第9話バンド猛特訓 プレゼント?
王国のギルバート陛下より夜会への招待された晃達であったが、アース大陸の文化を披露するように、と難題を突き付けられてしまったのでありました。
4人で話し合いを行い……バンド結成となったのである、パートはVO姫宮沙羅、KEY龍ヶ崎葵、VN龍ヶ崎桜、DR木崎晃である……
今、晃達はセンターシティにあるVRミュージックスタジオに来ていた……ここでは楽器のレンタルができるため、まずは晃がドラムセットとしてハイハット、スネア、バスドラ、シンバルを注文……シンプルイズベストさ!
10分後には晃のマンションのチャイムが鳴り、消音器付きの電子ドラムが運ばれてきた……
そうVRミュージックスタジオとは離れた仲間や友達といつでも本物の演奏をできるシステムなのだ、入院中の桜のもとにも消音器付きの電子ヴァイオリンが配達されたようだ……
葵さんは自宅の豪邸のグランドピアノをVRアナログ接続装置を使って接続した……
「よし、みんな用意は出来たかい?」
「ちょ! その前に曲決まってないんですけど……晃君アイデアあるって行ってたよね?」
「クラシックとボーカルの融合の原点はこれだ!」
とみんな目の前にスクリーンを展開させ動画を再生する、そこにはモーツァルトのキラキラ星が演奏される動画であった、クラシック音楽が主題の名作アニメやロックバンドを初めて組んだガールズバンドの名シーンがどんどん流れていく……
「おおおお! これは面白いでござるこの曲なら葵姉も私もソロパートつくれるでござる……」
「ナイスセレクトですわ晃君! クラシックピアノ弾きとして見せ場がありますわね!」
「沙羅さんは?」嬉しそうに拳を突き出してきた
「グーよ!」拳を重ねたところで、
「歌詞を覚えて来るね! 」と部屋を出て行った。
「葵さんとりあえず原曲弾いてよ」
「承知いたしましてよ」
おなじみのキラキラ星のメロディーが流れ始め
そこから流れるような早弾きで音符が溢れ出していく。
パチパチと拍手しながら晃が
「さすが葵さんだショパンジュニアコンクール3位は伊達ではないな」
桜が「だいたいの感じはつかんだでござる、葵姉のソロパートの後にこんな感じでヴァイオリンを入れていくでござる」
ヴァイオリンの綺麗な音が響き渡る、葵さんの早弾きのメロディーをもとに自分なりのアレンジを加えている
「ブラボー! さすが2才から習ってだけのことはあるな」
「へへんでござる」
晃も負けてられないとドラムソロを見せつける
「さすがモンキーメトロノームと呼ばれていただけのことはございますわね……」
葵さんが褒めて? くれた。
そこに沙羅登場! 「歌詞覚えたわ! 葵ちゃん最初の部分だけお願い」
ピアノの伴奏に合わせて
「ツゥインクル、ツゥインクル、リトルスター、ハウアイワンダーワッチューアー」と澄み切ったキレイで大きな声が響き渡る!
