第50話彼女達の活躍 キャンプだ!



 

 晃達の目前には腐臭を放つ3匹のスケルトンゾンビドラゴンがいる。8メートル位のサイズなのでファフニールのゾンビver.であろうか?

 しかも人をゾンビ化させる凶悪なブレスを放ってくる上、斬撃や刺突耐性を併せ持つ厄介な敵ともとれる。


 「火と風の精霊に命ずる……獄炎斬!」

 晃のオリジナル火属性と風属性の混成上級魔法がスケルトンゾンビドラゴンに炸裂するも、ダメージを受けた気配が感じられない……。


 ルークも続いて「風の精霊に命ずる……ハリケーンスパイラル!」ルークの風属性の強力な魔法がドラゴン達を大規模な風の渦の中に引き込んで行く、しかしダメージはなさそうだ。



「魔法も効きづらいのか……参ったな! ゾンビやアンデッド系には光属性、スケルトンには斬撃ではなく打撃が有効だったかな……」

晃がつぶやく……。


「それなら私達に任せて!」

 エリザベスと葵が同時に前に出る。


「神聖なる神の加護の元に命ずる……ホーリーアロー!」


 白色が主体で紺に縁取られた神官衣装を着るエリザベスの持つロッドから何本もの光の矢が放たれた!


「必殺! 裁きの光!」葵の聖剣エクスカリバーから必殺スキルの光属性の刃が空中のスケルトンゾンビドラゴンに向けて放たれる!


 光の矢と刃をまともに受けたスケルトンゾンビドラゴンは悲鳴の様な咆哮を上げて光るポリゴンへ変わって行った!


「身体能力向上、飛翔加速!」エリザベスが葵に補助魔法をかけている、元タンカーで現在はガーディアンである重戦士系の葵がコタローを肩当てに乗せたまま大ジャンプ、エクスカリバーから持ち替えた星7のレジェンド級ハンマーであるミュルニルでスケルトンゾンビドラゴンをぶっ叩いた!


 地面に叩きつけられたそいつは敢え無く絶命した!


 必死に葵にしがみついていたコタローは尻尾を振りながら葵の顔を舐め回している。

「コタローったら、くすぐったいですの、ほほほほ!」


「葵さんもエリザベスさんもスゲー!」

 ニンマリVサインのエリザベス、やはりどこか天然系だな……。


「私達も負けてられないわ」沙羅が叫ぶ!


「神聖なる神の加護の元に命ずるでござるよ……ハイヒール!」

 桜から放たれた治癒魔法がアンデッドであるスケルトンゾンビドラゴンに命中、苦しそうにのたうちまわる!


「さあレフティ! あなた達の出番よ、必殺!

 聖なる鉄拳!」

 沙羅の左腕のガントレットに変身している金属甲虫達がハイポーションを持ったまま飛翔し、スケルトンゾンビドラゴンにハイポーションを撒き散らしながら貫き、光るポリゴンに変えた!


「ナイス! 本当にやるとは思わなかった、ロケットパンチ……」

 晃が沙羅にグータッチをする!


 分裂した金属甲虫達が嬉しそうに晃と沙羅の周りを飛び回ってから、沙羅の左腕のガントレットに戻っていった。


「あなた達お手柄ね!」沙羅が左腕のガントレットを撫でるとプルルンと誇らしげに揺れた!


 後ろから視線を感じた沙羅が振り返ると驚愕の表情を浮かべながら腰を抜かしたエリザベスがいた。


「何……そのガントレット!? 空を飛んだ!」

 それから10分程かけてエリザベスに金属甲虫達との出会いを説明する羽目になったのは言うまでもない!


 「しかし、エリザベスさんのお手柄が一番だったねー! 重装備の葵が飛んだのも驚いたわ」アリシアが感心しきりである。


「えへへ!」ニヤケ顔のエリザベス。

「エリザベスさんの補助魔法凄いのですわ、ほほほほ!」


 「そろそろ夕暮れ時だ、野営地を探さないと……」西の方に太陽が傾いている。


「ドラゴンに襲われない野営地となると洞窟とかか?」ルークが晃に尋ねる。


「そうだな、このなだらかな火山の中腹は溶岩で出来た岩場だから探せばあるかも? ちょっと待ってて!」晃が盗賊の探知スキルをMAXにして走り回り洞窟らしきものを見つけた!


 みんなを呼んで中に入る、4畳半位の空間でこの人数では狭すぎる……。

「ちょ! 晃君狭いわよ!」沙羅がクレームをつける!


「任せなさい!」ルークとアリシアが、風魔法を応用した空間魔法を唱え30畳位の広さに広がる!


 エルフのウッドハウスの中の広さを思い出す。


 再び腰を抜かしているエリザベスを尻目に、

何もないところから晃が大きなテントを取り出し設営して行く。


 葵さんのレジェンド級ハンマーミュルニルがテントのペグを突き刺して完成!


「……」ポカンと絶句するエリザベス。


「さあキャンプといえばバーベキュー! ドラゴン肉食べるぞー!」



「ちょ! 洞窟の中で火なんか焚いたら駄目じゃない?」


 「大丈夫だ俺があちこちに土魔法で空気穴を作ってやる、レッツバーベキュー!」


「おー!」

「ドラゴン肉でござるー」


 晃の自宅にも肉が届く、ハンティングワールドの提携通販サイト考案のドラゴン風焼肉セットだ、熊肉、猪肉、鹿肉、鯨肉などをブレンドした、誰もが初めて食べる味の肉を表現したセットらしい。


「なかなかハンティングワールドオンライン運営も商売上手だね」晃が感心しながら言うと。


「晃お師匠、その提携通販サイトって私達龍ヶ崎家のドラゴン.COMのことでござるよ、全ては葵姉の考案でござるよ」


「おほほほほ!」葵さんが笑う。


「しまった! またもや葵さんの商魂にやられた、ルームランナーに引き続き……葵さんの手のひらの上を泳がされてるみたいな」


 ルークがビールジョッキを片手に掲げて「早く、ドラゴン肉食いてえ!」


「わかったわかった!」未成年者のエリザベスや沙羅達にはアイスレモンティー、コタローにはミルクの入った小皿を用意して「待て!」と待機させる、ヨダレを流しながら我慢するコタロー……。


「では乾杯ーー!」

「カンパーイ!」


 一気に飲み干すルーク、アリシア、コタロー達面々!


 エリザベスも「この紅茶うまい!」


 そしてドラゴン肉にがっついて行く晃達であった。


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