第10話王国の夜会での演奏
夜会に参加すべく、お城の階段を登って行く晃達であった。
そして城門の番兵が「風のドラプリ御一行だな、話は聞いている、中に入れ!」
そして中庭を通って城の大広間に通された……
ちなみに晃達の格好は晃が黒のタキシード、沙羅が真紅のドレス、葵が濃紺のドレス、桜がピンクのドレスである。しかも女性陣の髪型の気合いの入れようがすごい、沙羅はいつもは茶髪のストレートロングだが、今は後ろを束ねて横は縦巻き髪! 妖艶すぎます。 葵さんはいつもはふわっとしたロングの赤毛だが、やはり束ねていていかにもお嬢様だな、で桜はシルバーのベリィショートなため髪型変更はないが、プラチナ製の豪華なティアラをつけている。
晃達が到着すると、200名以上の貴族達が広間で立食パーティーの途中であった。
弦楽団が優雅な音楽を奏でている……
さっそくギルバート陛下と護衛のガルブレイン戦士長が迎えに来てくれた、あとなぜかエルフの里長ブライアンもいるではないか。
ギルバート陛下はブロンドの髪に髭、貫禄のある50才くらいの典型的な欧米人である。
「疾風の晃殿、久しぶりであるな、それに沙羅殿、葵殿、桜殿よくぞ参られた。今日はアース大陸の曲を演奏披露してくれるとな、こりゃ楽しみだわい、貴殿の知らせのおかげでエルフの里の危機に駆けつけることが出来た上に、このイグニシアス王国とエルフの里の間で正式に国交が結ばれることとなった。国交の象徴として王国内に古くから存在する王国魔法学園にエルフの先生方が加わることとなった、本来この学園には王国か王国に所属する領民の貴族の御子息か才能を認められた者しか入学を受け付けていないが、君達は特別に受け付けることにした」
なんて勝手なんだ、王様って奴は……
「魔法学校! 楽しみだわ」沙羅がうれしそうだ
「魔法学園、なにか素敵な響きですわ」葵まで
「最高でござるよ」
女性陣は大喜びだ、やはり魔女っ子と学園物に憧れがあるのね。
晃が「魔法使いもいいが、今はまだ自分の職業をある程度ものにしてからだよ! それからなら立派な魔法戦士になれる!」
「はーい」
「お師匠わかったでござるよ」
「了解いたしましたわ」
ギルバート陛下が
「それはそうと、アース大陸の大商人である葵殿と桜殿のお父上が派遣してきた、専属料理人のスイーツだが、夜会に来ている貴族達があまりの美味しさにびっくりしておる、わしも味にはうるさい方だが本当に気に入ったわい、ケーキなら王国にもあるが、特にバニラアイスとか水菓子は初めて食べる至極の一品であった、望み通り王室御用達として、土産物屋での販売を許可する」
「なにぃバニラアイスに水菓子だとぉ?」
どっかで聞いたアイデアだ……
晃が葵を見ると澄まし顔で小さな声を発した
「……てへぺろ」
やられたよ! 葵さんの第2弾てへぺろ炸裂、なんでも土産物屋でゲームプレイヤーがリアルマネーでスイーツを買った場合は宅配でプレイヤーの自宅に届けられるシステムにするらしい……
まんまとロイヤルブランドを手に入れたのである。
龍ヶ崎葵! この女子高生は末恐ろしい程の商才をお持ちのようだ……
その時、アナウンスが流れた、龍ヶ崎葵に【超高校級の商売人】の称号が与えられました。
「オホホホ、何のことかしらですわ」と葵、
沙羅が羨ましそうに
「私達も何か称号が欲しいわよね、桜ちゃん?」
桜が「ふふふ! 沙羅姉には申し訳ないでござるが、前に街人全員と会話した時に【街の人気者】の称号授かったでござるよ」
「えー! いいなぁ」沙羅がふてくされながらつぶやいた。
こればかりは晃にもどうしようもない、称号取得条件がわからないからだ、運営の単なる暇つぶしという説が有力だ。
ギルバート陛下が「あーそれから君達の楽器も大商人の配下の者が運びこんでくれてたよ、あそこに舞台があるだろ? 貴族達、みんなで待ちかねていたところだ。ピアノやヴァイオリンなら分かるが、あのマーチングバンドの大太鼓と小太鼓とシンバルを組み合わせような物体はなんだろうって皆興味を持っておる。とりあえず有力貴族10名ほどに君達を紹介してあげるわい、その後演奏よろしくじゃ!」
それから30分ほど時が流れ、有力な貴族達と挨拶をした晃達についに晴れ舞台がやってきた。しんと静まり返った会場に晃達が各楽器にスタンバイをした。沙羅は舞台裏で待機中である。
晃が葵、桜に目配せすると……彼女達もコクリと頷いた――
葵がクラシックピアノに向かって弾き始めた、お馴染みのキラキラ星の冒頭部分である……
アマデウスモーツァルトによって生み出された「キラキラ星変奏曲」はフランスの民謡として、アメリカ、日本へと渡ってきた……
その親しみやすいメロディは異世界人的ゲームAIにも、きっと届くはず――
葵の早弾きがさく裂しはじめた、会場全体から息を飲むような声が聞こえた。
しばらく葵のピアノソロが続いたところで、そこに重なるように桜のアレンジされた、ヴァイオリンが華麗な音を響かせていく、常に葵と桜は、ユニゾンにらならないように音を変えハーモニーを形成していく。
さすが双子だ息の合い方、半端じゃない!