拍手しながら「うまいうまいさすが沙羅さん……しかし何ゆえ英語バージョン?」
沙羅が「大人のじじょ……間違えた、その方がしっくり来ると思って」
桜が「沙羅姉はお母さんが翻訳の仕事やっているだけあって英語得意でござるからな」
沙羅が「お母さん昔、学生の時にアメリカに留学してたからね!」
晃が沙羅に惹かれた理由も単にルックスだけでなく、学校で流暢に英語を朗読する姿に釘付けになったこともあったな。
お母さんは今はセンターシティでビジネス翻訳しているらしい、センターシティでのビジネス翻訳は自動ではあるが、やはり微妙なニュアンスの違いでお互いの考え方のズレが生じない様、契約時には翻訳家を交えるのである。
センターシティで働くようになってからは移動時間が省けるので1日の仕事量が増え、姫宮家の暮らし振りも大分良くなったらしい。
晃が「それで英語が上手いわけだ納得です!」
「沙羅ちゃんの亡くなったお父さんクォーターでしたわね」と葵
「もう、そんな過去の話やめてよぅ!」
なるほど沙羅の茶髪とエキゾチックな美人な顔立ちのルーツが見えたような、異世界物アニメの現地ヒロイン的な……
それからしばらく特訓してから、沙羅が
「明日の午前中はタックンの新作映画を葵ちゃん、桜ちゃんと行ってくるので、午後から特訓よ!」と解散になりました。
ログアウトしてから久しぶりに雷太とチャットメールをやりとり、
「晃氏、姫宮さん達と今度はバンド活動とは……うらやましすぎるんだなもし、まあ、でも親友として、暖かく見守ってやるぞな」
「ありがとう雷太ところで、精霊召喚魔法が実装されたみたいだけどゲット出来たか?」
「それがエルフのクエストが鬼のような苦行なんだな、例えば落雷地区に連れていかれて、落雷を連続で100回避けて下さい……とかダルマさんが転んだを連続100回成功しなさいとか、どれだけ苦行かわかる? 95回目で失敗して振り出しにもどるとか……そんなクエストを20個だぜ! 未だユリウス氏しか成功してないって噂だわ」
「ははは! それは大変そうだ、短気な哲也さんとかには絶対無理だろうな……」などと談笑しつつ
「晃氏また困った時は呼んでよね」
「もちろん頼りにしてるぜ雷太! お休みなさい」と上機嫌で眠りにつく晃であった……
翌日朝、外は雨模様、そろそろ梅雨入りかな?
まず、朝ごはんだな、キッチンでマッシュルーム、ベーコン、ニンニク、パセリ、唐辛子をカット、それをオリーブオイルで炒めながら、塩茹でしたパスタ投入、絡めたら、ハイ出来上がり、ペペロンチーノ。朝は簡単なものが一番なのだ。
さあて昼の沙羅達との待ち合わせまで、時間はたっぷりあるのでまずは1時間ドラムの練習をした。
それからハンティングワールドオンラインにログインを行った。時間的に余裕があるので久しぶりにドアをあけて受付を通った。
「あら晃君じゃない、最近全然姿見せないから寂しかったじゃない!」
「すみません、なかなか時間にゆとりがなくて……」
「聞いてるわよ、裏ボス倒したり、エルフの里解放イベント一番乗りしたんだってね、さすがだわね」
受付のおねえさんと久しぶりに会話を交わしてから、ワールドの扉を開けた。
それから岩山の山岳地帯にワープこのあたりはワイバーンの巣があり、近づくだけで空から襲ってくる場所である。
ワイバーンは戦闘力の高めのモンスターである。
空を飛び、3メートルの大きさがあり、鋭い牙で攻撃してくる特徴を持っている。しかも群れで攻撃してくる厄介なモンスターである。
新しい精霊召喚魔法を試すには絶好の相手でもあり、この場所にやって来た晃であった。
空を見上げるとワイバーン8体が晃の上空で旋回を行っている……
「出でよ風の精霊よ――」
晃の目の前に光の閃光が現れ、形を成していく。
そして現れたのはグリフォンである。
鷲の様な顔を持ち手足と翼を持つ精霊で腰を落として晃に乗れと催促して来た……
まさかまさか……乗ると空へと飛翔を始めた!
