第4話 コンビニのコンドーム買うときってどのタイミングで買えばいいの?
今から出ればちょうど先輩が上井草に駅に着く5分前くらいには着くかな。
外はまだシトシトと雪が降っていた。
玄関に置いてある『75cm』と手元にシールが付いたデカデカと貼られた
大き目のビニール傘を持っていった。
勢いでうちに来てもいいって言っちゃったけど、
終電近い時間だし、話が終わったあと、先輩は家に帰れるのかなぁ。
えっ…もしかして、もしかして!?
終電がなくなったら朝まで男女が二人きり!?
なんて、そういう展開も絶対あるよなぁ!?
も、もしかして、もしかして!?
今夜、童貞卒業できてしまうのでは!?
かわいくて、美人の満先輩で童貞が卒業できるなら、
「ビクトリー!!!」って叫び出したいくらい光栄だけど、ムフフ。
って、うわ~~!!僕って最低だ~!
傷ついている満先輩の弱みに付け込んでそんなこと考えるなんて…。
駅に向かう、5分間、僕は悶々としながら歩いていた。
約束の待ち合わせ場所のガンダム像の前についてもモヤモヤは続いていた。
ニヤニヤしたり、深刻そうになったりと、
くるくる表情が変わる僕の様子は周りから見てもかなりキモかっただろう。
それにしても満先輩、遅いなぁ。そろそろ到着してもいい頃だと思うんだけど。
何か来る途中であったのかなぁ。酔っ払いに絡まれたり?
冷える身体を揺らしながら待っていると、改札から満先輩が小走りで改札から出てきた。
「ごめ〜ん!結構、待たせちゃったかな?上井草って急行停まらないんだね。
上井草をすごい勢いで通り過ぎたときは絶望したよ~!」
先輩はばつの悪そうな顔で僕を見た。
「お疲れ様です、先輩。上石神井までいっちゃったんですね(汗)あるあるです。
気にしないでください。」
「今日はいきなり押しかけちゃう形になっちゃったのに、
時間を作ってくれてありがとね。それじゃあ、一番合戦君のうちに行こっか。」
「あ、は、はい。」
自分でも心臓がドキドキしているのがわかった。
なんのこれから先輩がうちにくるのかぁ~~!!
「あ、傘。電車内に忘れてきちゃった…。」
先輩は両手を上向きにして、雪を受け止めるしぐさをした。
「大丈夫ですか?」
「だいじょうぶ、だいじょうぶ!ビニール傘の安いやつだから。」
先輩はあははと軽く苦笑いをすると、両手をひらひらさせた。
「あの良かったら、僕の傘貸しましょうか?このくらいの雪だったら自分は大丈夫なんで。」
僕は先輩が雪に濡れないように傘を差し出した。
じゃあ、さ。
先輩はいたずらな感じで僕の腕を掴むと引き寄せて
「一緒に入ってこ?」
と、微笑んだ。
「あ、え~と。ええ!?」
突然の不意打ちに僕は完全にやられてしまっていた。
これが小悪魔ヤリマンと呼ばれる由縁か~!!
なんだこの人、か、かわいすぎるぞ。
先輩は僕の腕をひっぱると腕を組んだ。
これって相合傘なんじゃないか!?
僕はうちのほうに歩き出した。
「あ、そうだ」
先輩がなにかを思いついたようだ。
「コンビニ寄って行かない?
あたし突然、きちゃったし。一番合戦君に何かお土産買って行きたいな。」
「そんな気を使わなくて大丈夫ですよ。
…あ、でも、うちお茶くらいしかないのかぁ。」
と、つぶやく僕に、いいからいいからと、
先輩はいいながら丁度、セブンイレブンを通りかかったので僕を引っ張っていった。
「よし!先輩がなんでも好きなものを買ってしんぜよう!」
セブンイレブンの買い物カゴを持ちながら先輩は、とてもウキウキした様子で店内を物色し始めた。
僕はというといつもは素通りする日用品のコーナーの『コンドーム』を変に意識してしまっていた。
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