あるのね! 他にもアニメによく出てくるカレーやラーメンやハンバーグ食べたいわ」


 エリザベスが笑顔で食べながら褒めてくれた。


「いいよ! 今度それらも作ってあげるよ!」

「やったー!」


「さーて腹も膨らんだし、狩りに行きますか!」

「おー!」


 洞窟の入り口から外に出た晃達はさらに大型火山の頂上を目指して歩き始めた……。


 すると前から3人の冒険者が足を引きづりながら降りて来た!


 見たところどうやらかなりの怪我を負っているみたいである。

「おーい大丈夫か?」ルークが声をかける、


「あんな化物、勝てるわけがない!」

 エリザベスが3人の負傷者達にヒール魔法をかけている間、何があったのか話を聴いた晃である。


 話によると彼らはBランクパーティー3チームで組んで頂上を目指していたが、下にいたドラゴンより大きなドラゴン1匹に仲間をやられて命からがら逃げ出して来たらしい!


「エルフの伝説も中型龍以降は歯が立たなかったと言ってたからね、気を引き締めて行こう!」


 3人の冒険者と別れを告げ、さらに山頂を目指す、晃達であった。


 そして突如、上空にそれは現れた。


 でかい! 全長20メートルはあろうそれは漆黒と真紅の鱗でまだらに覆われた恐ろしい姿をしており、晃達に向かって耳が潰れそうな程の大音響の咆哮を行なって来た!


 ネーム表示はバハムート!


「ついに現れたか! 戦闘態勢に入るぞ!」


「おー!」

「ワン!」


 晃の叫び声に応じて戦闘態勢に入った風のドラプリwithエルフ、ベスと1匹であった!






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る