第29話誘惑の領域 激戦の幕開け!

 悪魔ゾーンと呼ばれる42階層以降に足を踏み入れた晃達は悪鬼やデビルオーガの襲撃を受けながらも、沙羅、葵、桜の成長もあり撃破しながら45階層にたどり着いたのである。


 進んで行くと、晃好みの美人女性がこちらに微笑みかけて来た!


 その女性にあろうことか、アリシアが剣を抜いて斬りかかろうとする!


「アリシア何するんだ! あんな可愛い女性に斬りかかろうなんて」

  

 晃がアリシアの剣を持った右腕を掴む。


 沙羅が「晃君何やってんのよ! 恐ろしい顔した女性型の化け物よ!」

 沙羅やアリシアの目には灰黒い裸の怖い形相の女型悪魔にしか見えない……。


 沙羅が攻撃しようとすると今度はルークが沙羅を抑えにかかる「やめろ! あんなに可愛い女の子に何をするんだ沙羅」「ルークさんまで? 一体何がどうなってるのよ?」


 アリシアが晃と揉み合いながら「そいつはサキュバスという男を誘惑して精気を吸い取る悪魔だ! 晃も兄者も魅了されたのじゃ!」


 膠着状態の晃達にサキュバスが急接近、腰に差していた西洋剣を抜きアリシアに斬りかかった!


「晃お師匠もルークさんも情け無いでござる! 桜が成敗するでござるよ!」


 桜がサキュバスと刀を交える!


葵も「晃君もルークさんも情けないですわ! 私達のような美人女性達とパーティーを組みながら、女悪魔に心を奪われるなんて!」


 今度はコタローが桜の邪魔をしようと、「ウー!」と立ちはだかろうとした。


 それを見たアリシアに「コタロー! 色気付くには100年早いわ!」と一喝されて「クゥーン」と引き下がる、そりゃ母ちゃんの方が怖いわな!


 サキュバスは中級悪魔だけあって、剣さばきが鋭く桜、葵二人を相手に互角に打ち合っていたが、


 葵の聖剣エクスカリバーの光属性魔法を帯びた必殺スキルが悪魔にとって脅威の攻撃となり、隙が生まれ桜の火神刀カグツチに両断された。


 ハッと我に帰ったルークと晃であった。


 それから10分、ルークと晃は正座を、コタローもおすわりをさせられ、アリシア、沙羅から説教を受けたのは言うまでもない……。


 美人に説教をされるのは何かのご褒美……?

 妙な快感を覚える晃。


 それからはサキュバスが現れたらすかさず女性陣が総攻撃を行う布陣を敷いてダンジョンを進めていく晃達でありました。


 次に現れた強敵は上級悪魔ドラキュラ!


 黒い衣装に光る目、鋭い牙が生えているがどこか紳士的である。吸血コウモリを多数従えている。


 アリシアがすかさず斬り込むが動きが鈍く、それどころか、顔が紅潮している。


 ルークがニヤリとしながら

「まさかアリシア! 魅了されたのではないだろうな!」先程の説教の鬱憤を晴らすべく勝ち誇ったように尋ねた。


「ま、ま、まさか私が魅了などされとらんわ!」


 晃もニヤニヤしながら、沙羅達を振り返って見ると……、紅潮した彼女達がいた。


「わ、わ、私も魅了なんてと、とんでも!」

沙羅が噛みまくっている。


「濡れ衣ですわ! ほほほほ!」


「しゃあないなぁ! ルーク、俺たち漢が一蹴してやるか!」


 晃が獄炎斬でコウモリを焼き払って飛散させて行くと、ルークが弓矢を放ちながら接近して行く。


さすがは上級悪魔だ! ルークの放った10本の魔法矢を剣で軽々と叩き落としていった!


 晃が妖刀イザナギで打ち合う、鋭い剣撃を振るうヴァンパイアであったが、様々な剣術スキルを使う晃の敵では無かった。


「やったー! 俺たちの勝利だ!」


 ルークとグータッチを交わす、コタローもルークの肩に乗りながら「ウォーン!」と勇ましい咆哮を上げた!


「調子に乗りおって!」

「お師匠置いて行くでござるよ!」

 なにやら不機嫌そうな女性陣をニヤニヤ追いかけるルークと晃だった。


 危険な悪魔達の襲撃を退けながら、遂に晃達は最下層50階層のラスボス部屋の前に到達したのである!


 大理石でできた大きな扉が自動的に開いて行く。


 今までとは趣向が違い大きな大理石に囲まれた高級そうな巨大な大部屋である。




 奥を見渡すと左奥に女性型の怪物が、右奥に男性型がいる様である。




 入り口近くの大理石の柱にひもを使ってルークがコタローを繋いだ。

「コタローは安全なこの場所で待っててくれ!」

「クゥーン」

「大丈夫だあんな奴らさっさと瞬殺して戻って来る!」

「ワン!」




 晃が「皆さん! 遂にラスボスの部屋です! かなりの強敵と聞いてます。私達プレイヤーは死に戻りがありますが、ルークやアリシアさんは命の精霊石があるので一回は絶命せずに助かりますが、2回目は助かりませんので、攻略無理と判断した時には速やかに撤退しましょう!」


 沙羅が「当然よね! 命が一番大事だもの!」


 アリシアが「すまんな気を使わせて……でもこの強力なパーティーなら必ず撃破出来るさ!」


晃が再び「作戦通り左側のモンスターメドゥーサは沙羅、葵、桜に任せます! 相手の目を直接見ると石化しますが見さえしなけりゃ充分倒せる相手です。神話では盾や剣に相手の姿を映して戦ってました」


 沙羅が「任せなさい! 鏡なら私達の手足同然に使えるわ!」


「当然のたしなみですわ、ほほほほ!」


「私達だけで大丈夫でござる、お師匠達はかなり強いと噂の悪魔幹部との戦いに集中するでござるよ!」


 しばらく進むと、やや左前に位置するメドゥーサが大きく見えてきた! 蛇が頭からびっしり生えた怖い顔した、女性型モンスターだ!


 戦闘態勢に入った沙羅達が素早く接近して行く、


 それを見ていたメドゥーサが「こんにちは! お嬢様達!」


 沙羅も「こんにちは! わざわざご丁寧に!」と返して、

みるみる沙羅の足が石化して行く。


 晃にとってはヤバイ奴と目を合わさないで会話するのは得意技だが、リア充の彼女達には難しいのだった……大丈夫だろうか?


 桜が石化治療薬を沙羅にふりかけながら

「気をつけるでござるよ、沙羅姉」

「ごめんごめん! ついつい……テヘ!」

「あらあら、ほほほほ」


 石化治療薬は沢山持たせたので3人同時に石化しない限り大丈夫だとは思うが……。


 晃、ルーク、アリシアは右奥に位置する男性型悪魔と対峙していた。


 ツノがあり青白く怖い顔を持ち黒服のスーツを着ている

「我が名はアスタロト、上級悪魔を率いる悪魔大公爵にして、魔王幹部であるこの私がお相手いたそう!」




さあ激戦の幕開けだ!




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る