第9話 新たな生活

 マリアはシンシアを荷物と一緒に家に連れてきた。


「マリア、この培養タンクはどこに置く?」

「物置に使っていた部屋がひとつ空いているでしょう。」

「あそこは僕のものばかりだ。」ふくれるような言い方でアランは反対の意志を表明した。

「それじゃあ全部あなたの部屋に移して頂戴。」

 一切の斟酌をすること無く、アランに反論の余地を持たせず、マリアは言ってのけた。


「シンシア手伝っってくれよこれ結構重たいんだ。」

 アランは培養タンクの梱包を解くとシンシアに呼びかける。

「判りました。」

 そう言うとシンシアは培養タンクを軽々と持ち上げ家の方へ歩いていった。


 アランが呆気に取られているのを見てマリアが意地悪く言った。


「あの子を抱こうと思ったら絞め殺されないように気を付けなくちゃね。」

「看護ロボットなんだろう?なんであんなに力が有るんだ?」

 男のプライドを傷付けられてアランは不満のようである。

「看護ロボットだからよ。人の世話をしなくちゃならないから見かけと違ってかなり丈夫に作ってあるんでしょう。自分でそう言ったじゃない。」

 そう言われてアランは渋い顔をしていた。


 シンシアは手早く部屋を片付けると培養タンクを設置した。


 荷物は普通に着られそうなものと下着類だけを持ってきたが、アランはそっと荷物の中にレザー製のレオタードとブーツを忍ばせていた。ムチ付きで。


 アパートは標準的な夫婦向けの物で部屋は5つ有り大きなLDKが有る。子供が生まれても十分住める大きさだ。

 もっともコロニーでは夫婦で子供を育てるのは半数以下で育てていてもベビーシッターか保育所に預けられて殆どの男女が働いている。

 それ故保育関係の人材は慢性的に不足しており、看護ロボットが人間のアシスタントとして活躍している。

 特に人工子宮から生まれた卵子移民の子供たちは人口の調整弁として年代別人口変動を最小の状態に保ち続けている。彼らを育てるのもまた看護ロボットの仕事である。


 大量生産される看護ロボットは性能に比して非常に安価であり、その寿命と同じ期間の人間の給料よりも安く使えた。

 人間は育成期間が必要であるのに対しロボットはそれが必要無いのである。そのことを考えるとかなりコストは低く抑えられると言えるだろう。

 ただしやはり人間と違いその情操面での差は歴然であり、赤ん坊は決してロボットにはなつかない。グロリアを使えば人間並と言われてはいるが実際は判らない。

 いずれにせよ安全管理の問題からも必ず人間とのペアでロボットは使われていた。


「もう片付いたの?」

 マリアは綺麗に整頓された部屋を見て驚いた。

「はい。」シンシアは部屋の真ん中に立ったままでいた。

 クロゼットには服が下げられ、引き出しには下着が綺麗に収められていた。

 それに引換アランの部屋は今までシンシアの部屋に有った荷物を入れた為に足の踏み場も無くなっていた。


 アランのクローゼットの中に変なものを見つけた。


 マリアはそれがレザー製のレオタードであると判るとそっと持ちだして自分の部屋のクローゼットに移した。ムチ付きで。


 叔父の話では新しい仕事先を用意したと言っていた。

 マリアは叔父に家が片付いた事を連絡すると場所を指示してきて2時間後に来てくれと言っていた。

 マリアはアランの手助けをして荷物をあちこちに押し込む。


「そろそろ時間かな?」アランが言う。

「そうね出かけなくちゃ。」

「僕はいけないよこの部屋を片付けなくちゃならないし。」

「全部捨てればいいのよ。」

 マリアに言われてアランはあわてて荷物を隠した。

「それじゃ出かけるわよ。」

「あなた外へ出た事んないでしょう。」

 実はシンシアは時々各地の監視カメラに入り込んでコロニー内の状況はわかっていた。しかし聞かれることも無かったので黙っていたのだ。


「カート配車コール。」マリアは携帯電話に呼びかける。

「カートサービスです。」

「カート2、一台。」

「了解しました、表通りに一分後に到着します。」

 携帯の位置情報に合わせカートは自動的に近くまでやって来る。


「いきましょう。」

 マリアが先に立って歩き始める。

「どちらへ行くのでしょうか。」

「新しい仕事の所へ挨拶にいくのよ。」

 シンシアは黙ってマリアの後に付いていった。


 表に出ると小型の無人の乗用車が到着した所であった。

 携帯電話に反応し車のドアが開き、乗り込むとすぐに発車する。通常のフロアなのでゆっくりと走る。

 交差点には信号は無いすべての車はコンピュータが管理しており交差点に設置された監視カメラにより歩行者の動きを車に伝える。

「どちらまで行きましょうか。」無人のコクピットが聞いてくる。

「中央総合病院までお願い。」

