第48話逆襲のファフニール 新たな仲間


 ドラゴン島に上陸し、30名の冒険者達とファフニール3匹を倒して勝ち誇る晃達であったが、仲間を殺されて怒りに燃えるファフニール15匹の大群が上空を黒く染める。


 見上げながら魔法使いイレーナが、困惑しながら叫ぶ、

「どうしましょう……数が多すぎますわ」


 ルークが叫ぶ

「あの数は多すぎる、全員を守りきれない!

 ここは我らがリーダーであるアキラに戦略をゆだねるのが一番だ! 全員アキラの指示に従って欲しい!」


 なんて無茶振りしやがる、ルークの奴め!

 そんな晃の穏やかならぬ心中をよそに、イレーナも即座に「みんな! 疾風のアキラの指示に従うのですわ!」


「おうよ、従うぜ!」

「アキラー、アキラー、アキラー!」

 晃コールが冒険者達から起こる、沙羅達も吹き出しそうになりながら加わっていた。


 ファフニールの群れが上空30メートル位まで迫る。


 それを見た沙羅が「晃君、いい加減、腹をくくりなさいよ」


 ええいままよ! 「わかった! 僕の指示に従ってくれ! まず神官や賢者を真ん中、魔法使い、狙撃手、戦士で円形になって取り囲み、

 タンカー、重戦士、ガーディアンなどの防御力に優れた職業の方で輪の外側を守ってくれ、輪の

外で遊撃するのは、ルーク、アリシア、僕の3人だけだ! それでいいですか?」


「よーし分かった! 防御の輪の中から攻撃すれは良いのだな、なるほど!」イレーナ親衛隊である戦士のひとりが叫ぶと、呼応するように、葵や

キラーマーメイドの重戦士ガーベラ、他のパーティーの守護職達が大楯で守る形の円陣が出来上がった。


 「イレーナさん円陣の中の指揮は任せたよ!

 ルーク、アリシア行くぞ!」とイレーナやエルフ兄妹に叫ぶ!


 イレーナが「了解しましてよ! この円陣は私が決死の覚悟で必ず守り抜くのですわ!」


 さっそくファフニールのブレス攻撃が始まった! 晃、ルーク、アリシアは咄嗟に大ジャンプでさける! そして葵をはじめとした、守護職達の大楯が円陣を守る。


「ルーク、アリシア! 僕たちは散らばってなるべくファフニールを引き付けて1匹1匹始末して行くぞ!」


「了解! さすがアキラの作戦だ!」

「わかったわ!」


 晃も大ジャンプを繰り返し切りつけ、ファフニール4匹を円陣から引き離す。


 ルークも土魔法で鋼鉄化された矢をファフニール達に浴びせて、晃同様に数匹を引きつけながら、円陣から遠ざかる。


 アリシアは土魔法のロックガトリングでマシンガンの様に岩の砲弾をはなち数匹を 引き連れて行く。



 残りの円陣を組んだ冒険者達32人には3匹のファフニールが襲いかかろうとしていた。


 沙羅、葵、桜とイレーナのAランクパーティー

8名とキラーマーメイドの神官エリザベスを除くと、ファフニールと戦うには力不足のBランクの

連中である。


「私達が頑張らないとね!」

「NPC(ノンプレイヤーキャラ)さん達を守るでござるよ!」

「そうですわね!」

「ワン!」

 沙羅、葵、桜の気合いが入る、ゲームプレイヤーである彼女たちは倒されても始まりの街の神殿で生き返るが、NPCさん達は現実として死亡してしまう。


 3匹のファフニールが旋回しながら次々と鋭い牙で攻撃を仕掛けてくる。


 重戦士達が大楯を構えて防ぐ、大音量の金属音がこだまする、しかし8メートルもあるファフニールの攻撃だけに圧力が強く、陣形が崩れた……そこに3匹同時の炎属性系のブレス攻撃が来た!


 イレーナと他の魔法使い水魔法の防御魔法を詠唱し始めたが、間に合わない!


 円陣外側の重戦士の中から唯一バランスを崩さずにブレスに立ち向かう者が……真っ赤に燃え盛る強烈な炎ブレスの前に立った一人の人物。


 誰かが叫んだ! 「あんな強烈なブレスは盾ひとつで防げるわけがない! よけるんだ!」


 龍ヶ崎葵はコタローを肩に乗せて愛用のアーサー王の大楯プリトウェンを直径5メートルはあろうブレスの前に掲げた! サイズ的にも防ぐのは無理と思われた!


 葵の大楯が輝き始め防御魔法効果を発揮してブレスを受け止めた! さすが金持ちお嬢様がガチャ回しまくって当てたレジェンダリーシールドである、しかも晃の指示でレベルアップで得たスキルポイントの8割以上を防御力に割り振っていたので防御力に関しては晃、ルーク、アリシアより上である、だからこそコタローも任せられたのである。


「すげえぞ! あのブレスを受け止めた!」

「魔法隊、狙撃隊攻撃を!」イレーナが叫ぶ!


 魔法使い数名と弓の狙撃手が構える!

「目を狙うでござるよ」桜の号令に次々とファフニールの目に向けてファイヤーボールやウォーターカッターや矢などが放たれる。


 桜の持つレジェンダリーアロー那須与一の専用スキルの命中率アップがグループ全体に作用して顔面付近に攻撃が炸裂する!


 しかし手負いのファフニールの怒涛の攻撃が始まった! 冒険者達の中に3匹とも突っ込んで来た!


「攻撃陣出番よ!」沙羅の号令に戦士達、槍兵(ランサー)達が呼応する!


 一斉に斬りと突きを繰り出す!

 ドラゴンも硬い鱗を持っているため防御力が高い、攻撃も尻尾の強襲、牙、ブレスと多彩な攻撃を繰り出し、負傷者が出て来るが、盾部隊に守られているヒーラー達のヒーリング魔法がすかさず治癒を行い、1匹づつ倒し……そして遂に3匹目のファフニールを倒した!


「やったぜ! 俺達全員の勝利だ!」

ガッツポーズを決める冒険者達!


 そこに晃、ルーク、アリシアが戻って来た。


 沙羅が駆け寄り「大丈夫だった?」


「僕の精霊グリフォンを使った、空中戦見せたかったな!」


「俺は魔剣グラムの必殺スキル、ダークカッターを使って斬り裂いてやったぜ」


「私は葵から譲り受けたこの伝説のメイス『ケリュケイオンを使って魔法力を上げてメテオの隕石群で粉砕してやったわ」


 晃、ルーク、アリシアは楽勝だったようだ。


 自慢気に勝利話を聞かせる晃達にキラーマーメイドのリーダーであるカーラが近づき「あなた達は山の山頂を目指すのでしょう? 私達は小型ドラゴンを倒すのが精一杯なのを理解しました、

ここでみんな協力して小型ドラゴン狩りを続けることにしたの、ただあなた達のパーティーには神官がいない様なので私達のパーティーの神官エリザベスを貸して上げます」


「え? いいのか?」驚く晃にカーラは「他のパーティーの神官や賢者も協力してくれるから私達は大丈夫だし、実はエリザベスが大型ドラゴンのドロップ品の一部を持って帰ってきたらラッキーだもの」

「なるほど……そう言うことならありがたいです」


「よろしくお願いします」黒髪の美少女エリザベスがペコリとお辞儀をする。


 こうして上級ヒーリング魔法を使える神官エリザベスを加えた風のドラプリwithエルフと1匹は、冒険者達の御礼と見送りを受けながら山頂に向かって歩き始めたのであります。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る