第11話 ヤリマンを貶めたヤツを探せ
「この動画を撮った人を見当つけられる人、急募」
パソコンと自分のスイッチを入れ、
降りて来い、降りて来い…。
僕は目を瞑りエンターテイメントの神様を自分に憑依させた。
生放送をする前は瞑想をし、テンションを生放送用に持っていき
生放送をするようにしていた。
僕はニコニコ生放送の自分のコミュニティでリスナーたちに、
この動画を晒しあげた人を生放送を通して、一緒に探してもらうことにした。
「おつー」
「なんかあったのか?」
など、次々コメントが増えていく。
あっという間にコミュニティの生放送の閲覧数は5分で2,000近くになっていた。
僕は閲覧しているリスナーに語りかけた。
「ワッホイ!!おつかれーーーー!!ネットで話題になっている赤ちゃんになってしまっている女子大生の動画だけど、
みんな知ってるかな?これ実際、誰が晒してるんだろう。なんとか検討つけられないかなーーー?」
僕はニコニコ動画に上がっている動画を自分の生放送で見せると
しばらく間があってから、
「むりじゃね?」
「そんなことする必要なんであるの?」
「このAKC巨乳姉貴、すこ」
「3回抜いた」
など、皆、思い思い好き勝手にコメントしている。
「俺、これ撮ってるやつ炙り出せるよ。」
ハンドルネーム「砂嵐」さんから画像URLが送られてきた。
砂嵐さんは常連のリスナーさんでハッカー的なこともできるし、
スキャンダラスな有名な歌い手を引退まで追い込んだことがある
特定厨としてもとても有名だった。
「この画像、開いてみ?」
砂嵐さんが指定したURLを見たところ、
かすかだが確かに女性が笑いながらスマホらしきもので動画を撮影している様子が写っていた。
「さぁぁぁぁぁぁぁぁすが、砂嵐さん!?どうやって炙りだしたんですか?教えてプリプリプリプリーーーズ!!!!」
「簡単だよ。その撮影しているやつの目の前の窓ガラスに姿が写り込んでたんだ。
あとは画像をトリミングしたり、色味をいじってやれば検証完了。」
僕は砂嵐さんの能力に背筋が凍る思いがした。簡単かもしれないが、それをものの数分で行う能力は長年培われた特定厨の技術そのものだ。
大きなヒントは得られた。枠の目的は果たしたが、僕は残りの時間をリスナーとゲームや、雑談を行い枠を切った。
やはり生放送は遊びにきてくれるリスナーとの楽しい交流が目的だし、枠を途中で切らず、きちんと使い切るのが僕のこだわりだった。
リビングに戻ると、満先輩がポカリスエットをラッパ飲みでがぶ飲みしていた。
二日酔いのため、体調が悪いのか顔が火照っている。
「やっぱり二日酔いにはポカリだね~。ゆうくんもいる?」
満先輩は自分が飲んだポカリを僕に勧めてきた。
「え、え〜と。」
間接キスになってしまうじゃないか!と、思いながらも誘惑には勝てず、先輩からポカリスエットを受け取り、ドキドキしながら口をつけた。
「わ〜い!飲んだ!飲んだ!あたしの唇を意識したなぁ〜!うりうり〜!」
満先輩は悪戯っぽく笑い、僕のほっぺを人差し指で突いてくる。
「せ、先輩!は、はめましたね!?」
「ごめん、ごめん。反応かわいいな〜!」
満先輩はいたずらっぽく笑っている。ちょっとお酒が残っているようだ。
僕は気を取り直し、先ほど発見した新事実を満先輩に伝えた。
「先輩!そんなことよりこの写真をみてください!この人に見覚えありませんか?」
僕は先ほどの砂嵐さんが特定してくれた画像を見せた。
「う〜ん?ぼやけててみづらいけど、たぶん、うちのクラスの鐘望さんかな?この子がどうしたの?」
「今回の動画を上げたのはこの人の可能性が高いです。」
「ええ〜!?本当に!?」
先輩は大げさに両手をあげて、驚いてみせた。
「満先輩、この人を探しに行きましょう。」
「そんな娘だったかなぁ。でも、確かにあたしに怨み?があるのか先日、「絶対許さないですわ!この変態糞娘!尻軽!」ってすごい剣幕でキレられたんだよね…。」
先輩は悲しそうな顔をしながら呟いた。
「え?満先輩、この人の彼氏でも取ったんですか?」
ヤリマンで有名な満先輩ならではのありえるので聞いてみた。
満先輩はブンブンと首を振った。
「そ、そんなことするわけないよ〜!鐘望さんが好きだって有名な幸野くんから、
授業の班が一緒だったから、課題をカフェ一緒にやろうと誘われたのだけど、
そのときの様子を鐘望さんが勘違いしたのか、私がアプローチしたと思い込んだみたいなんだよね。」
普段の立ち振る舞いとか、印象って怖いなぁ、僕も気をつけよう…。
「めちゃくちゃ逆恨みされてるじゃないですか!?」
「でも、おかしいなぁ。そのあと、仲直りも兼ねてクラス会の飲み会をやろうっていってきたのが、鐘望さんだから、私に対してもう怒っていないと思うんだけど。」
「いや、それ、満先輩を嵌めるための罠じゃないですか!?」
先輩は思いっきり、ぽかーんとした顔をしたあと、
「え!?そういうこと!?」
「そりゃそうです。不自然すぎるでしょ!?」
だ、だめだこの人どうにかしないと。
満先輩のピュアは3歳児並だったようだ。ひでかな?
「証拠がないので確信が持てないのですが、本人に話を聞くには十分な証拠と証言になるかと。」
「そ、そう?」
「今日ってその人、大学にきてますか?」
「今日は鐘望さんも出ている講義に私も出てるから来ているはずだよ」
「そうなんですね。僕も一緒に行くので、その人に話を聞きに行きましょうか。」
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