第49話ドラゴン亜種?

NPC冒険者達だけで小型ドラゴンのファフニールを撃破する方法を伝授した晃は沙羅達やエルフ兄妹とコタロー、新しく仲間になった神官エリザベスを引き連れ、さらに大型のドラゴンを倒す為に山頂に向かって歩き出したのである。


 1時間程歩いたところで晃、沙羅、葵の息が上がり始めた。

 ルークが振り返り「お前達、どうした? バテるのはやすぎやしないか?」


 実は晃達はゲームばかりしてたら身体が鈍るということで葵の提案により1週間前から、龍ヶ崎グループの通販サイト、ドラゴン.COMでルームランナーを購入して、コントローラーでなくモーションキャプチャーモードでハンティングワールドオンラインをプレイしていた。


 ファフニールを倒した時、沙羅が槍をクルクル回しながらキメのポーズを取ったのもカメラの前でバトンを回したらしい。


 晃も部屋でオモチャの剣と重りの入ったリストバンドの組み合わせでゲームをして腕を鍛えている。


 一人暮らしで良かった、親が頭にHMDヘッドマウントディスプレイを被ってルームランナーで走り回りながら、オモチャの剣を振るう、その姿を見たら多分泣くな……。


 でもゲームで身体を鍛えられるなんてVRゲームならではである。沙羅や葵もダイエット出来るって張り切っている。


 神官のエリザベスが「私が補助魔法かけてあげる」


 「え! エリザベスさんそんな魔法使えるの?」晃の問いにエリザベスさんは魔法で答えて来た!


 足が軽い! 一歩歩き出すと月面を歩いているような……ふわっと身体が浮いた!


「これは便利な魔法ね!」

「身体が軽いですわ」

 沙羅、葵も驚いているようだ。


 「身体強化魔法いいねえ、戦闘時にかけてもらうと重宝しそう!」

 晃がほめると黒髪ロングの美少女エリザベスが

「えへへ……ありがとう」


 それからは晃達はエリザベスに質問責めを行い、いろいろと彼女の身の上を教えてもらった。


 彼女は王国領内にある小さな町の出身で年は18才、その村にひとつだけある教会の司祭の娘として生まれ、そして光属性魔法を学び、聖女として町人達の怪我を癒す治療役を担っていた。


 そして同じ町出身のカーラ達『キラーマーメイド』のメンバーに誘われ、冒険者になったのである。


 彼女はヒール以外にも、光属性魔法や各種補助魔法を使えるらしい。



「ワン!」コタローが警鐘の合図を吠えながら、葵の肩当て防具の上に飛び乗る!


 空中から現れたのは……!


「なにあのドラゴン? 身体から骨が突き出てる!」沙羅が叫ぶ。


 不気味な黒い鱗から骨が半分以上あらわになったそれはスケルトンゾンビドラゴンである。


 総数は3匹で腐臭を放っている。


 ルークと桜が土属性魔法で鋼鉄化させた矢を弓で射る。


 スケルトンゾンビドラゴンの骨に当たった矢はそのまま奴らの後方へ落ちて行く!


「ダメだ! スケルトン系は弓や斬撃が効かない! 厄介な相手だ!」晃が叫ぶと同時に! 晃に向かって暗黒色のブレスを吐いて来た!


 完全によけきれなかった晃は左腕にブレスを喰らってしまった。


 左腕がみるみる変色して行く、「毒か?」晃は慌てて毒消し薬の瓶を取り出しゴクリと一気飲みする。


 しかし左腕の変色は広がる一方である!


「ちょ! 晃君、臭いわよ! 腐臭がする」


 沙羅の指摘に「マジか! やべえぞ腐り始めてる」晃が慌てる。


「光の神の加護の元に命ずる……キュア!」

エリザベスが光属性の治癒魔法を詠唱、みるみる晃の左腕が治っていった。


 「ありがとう! エリザベスさん、助かったよ!」

 晃が御礼を叫ぶと、にやりとVサインを送って来た。


 奴らは再びブレスを吐いて来た!


 「土の精霊よ……ロックウォール!」


 アリシアの詠唱で岩の壁が出現、ブレスを防ぐ!


「ありがとう! アリシア! さあ反撃と行きますか!」


 矢や斬撃の効かないスケルトンドラゴンを相手に晃達は、果たしてどの様な戦いを挑むのだろうか?

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