しばらく桜のソロが響いたところで、そこに晃のドラムが入り、音に厚みを加えていく、最初は葵のリズムに合わせていたが、だんだんリズムの主導権を奪い魂のビートを刻み込んで行った、いつしか「キラキラ星変奏曲」はロックへとかわっていた、そして……沙羅が登場してきた。
ロックのビートに合わせてマイクなしの沙羅の口から
「Twinkle, twinkle, little star, How I wonder what you are!
Up above the world so high, Like a diamond in the sky.
Twinkle, twinkle, little star, How I wonder what you are!」
澄みきった綺麗な声でありながらパワフルな沙羅の歌声が響き渡る……発音もお母さんが特訓してくれたらしく、更に完璧に進化している。
「おおおお!」
声を上げていつの間にか観客は総立ちとなっていた……
そこからは晃が命を削るかの如く渾身のドラムソロを敢行……観客はさらにヒートアップ!
さらに原曲にジャズ調のアレンジを加えた葵のピアノソロアドリブが流れはじめた……
沙羅がいつの間にかタンバリン片手にジプシー風の踊りをはじめている、クルクルクルクル、赤いドレスのスカートが……晃の目線は一点集中状態に――
が! しかし見えそうで見えない、無念。
今度はやはりジャズ調にアレンジされた桜のアドリブのヴァイオリンが加わり、しかも弾きながら踊りはじめた。まさしく踊るヴァイオリニストである。
そしてロック調のフィナーレで締めくくりを行った。
場内から万雷の拍手が起こり「ブラ――――ブォ――――!」
そしてスカートの裾を掴んでお辞儀をする沙羅にさらに万雷の拍手が降り注いで行き鳴り止まない。
そこにアナウンスが流れ姫宮沙羅に【夜会の歌姫】【夜会の舞姫】の称号が授与されました。
うれしそうな沙羅に近づいた晃は「最高の歌と踊りだったよ沙羅さん」と言いながらグータッチを交わす! 決して沙羅さんの黒ストッキングから透けた太ももやその先に一点集中してたなんて、邪なこと考えてませんからね~……
4人で挨拶するとさらに拍手喝采! ギルバート陛下、ブライアンが近づいてきて「ブラブォー! ブラブォー」とうるさい、興奮状態の子犬みたいだ……
と、 その時「晃君達、いい演奏だったよ、姫宮さんだったかな素晴らしい歌声と踊りだったよ」
とカメラを片手に岩田さん登場……なぜ彼がここに? そういやあ彼は爵位持ちだった。
カメラを見た沙羅が「ちょ! まさか晃君、私達の歌と演奏を動画配信しようと考えてないわよね!」
目をギラッ光らせながら怖そうな顔で言う。
「まさか、誰にも言ってない……あ、雷太だ!」
岩田さんが「ネタ元の事は言えないね、守秘義務がある」
「岩田さんまさか配信しないわよね~」沙羅が泣きつく、
「残念! もう配信済みさ……早くも40000PV」
「ええええ!」4人で見事なユニゾンをした晃達でありました。
ギルバート陛下が「君達良かったよ、素晴らしい曲だった。葵殿のピアノも桜殿のヴァイオリンも素晴らしかった……あとあの3人分の打楽器を操ってすごい拍子を生み出した晃殿! いやはや感服したぞ……また沙羅殿の見事な踊りと歌には……まさしく歌姫じゃわい! ハハハハハ これからダンスの時間だから貴族達が放っておかんわい」
「えー! ダンス? 聞いてないよ」晃と沙羅がハモる。
VRゲームダンスダンスアブソリュートならやったことがあるが違うダンスだよね……きっと、
「社交ダンスは当然のたしなみですわ!」龍ヶ崎姉妹は余裕をかましている。
そのあと晃は葵に、沙羅は桜にぶんまわされてダンスを覚え、沙羅、葵、桜は貴族様達の御子息様達に引っ張りだこになりましたのであります。
ポツンと座りながらそれを見てた晃だったが、沙羅がやって来て「晃君、踊ろうよ!」
ニヤケながら沙羅にぶんまわされた晃でありました。
一方、その頃エルフの里では、超美人エルフであるアリシアが
「兄者暇じゃのー!」
「なかなか晃殿から狩りの誘いの文が来ないなぁ」とイケメンエルフのルーク
「兄者、そんな様子は、まるで恋文をじっと待ってる乙女みたいじゃないか? 情けない! 模擬戦闘でもやるか?」
「おー! それはいいかもな! 広場に行くぞ!」
エルフの大樹前広場でイチャイチャしてたエルフの恋人カップル達はアリシアとルークが登場したのを見て……
「アリシアとルークだ! ヤベェ巻き添えをくらうぞー! 逃げろ!」と一目散に退散したのでありました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます