第44話エルフ兄妹と1匹の王国奮闘記⑤
44エルフ兄妹と1匹の王国奮闘記⑤
ルークとアリシアはBランク昇給試験を受けていた、相手は元A級冒険者の剣豪クラークと現役兼教官の大魔法使いイレーナである、彼等の通常攻撃をかるくいなされた為、本気モードに突入しようとしている。
BランクやCランクのギャラリー達もざわついていた。
「あのエルフ達まじで強いぞ、しかしここまでだろうな、あのクラークとイレーナが本気出したらさすがにやばいだろう!」
「そうよね、死なないことを祈るしかないわね」
表情から微笑みが消えたクラークはアリシアに向けて叫んだ。
「どうやらなかなかの使い手の様だな、では本気でいかせて頂こう……武技、斬岩剣乱れ打ち!」
ギャラリーから「おお! あのクラークの最高技である岩をも斬る斬岩剣のさらに連斬だ! 完全に本気モードだぜ」
速いステップからクラークがアリシアに斬りかかる、ミスリル剣が青いオーラを帯びている、何かの魔法効果をともなっているのだろう。
一方ルークに対峙する魔法使いイレーナは、
「もう後悔しても、遅いのですわ! あなた爆裂魔法使えるらしいけど、私が本物の爆裂魔法を見せて差し上げますわ! 観客の皆さん、少し離れるのですわ!」
ギャラリー達もあわてて離れ、輪が広がる……「イレーナもあれをやるのか! まじでやばいぞ」
イレーナは赤ロッドを構え詠唱を始めた「火の精霊よ……灼熱の炎にて彼を焼き尽くせ! フレア!」
10メートル範囲はあろう猛烈な爆炎がルークを襲う!
クラークの剣が青いエフェクトを放ちながら斬岩剣の連撃を次々とアリシアに向けて繰り出される。
アリシアはクラークの剣を着実に受け太刀しながら次第に足さばきがダンスのステップに変わり始め、踊るような剣を放ち始めた……アリシアの
必殺技、剣撃乱舞だ!
「むう……」クラークの剣が攻撃から転じて守勢に回る、しかもアリシアの剣撃のスピードがどんどん上がり始め圧倒され始めた。
そして金属音の大音響とともにクラークのミスリル剣が真っ二つに折れ、切っ先が後方に弾け飛ぶ!
ルークに襲いかかる爆炎! それを見たルークは「ふっ! そんなもんか……火の精霊よ……煉獄の爆炎を以って奴を滅せよ、メガフレア!」
ルークが放った火属性の最上級魔法であるメガフレアがイレーナの放った上級魔法フレアを包み込みイレーナに向かって行く!
「ひっ!」腰を抜かし地面に尻もちをつくイレーナ!
後ろから「水の精霊よ……アイスロックウォール」と詠唱が響き……。
イレーナの目前に巨大な氷壁が出現! メガフレアの大爆発を受け止めた!
ギャラリーのほとんどはあんぐり口を開けて、目の前に繰り広げられた信じられない光景を見つめていた。
アリシアが怒りながら、「兄者やり過ぎだ! 私にまで被害が降りかかるとこだったぞ!」
「すまん、すまん! つい調子に乗ってしまった、ははは」
アイスロックウォールを放ったのはアリシアであった!
剣を折られたクラークはアリシアに近づき、「参りました……全く歯が立たなかった」と握手する二人。
ルークも腰の砕けたイレーナを立たせてあげる
「お恥ずかしいところをお見せしましたわ、私の完敗ですわ、エルフの魔法力の高さを理解しましたわ」
「おー!」ギャラリーから大歓声が舞い上がる!
「すげえぞ! 剣豪クラークと大魔法使いイレーナを軽くやっつけたぞ」
「妹も剣だけでなく魔法もすごいぞ」
受付嬢マリッサは喜びはしゃぐコタローを撫でながら「やっぱり私の目は正しかったわね」
「ワン!」
ギルドマスターであるグローストークはSランクパーティー『闇の閃光』のリーダーで剣士のフィツジェラルドに「すごい魔法と剣技に見えたぞ」
フィツジェラルドは微笑みながら
「女剣士はまだ本当の力は見せてない、かなりの使い手には違いない、ミレーヌよ奴らの魔法力はどうだった?」と同じパーティーの女魔法使いの方を向く。
小柄で黒い瞳と黒いショートカットの可愛いタイプの女性が「私だってメガフレアやロックアイスウォールは使えるからね、他にどんな魔法持ってるか楽しみだわ」
グローストークは「さて、将来性有望なBランク冒険者に成り立てのエルフ兄妹に挨拶してくるか!」と皆んなに囲まれて祝福を受けているルークとアリシアに近づいて行く。
「見事な戦いぶりだった! 私はギルドマスターのグローストークだ、君たちにはAランクどころかSランク以上を目指して欲しい!」
がっちり握手する3人。
かくして晃の持つ最短記録を塗り替え、1日でBランクまで登ってきたエルフ兄妹に待ち受ける運命はいかに……。
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