第5話 オーガグレイトとの熱闘 そして決着…

 エルフの里の危機を救うべく、冒険者達を募り、戦況を有利に進めていた、

が……しかし晃達の前にオーガの王 オーガグレイトが立ちはだかった!


 5メートルの巨体鍛え抜かれた筋肉、真紅に彩られた肌、巨大ハンマーで武装されている! また左手には装飾の施された大盾が握られている……


 そして、明らかにエルフの双子カーヤ、マーヤを凄い形相で、睨みつけている。


「カーヤ!知り合いかい?」

「あんな暑苦しそうな奴、知り合いにはおらん!」

 マーヤもブルブル首を横に振っている


「精霊樹の巫女ども、オーガ一族を統率する王であるこのわし、オーガグレイトみずからが討ち取ってやろう! 邪魔だてする奴は土に帰してやる!」


 ただならぬ気配にユリウス隊、鉄火団が間に入ってきた、

「エリアボスだなレイドパーティ組まないか?」

とユリウスからの誘いに、


「もちろんです! 鉄也さんの鉄火団もよろしくお願い!」


「ウッス! 任しとけ!」


 晃が「俺たちはユリウス隊、鉄火団のサポートに回る……どうやらカーヤ、

マーヤが狙われているらしい……」


「了解!」

「承りましたですわ」

「お師匠わかったでござる!」


「雷太、哲郎も……」

「カーヤさんとマーヤさんを命がけで守れば良いんだな……きっと」

「この双子の生死がイベントクリアの鍵かもな」

……さすが2人とも思考がゲーマーだな


 その時ユリウス親衛隊の数人が魔法攻撃を展開!

「土の精霊よ……」

「風の精霊よ……」

「水の精霊よ……」

「火の精霊よ……爆炎を以て焼き滅ぼせ!!」


 星7レアのロッドから強力魔法が次々にオーガグレイトに向かって襲いかかる!


 オーガグレイトから「シャアアアアア!」大音量の咆哮が響き渡る! なんと魔法が打ち消された!


「なんだと!」ユリウスも慌てている


 それでも魔法使いたち、散開しながら

「闇に集いし魔の眷属よ……」

「光の神の加護の元で命じる……聖なる閃光にて裁きたまえ!」


 とすかさず闇属性及び光属性魔法を四方から放つ!さすが上位パーティである、手慣れたものである……が! しかし……やはり「シャアアアアアアア!」咆哮を

繰り返し全て無効化し、しかもものすごい速さで魔法使いの一人に向けジャンプしながら、ハンマーを打ち下ろしに来た!

「ちぃっ!」

 ユリウスの剣が一閃! 光る気弾が放たれた! それがハンマーの軌道をわずかだけずらし、魔法使いへの直撃を避けさせた!


 それでも魔法使いは範囲ダメージを負っている! 「奴の咆哮には属性に関係なく魔法を打ち消す力があるみたいだ! 物理攻撃を仕掛るんだ! 命を大事にな!」 ユリウスの指示に

「ユリウスさまぁ承知いたしましたわ」

 とユリウス親衛隊の面々が答えながら弓兵、槍兵、剣士の面々が物理攻撃を繰り広げる!


 その間にユリウスは

「マユミ大丈夫かい?」

とおもむろに傷ついた魔法使いに熱いキスを始めた!

 おいおい……それ以上は……18禁ですから……みるみる魔法使いのマユミさん

が回復して行く……


 さては、ポーション口移しだな……


 我がパーティを振り返ると沙羅、葵、桜3名ともに顔を赤らめている、意気がってようが、お嬢だろうが、まだ高2なりたてである。VR世界とはいえ、リアルキスを目の前でみると、そりゃドキドキもする……


 マユミさんは満足気でありました。


……で、物理攻撃隊は? オーガグレイトが持つ立派な装飾が施された大楯に阻まれ、まったくダメージを通せないでいるようだ……


 ユリウスも早速攻撃を仕掛け始めた。彼の自慢の名剣クラウ・ソラスが眩いばかりの光を放ちながら!

「連星流星群!」

 剣撃の後に続いて土と光の混成魔法の光を放ちながら岩が散弾となって襲いかかる、かなり強烈な攻撃を喰らわす!


 さすが!ランカー1位である、見たことのないスキル技が炸裂!


 さらにユリウス親衛隊の星7レア武器の

「グングニル光の槍を放て!」

「ブリューナク稲妻とともに貫通せよ!」

 と物理魔法攻撃が次々に四方から襲いかかっていった!


 爆炎のなかから無傷のオーガグレイトがハンマーを360度ぶん回してきた!


