第45話合流……ドラゴンの生息する島


 ギルドマスターのグローストークとがっちり握手するルークとアリシアの二人は誇らしげに笑顔を見せていた。


 それを見ていた、ハンティングワールドオンラインの運営の技術スタッフが、「部長! なんだかギルドが活気づいてますよ」


「お! それは朗報だな、プレイヤー達はギルドが依頼するクエストはギルドが仲介手数料を搾取することに気付いた為、ギルドから離れ直接商人と取引をするようになって過疎化が進んでいたからな、リアルな設定を取り入れ過ぎたお陰で失敗してしまった悪例になってしまった、どれのぞいてみるか?」


「どうやら! ゲームプレイヤーじゃなくてAIのNPCだけで勝手に盛り上がっているみたいですね!」


「これは驚いた! なるほどAランク以上の冒険者には一代限りの爵位である子爵を与える仕組みにしてたのが功を奏して成り上がろうとAIのNPCである街の連中や王国領内の若者達が冒険者になっているみたいだな! NPCのSランクパーティーが数組出来ている上にさらにレジェンド級までいる! これは興味深いぞ、よしギルド再活性化に向けて緊急会議を行う! 実装予定のドラゴンのクエストはギルド絡めてみるか!」





 その頃ルークとアリシアはVR学校が終わりゲームにログインしてきた桜と合流したところであった。


 入院中でVR高校に通う桜は時間軸がルーク達と同じなため夕方には合流出来るのである。


 桜を迎えにルークとアリシアは宿屋である夏風亭の前まで来ていた、扉から現れた桜に尻尾をプルプルさせたコタローが興奮しながら甲高い声を上げて飛びつく。


「コタロー元気でござるな、ルークさんアリシアさんも元気そうでなによりでござるよ、ん? 何かいいことあったの?」


 ニンマリとした笑顔を見せながらアリシアが「今日はいろいろな出来事があったのじゃ、まあ、飯でも食いながら土産話を聞かせてあげる、

兄者だって聞かせてあげたいだろ?」

とルークを見やる。

「もちろんさ! 料理屋に行こう!」

「なにやら楽しそうでござるな!」


 桜を従えたエルフ兄妹は石畳みの街並みを歩き、王国の中でも最上級の料理屋の前にたどり着いた。


 桜が心配そうな顔付きに変わり、「ここでござるか? またエルフ差別とかあったら……」


 そんな桜の心配をよそにエルフ兄妹はこともなげにつかつかと入り口に入って行く。


「いらっしゃい……」

 怪訝な表情で迎えた女性店員はエルフ兄妹の首に吊られたギルドカードを見た瞬間に満面の笑みに変わり、「Bランクの冒険者様でしたか、奥のVIP専用個室に案内します」


「え! どういう事でござるか?」

 驚く桜をよそにつかつかとドヤ顔でルーク、アリシア、コタローは奥の方に移動して行く。


 そして個室で肉中心の宴会料理を食べながら、ルークとアリシアの今日一日の出来事を散々聞かされる羽目になった桜であった。


 たった1日でBランクになれたのが余程うれしかったのか、ルークとアリシアは本当にご機嫌であった。


「あの魔法使いイレーナの腰を抜かした姿はお笑いだったぜ」

「ひっ! て声をあげてたもんね、ははは!」


 王国製のエールを飲みながら、ルークとアリシアの自慢話が続いて行く。


 桜はエルフ兄妹はこのゲーム世界の中で生きているだなと、改めて実感したのであった。


 そして宿屋の夏風亭に戻りお休みの挨拶をしてログアウトした桜であった。



 エルフ兄妹が睡眠をとってる間は桜は病室で過ごす、これが唯一、鬱で寂しい時間帯である。


 そして夕方になり、葵姉や沙羅ちゃん、晃お師匠のログイン時間を待っていた。


 病室の窓際のテーブルの上に置いていたスマホがバイブでプルプル揺れる。


「桜お待たせしましたわ! 今からログインしますわ 葵」とSNSでメッセージが……桜の顔がぱっと明るく変わる。



 学校から帰ってきた晃はログイン前にハンティングワールド関連の掲示板をチェックしていた。


・ギルド限定クエストだってよ


・ドラゴンが遂に登場! キター!


・しかしBランク以上って……ギルドクエなんて初心者の頃しかやってないからDランクのままだ、今からやりに行くか


 なにやらギルド関連で盛り上がっている、慌てて運営からの情報を見てみる。


 ・ドラゴンの生息する島が初登場! そこに行くには王国所有の大型船でしか行けません。


 ・大型船に乗るための資格はギルドでBランク以上の冒険者に与えられます。


 ・大型船は週に一度の出航となります。


 「ドラゴンか! ぜひ行きたいな、しかし沙羅達をBランクに上げるには一週間はかかりそう……」


 悔しそうにログインした晃であった。

目覚めて宿屋の食堂に降りて行くと複数のパーティーがそれぞれのテーブルで食事を摂っていた。


「晃君、こっちよ」声のする方を見やると沙羅が皆んなと同じテーブルで手招きしていた。


「皆様おはようございます!」

「おはようでござる」

「おはよう!」


 挨拶をしてテーブルに着くとルークとアリシアが首からぶら下げている、ゴールドに輝くカードが真っ先に目に付いた。


 晃もアイテムBOXからゴールドのカードを取り出した!


 沙羅と葵が驚く!「同じカードじゃない、どういうこと?」

 晃も驚きながら、

「ギルドBランク冒険者の証のゴールドカードさ! ちなみにAランクはプラチナ、Sランクはミスリル、レジェンドはオリハルコンになる、

しかしルークもアリシアさんもギルドに所属してなかったよね、どうやって手に入れたの?」


 さてドヤ顔のルークとアリシアの昨日の出来事の自慢話が始まった、桜は2回も聞かされる羽目になったが、ルーク達の笑顔を見ているだけで満足だった。


沙羅が「すごいわね、たった1日でBランクに上がるなんて、晃君は?」


「1週間以上はかかったような……」


「ルークさんアリシアさんすごいですわ」

 葵の賞賛にルーク、アリシア両方デレ顔になる。


「しかしこれでドラゴンの島に挑戦出来るな!」

晃が運営の発表をスクリーンに映し出す。


「ちょ! Bランク以上って、私達置いてきぼりじゃない」沙羅が抗議する!


「大丈夫さ、ギルド規定は各ランク冒険者は一人当たり一人を下位ランクの仲間をパーティに組み込むことが出来るんだ、人数が増えるのは戦力が上がるからね、ただし下位の者が増えすぎても足を引っ張るって事で一人なのさ」


ルークが「ということは俺、アリシア、晃が一人ずつ沙羅、葵、桜を仲間に出来るって事か?」


「やったー!」

「うれしいでござる!」

「ラッキーですわ!」

手を取り合って喜ぶ沙羅、葵、桜。


「そういうことでギルドに僕達を登録しにレッツゴーだ!」

「おー!」

「行くでござる!」



 ギルドにワープして受付嬢マリッサにBランクパーティー登録してもらった風のドラプリwithエルフの6人はゴールドカードを誇らしげに首に掛けながら、コタローを引き連れ、船着場に向かったのである。



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