第27話愛のキューピットの正体? 最下層挑戦

 エルフのルークとアリシアやコタローとVRセンターシティで楽しい一夜を過ごした晃は翌日朝、高校に向かう。


「おっはよー! 雷太に哲郎、ゲームライフ楽しんでるかい!」アニメゲームオタク仲間の春日雷太と山川哲郎に教室で声をかける!


「晃氏、今日はいつもよりハイテンションだなもし、何かいいことあったのか?」雷太の問いに!


「まあね! いろいろあるさ!」


 その時、姫宮沙羅も教室に登校してきた。


「おっはよう! 晃君に春日君、山川君」と笑顔で挨拶して自分の机に向かって行った!


「ふむふむ姫宮さんまでご機嫌みたいだな!」哲郎が何やら思惑を巡らしている。


予鈴が鳴り授業が始まる。


 昼休みになり、いつも通り雷太と哲郎と机を並べて昼食を食べる。


 姫宮沙羅もゲーム好き田中美奈とBL大好き腐女子白川美香と机を並べていた。


 晃は手作りの炒飯が入っている保温弁当箱を取り出し、更に保温水筒から出した餡をかけて、餡掛け炒飯を完成させた。雷太達は飽きもせずに毎日焼きそばパンとカツサンドを食べている。


「へぇ! 晃氏モンスターテイムに成功したんだ! それはすごいレアケースだなもし」雷太が驚いている。


「正確には同じパーティーのエルフと龍ヶ崎姉妹の妹が成功したんだけど、その子犬がかわいいのなんのって、ハンティングワールド名物の超高性能自律型AIが搭載されているから、よくあるペットゲームとは別物で本物の子犬と変わらないわけよ! 一日中一緒に遊びたいくらい!」


 哲郎が「あくまで噂だけどハンティングワールドオンラインの自律型AIは国家予算が注ぎ込まれてるって話だからな!                     高性能AIに過去の記憶を持たせると、どんな行動を取るのか? のデータを分析したり、AI同士が結婚をした場合、生まれてくる子供AIの性能や行動パターンは? などの実験も兼ねて国も協力しているとか……。

 今僕は雷太とある有力貴族のクエストで御令嬢の武術や剣術指導をやってるんだが、この御令嬢がおてんば娘なのなんのって……」

「へえ! 何歳くらいの娘なの?」


 雷太がすかさず、「14歳だってよ! おてんばだけどかわいいぞな、今度御令嬢を連れて狩りに行くんだ!」

「ロリ雷太には萌えるシチュエーションだな! ははは!」


 その時沙羅の喋り声も聞こえてきた!

「そのワンちゃんのかわいいことかわいいこと! 目に入れても痛くないくらいだわ!」さすが、ペットはみんなの心の癒しだな……。


「あと同人誌って凄いのね! あのキャラとあのキャラが……」沙羅さん……声のトーン抑えた方がよろしいかと。


 沙羅の話を聞いていた白川美香がうれしそうに


「姫宮さんこの2週間でアニメ好きになったり、同人誌に目覚めたり、見事な覚醒ぶりだわね!

 筋がいいわよ! 今度、静岡にあるアニメ同人誌専門店に連れて行ってあげるわ!」


「いいわね! ぜひともよろしくね!」


 沙羅の隣に座っている田中美奈が晃の視線に気づいて何やらいわく有り気な笑みを送ってきた。


 そしてチャットメールが田中美奈から送信されて来た。


(沙羅ちゃんと仲良くなれて良かったね!)


 そうか、田中美奈は最初、姫宮沙羅からVRゲームを龍ヶ崎桜のために熟練しなければならないことを相談されて、ハンティングワールドオンラインで晃がランカーやってて、一緒に遊べばレベルアップ出来るよ! って誘導してくれたんだっけ……。

 晃が毎日、沙羅に視線を向けてたのを知ってて、仲良くなれるように仕向けてたとしたら……。すかさず田中美奈にメールを返信

(神様! 感謝の意を示します!)

(いつもゲーム攻略法を教えてもらってたお礼がわりよ! そうだ、今度ケーキおごってね!)


(ケーキだろうがパフェだろうが、なんでもおごりますわ!)


 などとやりとりをしていると、雷太が「晃氏、さっきから誰とメールのやり取りしてるんだ?」


「いやいや! なんでもないってば!」


 担任の野口先生が教室に現れ、沙羅の所にやって来た。

「この前、生徒会長の新月透の要望でみんなにいじめ撲滅テーマのレポート出してもらっただろ、姫宮のレポートを生徒会長えらく気に入ったみたいだよ、いじめられる側の視点から書かれた優秀なレポートだとか……。こんど直接話しをしたいって言ってたよ!」


 それを聞いたクラスの女子達は口々に「いいなぁ姫宮さん、あのイケメン生徒会長と喋れるなんて……」


 それを聞いた晃は……なにぃ新月透だとぅ……一年先輩の三年生である彼は学歴優秀、スポーツ万能でなおかつ沙羅の大好きな高校生アイドルタレントのタックンこと滝沢光似のイケメンでもある。


 まんざらでもない表情を浮かべる沙羅を見て、晃は一抹の不安を感じていた……。

 

 雷太が「晃氏さっきから上の空だぞなもし、人の話は聞くんだな!」

「すまん、すまん! ロリ令嬢の話だっけ?」


「そうそう! 彼女が令嬢仲間を集めて来るから、僕と哲郎に狩りの指南をして欲しいんだって! ついに僕らも晃に負けないハーレムパーティーを持てそうだな」


「ははは! 頑張れよ」


 みんなそれぞれ頑張ってるのだな……。


 ひとりひとりのプレイヤーにそれぞれの物語があるのがハンティングワールドオンラインの魅力だもんね!


 帰宅した晃は早速ハンティングワールドオンラインにログイン……!


ん? 顔に違和感が……! 目を開けるとコタローの顔舐め攻撃を浴びていた!


 沙羅が笑いながら「キャハハ! 晃くんもコタローのおはよう挨拶の洗礼浴びたわね!」


 大型テントの中でみんなが笑いながら見ていた!


「ログインの兆候があると、こうやってコタローがみんなを起こして回っているでござるよ」


「おほほほほ!」


「はははは!」葵もアリシアも笑い転げている!


「皆様おはようございます。コタロー、目覚ましありがとう!」


「ワン!」


ルークが「晃のログイン待ちわびたぜ! 今日は最下層の50階層攻略だろ?」


「その通り! 今いるのが41階層で最後の野営地となります! 今日中にラスボスのいる最下層に到達します!                         さすがにダンジョン完全攻略したパーティーはまだ10組程度と聞いてます! 気合いを入れて攻略しましょう!」


「おー!」

「ワン!」


 朝食は葵さんがテイクアウトで用意してくれたハンバーガーを食べる……。


 晃達は士気が最高の状態で42階層に突入したのでありました。




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