 おおきな悲鳴が聞こえ……直撃を喰らったユリウス親衛隊のひとりが

消えて行った……

「マリエー!」

 ユリウスの嘆き声が喧騒の中でわずかに聞こえる……


 そこに鉄也率いる鉄火団がなだれ込んで来て重戦士パワーでハンマーや斧を

オーガグレイトに向かって叩きつけて行く、特に鉄也の武器ミュルニルのハンマー攻撃は最強との噂高い攻撃力であった……


 ……が!しかし大技は大楯に阻まれ!スキをついて到達した攻撃も、彼の

筋肉に阻まれ……全く糸口が見えない!


 ユリウスが晃の横にやってきて

「ちぃ……魔法は咆哮でかき消され!物理攻撃は大楯で防がれてこのままだと

被害が大きくなるばかりだ……」


そこで晃は……「奴の口と大楯を持った左腕をなんとかすれば良いのですよね?」


「そうだ! 何か名案があるのか?」


「自信はないけどやれるだけやってみます! 敵の注意をそらせる為、足に攻撃を集中お願いします!」


 ユリウスから全員に足を狙うよう号令がなされた!


 そしてすかさず晃は…LV95になって覚えたての技スキル

「影縫い!」と唱えながら手裏剣をオーガグレイトの影に放つ!


 一瞬! 動きが止まったかに見えたが、すぐ振りほどかれる、

「やはりな……LV差があると効かないなあ」


「よし! これならどうだ……」


 皆の攻撃が足に向かっている隙をついて、晃はオーガグレイトの背後を取り左腕の関節を決めつつ、スタンディングスリーパーしかし直ぐに強力なパワーで振りほどかされそうになったその時!


「影縫い!」

 晃は自分の影をその状態で固定化したのである、そうなるとそう簡単には振りほどけない!


 しかも首と左腕関節を決めているので咆哮や大楯の操作もままならないはず……


「今だ! 全員で一斉攻撃お願いします!」


「それだとアキラ君にも当たるじゃあないか?」

「構いません! 宜しくお願いします!」

「アキラ君、ありがとう……皆さん!必殺スキルで総攻撃だ!」

 とユリウスの号令がかかる


 しばらくして、大歓声とともに一斉攻撃が襲いかかって来た! 各種魔法攻撃やら魔法を伴う物理攻撃が七色の光を放ちながら……


 眩しさに思わず目をつむる……それでも瞼を通して赤、黄、金、青、緑の光がピカピカと踊っている。


 まるで花火だな!綺麗だな……


 ピカピカッ……ドンドン!

 ピカピカッ……ドンドン!


 花火大会なんていつ以来だろう小学校の頃に、両親にせがんで連れて

いってもらった……


 父さんは仕事から帰るのが遅くて間に合わず……


 頑張って仕事を早く終えた母さんが自転車の後ろに乗せて連れてって

くれたっけ……


 もちろん自転車といえども2人乗り禁止のご時世……警察官に笛を吹かれ

「ピーピッピ!そこの自転車2人乗りはやめなさい!」


 必死に謝る母に、警察官さんは

「今日だけは罰金見逃すけど、普段はダメだよ!自転車を押して早歩き

すれば5分後の花火大会間に合うから!急いで行きなさい!」


 ぎりぎり開始時間に間に合い、港の近くにたどり着いてみた花火……本当に綺麗だった……


 なんて回想に浸っていると……いきなり静寂に包まれた……


 周りを見渡してみたが、闇、闇、闇……深淵なる静けさと暗闇が続いていた


 そうか……僕は、死んだんだな……


 あんなに皆を守るって偉そうに言ってたのに……


 情けないなー、僕は……


 それと同時に懐かしさも感じていた、このボッチ感、懐かしいし心地よいかも

両親ともにバイオ研究所での仕事が多忙になり、小学生後半の頃からひとりで留守番は慣れっこ、アニメを見たり、ゲームをしたり、だんだんそれが晃の日常……


 そんな日常からかけ離れたこの4日間は、本当に楽しくて……楽しくて……


 卒業までに一度は会話したかった姫宮沙羅や龍ヶ崎姉妹と冒険やれるなんて…まるで、本当に夢のよう……


 でも雷太や哲郎にゲームを誘われても、一緒にやらなかったのは彼らが22時

以降ログイン出来ないから、なんてじつは嘘……


 ボッチでゲームするのが心地よかっただけであった……


 このまま、龍ヶ崎桜のリハビリは雷太達に任せて、またソロ狩りに専念しようか?