それと同時に――〔空を駆ける者〕の称号を得ました――のアナウンスが流れた。
やった、ついに空を飛べた……
鋭い牙で襲いかかってくるワイバーン達にグリフォンが機動力を活かしてかわして行く、そして空中でホバリングしながらグリフォンの顔の先に魔方陣が浮かび上がり、風の上級魔法であるサイクロンが放たれた、ワイバーン達は竜巻の渦に巻き込まれ半数以上が墜落、瀕死ながらこちらに向かって来た3体は晃が弓矢で仕留めた。
そしてグリフォンは消えて行った、1回の活動限界は5分程度か……ワイバーンをあっという間に片付けるのだから威力は凄まじいが……あることに気がついてしまった。
MP50が必要なのだ、晃自身は魔法使いや魔法戦士ではないが風魔法やヒーリング魔法を習得していたからMPは80あるが、ヒーリング魔法初心者の桜がMP20、魔法を覚えていない沙羅、葵は0でこのままでは使えない……悲しがるだろうな、かと言って今から魔法使いに転職させてもMP50まで上げるにはかなり時間がかかり、中途半端である……
そうだ、装着するとMP50を与えるアクセサリーが確かあったはず、ゲームプラスのデーターベースにアクセス、検索すると、祈りの魔石が入っているアクセサリーとある。
ただし祈りの魔石は店とかでは手に入らないらしく、エリアボスを倒すと稀に落ちるとある、晃はあわててアイテムボックスを検索、5個の祈りの魔石を発見し喜ぶ。
問題はこのままじゃあ彼女達に渡せないことだ、なぜならこのゲームは武器、防具、アクセサリーの譲渡を認めてないからだ、理由はガチャでたまたま超レアの武器が2個でて、片方をリアルマネーでオークションかけられたりするのを防ぐためである。
唯一の例外は素材を元に加工したものをプレゼントする場合だ。久しぶりに作製スキルが役立つ時が来たようだ。
王国にワープした晃は岩田さんの武器防具屋の裏にある、彼の大きな工房にやってきた、使用許可はもらってある。
中に入ると、岩田さんの弟子のNPCが数人働いていて、熱気むんむんである。
「疾風のアキラ君いらっしゃい! 親分から話は聞いてるよ、なんでも彼女にアクセサリーをプレゼントするらしいな、そこにアクセサリー加工用の道具が置いてある、遠慮なくつかってくれ」
なぜNPCの弟子がいるのか、それは岩田さんが王国で一番の作製スキルを持っているから、弟子入り志願者が殺到しているらしい。
ギルバート陛下も定期的に岩田さんに武器を発注しており、王室御用達ブランドでしかも、爵位まで、与えられてる。
そう、プレイヤーひとりひとりに物語が生まれていくのがハンティングワールドの良いところである。
さあてアクセサリーは何にしようか、首飾りが理想的だが晃の作製スキルでは無理だ、指輪には魔石が大きすぎるので、ブレスレットにしよう。
まず銀のインゴットを取り出し、オリハルコン製の糸ノコで大きさを揃えていく。
次は熱気を放つ鉄板の上でプレスして伸ばす。
火魔法が込められたバーナーのようなもので炙りながら、道具で筒状にして魔石を埋め込み完成。
鑑定してみると〔祈りの魔石のシルバーブレスレット、装備した者にMP50を付与する、表面がでこぼこしているため、作製評価―2〕
良かった、とりあえず成功した、評価は余計だが……あと2個つくり、沙羅達と待ち合わせのセンターシティ内のSAKURAcafeに急いで向かう。
沙羅達と合流して、事情を話してからブレスレットを渡した。
沙羅が「晃君ありがとう、このでこぼこが苦労したハンドメイド感があっていいわよ、大事にするね」
「お師匠ありがとう。うれしいでござる」
「この不自然なでこぼこ、見方によっては何か芸術性を秘めているように感じますわ、オホホホ」
と皆様喜んで頂いたようでなにより……
葵が「晃君あなた、まさか夜会にいつもの忍者装束で出席するつもりですの?」
「もちろんそのつもりですが……まずい? それとも今着ているジャケットにしようか?」
「これからショッピングに行きますわよ、私達も明日のドレス新調しなきゃなりませんし」と葵
「晃君の衣装は私が決めてあげるわよ」なんだか沙羅が楽しそう。
その後夕方までセンターシティのショップで着せ替え人形になった晃でありました。
そのあとはミュージックスタジオで夜まで、翌日は夜会の直前までひたすら猛特訓をおこない、ついに夜会に向けて着替え、城の前まで来たところである。
緊張の面持ちで城に向かう風のドラプリ御一行でございました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます