第7話エルフの里 エルフ最強の使い手
晃、沙羅、葵、桜の4名からなる「風のドラプリ」御一行はエルフの
里を目指し森の中に入っていった……
「森の中って薄暗くて、不気味なのね……」
沙羅が怖々喋る……ハイキングなどで通行するひらけた明るい道
とは対照的に森のケモノ道は木々の葉が重なりあって太陽を隠してしまい暗く……
さらに猿や鳥の鳴き声がこだまして、なかなか怖いものである……
「涼しくって気持ちいいでござる」
「あらあら森林浴いいですわねー」お嬢様姉妹は怖いものなしの様だ……
鬱蒼とした森を歩き続けること5分……木々がまばらになりはじめ、開けた地域に到着……
見渡すと、木々の上に家がある……まさしくウッドハウスだ……また畑がたくさん周りに見えはじめた、すらっとして金髪のエルフの男女があちこちで農作業をしていた……
ど真ん中には超巨大な木がある……某家電会社のCM「この木なんの木……」という表現がぴったりであろう……
「あれが精霊樹かな……」
「大きいわねーあんな大きな木はじめて見たわ」沙羅がつぶやく……
周りには冒険者が続々と集結している……
「ついにエルフの聖地きたぜ!」
「エルフちゃん達に会えるんだ」
「写メ撮りまくるぜ」
「ランカーのアキラが連れてた双子エルフ可愛かったよな」
などと騒がしい……さて僕らは里長から招待されてたよな、と思惑してると
「お前達待ちかねたではないか」
と木の上から声がして、見るとカーヤマーヤが木から飛び降りて来た!
「入り口近くの木の上で張ってた甲斐があった」
「カーヤちゃん、マーヤちゃんお待たせでござるよ」桜が2人と抱き合う……
そんな光景を目撃した周りにいた冒険者達が集まり始める
「双子のエルフ発見!」
「かわいいな!」
などとあっという間に人だかりが完成……
「写メ撮っていい!」
「お主たちいきなりなにをするかー!?」
カーヤの後ろでマーヤがびくびくしている……
「あなたたちやめなさい!」と沙羅が叫ぶもかき消されてしまう。
このままでは収集がつかん、平和的解決方法は……
「皆様注目! エルフの双子も全員の相手出来ないので彼女たちを真ん中に集合写真撮りまーす! 希望者は集まって下さ~い!」
「お師匠なんてでかい声でござるか?」
「ふふふ……アサシンのびっくり声スタンスキルさ!」
「?」
アサシンが暗殺の為に敵にコッソリ忍びよった際に発見された時に超大声で叫び混乱させて、相手にスキをつくり倒すというスキルが初めて役立った様だ……。
無事撮影会も終わり
「写真欲しい人はランク7位のアキラまでメール下さいね!」
「ありがとうアキラ!」
「ありがとう!」
皆さん満足気にエルフの里散策に散っていった……
「なかなかの解決方法でしたわよ!」葵さんが褒めてくれた……沙羅、桜も微笑んでた……一日一善は気持ちの良いものだ……
カーヤ、マーヤのひとしきりのお礼を聞いたあと精霊樹近くにある……ひときわ大きく立派なログハウスの前で、カーヤが
「ここが私達の家です……さあ入りましょう」と梯子を上って行く……
中に入るとびっくり!外から見てもそれなりに大きく見えたとはいえ、ツリーハウスだと広さは……と思っていたのだが……30畳くらいの広さがあり、中には10人以上のエルフさん達が待ち構えている……
「え! なんでこんなに広いのでござるか?」桜がびっくりしながら問いかける……沙羅や葵さんも僕同様ポカンと口を開けていると……
40才くくらいのナイスミドルな男性が近づいてきた……やはりスラーとした長身で金髪の髪に長い耳青い目、まさしくダンディエルフですな……
「おう! 君が疾風のアキラ君? 今回は長き間行方不明になってた娘達をエルフの里に導いて頂き感謝に絶えない……私の名はブライアンだよろしく」
「よろしくお願いします」
「となりにいるのが妻のナーナである……」
ゴホゴホせきしながら「よろしくですわ」
ブライアンの話しによると、ナーナの家系は昔から精霊樹に祈りを捧げる巫女の能力を 、継承しており、祈りを捧げることで……精霊樹からエネルギーをこのエリアにもたらしていると……それによりこのエリアだけでなく、近接する周辺エリアも豊かさが生まれ、それによって、部族間争いや、オーガ、ゴブリンなどとの争いが抑えられ、秩序が保たれていた……
ところが、まず数年前にナーナの継承者であるカーヤとマーヤが突然行方不明になり、心労で病がちとなり……ここ10日は祈りを捧げることも儘ならず……この度の騒動が起こった原因なのでは、ということらしい……
カーヤ、マーヤが戻って来たことで、ナーナも快方に向かっている。
「じゃあカーヤちゃんたち、この地にとどまるしかないでござるな……」桜の問いに……
「これ以上母上や里の皆に迷惑をかけるわけにはいかんからな……でも本当にお前達との旅は楽しかったぞ、またアニメとやらを見せるために遊びに来てくれ……」 そっちかい!またこの家の広さは魔法によるものらしい。
ブライアンより
「君達には、本当に世話になった……よって、褒美として特殊能力を精霊樹の力を借りて捧げよう……で、その前にだがひとつ頼みがある」
なんか嫌な予感しかしない……
「疾風のアキラ殿……あなた様の強さは娘達から聞き及んでおる……いにしえより、里の守り神として代々続く家系の後継者にして、エルフの最強の使い手である
ルークと一度手合わせをお願いしたい!」
そう来ましたか……こんな展開、前にもあったな、王国主催の武道大会で優勝したあと、ガルブレイン戦士長と闘わされたよな……このゲームのNPC……戦闘民族ばかりだな、もう……オラわくわくしないんだけど……
しかもエルフは弓と魔法の使い手……弓はともかく、範囲魔法攻撃はいくら晃でも回避が厳しい……つまり相性が悪いのでさっさと辞退しようっと……負けそうな相手と戦わないのが武蔵流無敗の秘伝さ……
その時190センチはあろうか…長身の白髪ロン毛のエルフがつかつかと晃の前に歩きでた……端正で凛々しい顔立ちに長いまつ毛……真紅の燃えるような瞳……イケメンだ……
「ちょ! なにあのイケメンぶりは……」と沙羅
「超イケメンでござるな」
「ちょっと惹かれてしまいますわね」桜や葵まで……
ルークが「軍神とまで呼ばれる家系を継ぐこの私が弱いヒューマンのしかもこんなチビに負けるわけないだろうが……」
だんだんムカついてきた……「いいですよやります……」
ブライアンが喜びながら
「そうかそうか! それは楽しみだ……では1時間後、精霊樹前の大広場にて
手合わせだ!」
しまった!? ハッと我に帰った晃だった……やばい!どうしよう……
桜が「晃お師匠が負けるわけないでござるイケメンエルフに手加減してあげるでござる」
「そうよねー空気を読んで接戦を演じたりはするでしょ?」沙羅も気楽に言ってる……
「それが……自信ないのよねー!」晃がつぶやくと
「あらそうですの?」葵が尋ねる
「エルフは魔法が得意でしょ?僕の得意戦術はひたすら相手の攻撃を回避して……ヒットアンドアウェイなのよ……魔法は避けづらいのよね……そうだ……ちょっと着替えてくるわ……」
晃が森の中に着替えに行くのを見ながら3人は
「あんなに弱気の師匠初めてでござる……」
「本当……大丈夫かしら……」
「心配ですわね」
さてエルフの精霊樹前の大広場にはたくさんのエルフや何事かと冒険者達が集まってきていた
ブライアンが「さてお集まりの皆さんこれからエルフ最強の使い手とアース大陸の冒険者の中でもトップクラスの使い手との対決がございますルールは武器の使用及び魔法の使用全般許可します。どちらかが参ったするまで続けます。
ただし命に関わると判断された場合はストップとします」
「お――!」場内に大歓声が響き渡る……
すっかりショーアップされてるんですが……ブライアンもノリノリですな……
「まずはエルフの守り神の家系の後継者にしてエルフ最強の使い手……軍神のあだ名を持つル――――ク!」
ルークが弓を掲げながら晃を睨みつける……
「きゃールーク様ぁぁ!」
「ルーク頑張れ――!」さすがホームだ声援半端ねえ……
「対するはアース大陸冒険者ランカー7位
にして王国主催の武道大会優勝者!!
疾風のアキ――――ラ!!!」
「晃お師匠頑張るでござる――!」
「晃君頑張って――!」
「晃君頑張るのですわ!」桜、沙羅、葵も声援を贈ってくれた……
声援に手を振りながら、さあどう戦おうかと思惑にくれる晃であった……
「ファイッッッッ!」
ゴングはさすがに鳴らなかったか……詰めが浅いなブライアン……
後ろにジャンプして距離を取ったルークが挨拶がわりに弓を素早く構え鉄矢を1本
ヘッドショットしてきた……晃は避けるまでもなく見切り、頭だけをひょいと動かす……
耳元に「ビュッッ!!」と鉄矢の通り過ぎる音が響き渡る……晃も愛刀である妖刀イザナギ改を構えた……
すかさずルークが5本の弓矢を同時発射……忍者ならではの華麗なジャンプでかわしたアキラはすかさず手裏剣を5発投げるもルークも巧みな体術で避けて行く……ルークも走りながら火矢や雷魔法属性の矢を次々に放ってくる……それらを華麗なジャンプや体術でかわしつつ火炎瓶を投擲する
「土の精霊よ……ウォール!!」
ルークの前に土の壁が現れ火炎瓶が爆裂!
爆炎に包まれた壁の陰から3本の風の魔法で加速された矢が晃の頭を襲う……イザナギで3本とも叩き斬る!
「うおおおお!」
「すごいぞ!」
スピード感ある攻防に観客もヒートアップしている……なるべく派手なジャンプしたりして観客を意識した甲斐がある……
やっぱり派手に行かないとね!
でもルークにも晃が余裕を持って戦ってることはお見通しの様で
「狙撃ならともかく、こちらの場所が知れてる以上、弓では勝負にならんようだな……」
と「火の精霊よ……」と詠唱を始め、ファイヤーボールが次々と晃を襲う晃はこれも忍者やアサシンの最速のかわし技スキルをつかい回避していく。
「ふふふ!さすが疾風と呼ばれるだけのことはあるな……これならどうだ……
メガフレア!!!」
最上級魔法の大爆発が晃を中心に起こり「ぐぬぬぬ!」晃も大ジャンプして逃げる
が……爆発の規模が大きく晃が爆炎の中に包まれていった……
「晃くん……」沙羅が心配そうにつぶやいた。
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