 ひんやりとした石の祭壇の上で復活……そのままじっと起きずに佇む……やがて起き上がり周りを見渡す……


このゲームで死に戻りしたのは何カ月振りかな……


 久しぶりに神殿内を散策……夕焼けの日差しに照らされた、ステンドグラスに書かれた絵が綺麗な光と影のハーモニーを演出してる……


 体力が二分の一に減っているためか、体が少しだるい……


 戦況は気になるが半日はデスペナルティーでLV47になってるので戻っても役に立つまい


 エリアボスのオーガグレイトは晃が押さえたお陰で多分倒せているはず……


 それまでの戦況からエルフの里は無事守られたであろう……


 と神殿内に小部屋を見つけて、扉を開けてみるギィー!  中には机と椅子とベッドがあり、机の上には聖書らしき本が置かれている……


 住み込みの修道女の部屋かもしれないな……そっと椅子にもたれかかり、さあどうしたものかと……皆を守るっていいながら、真っ先に倒された情けない状況で、どのツラ下げて戻れよう……


 この机で宿題でもしてようか……その内、修道女が帰ってきてラブラブシチュエーションでも始まるとか……


 その時ギィィーと扉が開いた!


 振り返るとそこには沙羅が……


「こんなところでなに油売ってんのよ! みんな待ってるわよ! 晃君がいつまで待っても来ないから、私が迎えに来たんだからね! 感謝しなさいよ!」


「しかしこの部屋よく見つけたな?」


「私達パーティ組んでるからレーダーで分かるに決まってるじゃない!」


「そっか」


「なに黄昏てるわけ? 行くわよ!」


 手を引っ張られた! 女子と手をつないだのなんて、小学校の運動会のフォークダンス以来かな……


 そして神殿の外まで引っ張られ、エルフの森の入り口に近いところまでワープして来た。すっかり夜になっていた……


「お師匠おそーい!」

「どこをほっつき歩いてたのですの?」

 桜と葵……それにカーヤが

「疾風のアキラ様!おかげさまでエルフの里は守られました! ありがとうございました!」マーヤがとなりでうんうんしてる……


「あれ? 雷太と哲郎は?」

「今回の初回イベントクリア報酬でアダマンタイト? やらミスリル? などの希少金属のインゴットがもらえたので早速装備を改良してもらってくるって武器防具屋に行ったわよ!」と沙羅


 そうか、晃は途中でやられたから報酬なしだが、皆報酬ゲットしたのだな……

そういえば沙羅達LV29まで上がっている


 カーヤが「また里長でもあります、私達の父上より伝言がある 疾風のアキラ様、桜様、葵様、沙羅様、精霊樹の巫女であるカーヤとマーヤをよくぞ、エルフの隠れ

里まで導いてくれた、これで精霊樹の力も高まり、周辺地域の秩序も戻るだろう、

明日直接お礼を申したい! とのことだ」

 へえ! 巫女設定なのか…そういえばオーガグレイトも言ってたな……


 その時運営からメールが

「エルフの森の解放イベントがクリアされました。エルフの森への立ち入りが可能になります。またオーガ、ゴブリンエリアにオーガの城が誕生いたします。皆様腕をふるってボスであるオーガグレイトに挑戦して下さい!」


 オーガグレイトは恒久的なエリアボスとして復活したんだな……


 カーヤに「お父さんは今何してんの?」


「王国の騎士達と酒盛りの真っ最中だろう! お前達も来るか?」


 ガルブレイン戦士長だな……

「それはいいや、やめとこう!」


「かわりにエルフの里の解放記念で花火大会やろうか!」と晃


 沙羅が「ちょ!? 花火なんてこのゲーム内にあるの?」


「任せなさい!  そーれ!」


 癇癪玉を5個掴み夜空にむけて、放り投げる、そして風魔法で全てを爆破する、

パパンパパパパパパ! パパンパパパパパ! と大きな音を立てながら、鮮やか

な色彩を放ち爆発して行く……


 桜が「なるほど! さすが晃お師匠!」と癇癪玉や火炎瓶を放り投げ、矢で

パパンパパパパパパ! ドーン! ドーン!


 カーヤ、マーヤが「我々も遅れてなるものか!」

「火の精霊よ!……輝きたまえ!」

火魔法が鮮やかな真紅の光を放ち夜空を染め上げる!


 葵さんが「私も負けてられませんわ!」

エクスカリバーの必殺スキルの光属性魔法で黄金色に照らし出す!


 沙羅が「ちょ!?私だけ光モン持ってないとか……晃君なんとかしてぇー!」


「ほいよ!これを槍で突いてね!」


 丸い物体を放り投げた! 沙羅がそれを突くと! 雷がピカピカ! ドンドン! と槍の先で放出され続ける!


 晃が投げたのは雷魔法の込められた魔法アイテムでコスト高め……


 桜が「沙羅姉!超巨大線香花火でござるか? うらやましいでござる!」


「ふふふーん!」

沙羅さん上機嫌でなにより……


何事かと、いつのまにやら草原の小動物や森の小動物が晃達の周りに集まっていた……


「たまやでござる!」

「ターマーヤーですわ」

「ちょ! キャハハハッ」


花火大会は癇癪玉や雷アイテムがなくなる夜更け過ぎまで繰り広げられたので

ありました……


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る