「わかりました。」


 ふたりで話をしているうちにエレベーターターミナルに着く。

 地上を走っても行けるが速度を上げられないので下界の道路階を走ったほうが早く着く。

 車がエレベーターに入るとすぐに降り始め、道路階に着く。道路に入った途端に車はスピードを上げ、非常な高速で走る。

 道路は全て一方通行でありインターチェンジもまた一方向のみである。

 一周が8キロ程度の環状道路が10本、直行する道路が4本である。環状道路と直行する道路の組み合わせでたちまち目的地近くのエレベーターターミナルに到着する。

 そのままエレベーターに滑り込むと上に上がり、程なく目的地へ到着した。


「ありがとうございました。レシートは必要でしょうか?」車が尋ねる。

「いいわ。ありがとう。」

「またのご利用をお待ちしております。」車はそう言って走り去っていった。

 中央総合病院はこのコロニー内で一番大きな総合病院であるばかりでなく、此処では人口子宮による出産や、卵子移民の育児等6歳以下の子供の総合的育児センター部門を持っており、周囲に大きな公園や学校も併設され、全体が大きな文京施設となっている。


「どなたにお会いするのでしょうか。」

「あなたは明日から此処で働くことになるのよ。」

 ふたりは病院に入っていくとそこには叔父が待っていた。

 3人は待合室のラウンジのイスに座ると叔父が説明を始めた。

「上層部と掛け合ってね今度シンシアには此処の病院の育児部門での仕事に付いてもらいたいんだ。」

「私に育児関係での仕事を?このボディでですか?」

 この様な反応は実に自然だ。まるでサイボーグのように感じる。


「シンシア、我々は君をコロニー管理用人工知能として作り上げたが知っての通りそれはうまくいかなかったわけだ。」

 叔父は苦しそうに話す。

 シンシアに対して人間のように気を使っている。

 やはり人はその外見に強く影響されものらしい。シンシアが人間型の体を手に入れた事によってこのように人の見る目や態度も変わるのだ。

「そうは言ってもこの研究には相当な投資がなされている訳でね上層部も簡単に投げ捨てては責任問題になるからね。」


 どうやらおじさんらしく、うまく上層部を誘導したみたいだ。


「私もいろいろ考えてみたのだが、コロニー管理以外でも自立思考型コンピューターを欲している所はたくさんあるんだ。そんな中でももっとも優秀な人工知能を欲しがっているのが医療部門であることに気がついたんだよ。」

 さすがに叔父さんだ、目付け所がいい。マリアはマネジメント面での叔父の能力を改めて見なおした。

「せっかくの技術を捨ててしまう訳にはいかないと言って上層部を説得してね君には医療部門でのテスト就業をしてもらいたい。今後この部門での革新的な成果が出るとか何とか言ってね。まあそんな訳だ。」


 コーヒーが運ばれてきた。叔父は砂糖を3杯入れる、相変わらずの甘党だ。マリアはいつもの通り砂糖抜きのミルクコーヒーである。

 シンシアはカップに手を伸ばそうともしない。物を食べる能力が無いから当然だろう。

「実はこの方面でのセディアの評判はいまいちでね。今後の研究課題としてもグロリアとは違う物を期待したいんだよ。このテストの経過が良ければ本格投入の方向で検討させることも出来る筈だ。」

 叔父はまんざらでもない顔をしている。やはり半分期待しているのだろう。実際試験段階での4号機の性能は非常に良かったのだ。

 一番の問題はその性能の不安定さに有ると今回の事故報告書は結論付けている。


「現在はその部門ではセディアが圧倒的なシェアを占めているが、実際はグロリアの輸入制限でセディアで代行しているのが現状なんだ。そこを無機頭脳がとって代われ事が期待できるかも知れない。」叔父はコーヒーカップを置くとにっこり微笑んだ。

「と言うのが表向きの理由だが実の所この間の事件以来この部門の責任者は左遷され、新しく来た部長も閑職だし何かしら実績が必要なんだよ。」そう言って叔父は頭をかいた。

「さっきも言ったが君の開発には莫大な金がかかっているんだ、政府もこのままこの技術を捨てる訳もいか無いが、グロリアに対抗出来るかどうか?実証試験は途中で中止されてしまったからね。今のところ判断ができないでいるんだ。」


「よくわかりませんが私はどうすれば良いのでしょうか。」シンシアは初めて口をきいた。

「君には此処の医療育児センターへ行ってもらいたいんだ。」

「そこで何をすれば良いのですか?」

「実際の仕事はそこのスタッフが教えてくれるだろう。ただ君が無機頭脳だとわかるといろいろ差し障りが有るのでね、完全義体の女性ということにしてある。理由は、その、判るだろう?」

「試験コロニーでの事故のことですね。」

 シンシアも一応事故の全貌はニュースを検索していて判っているようではあった。

 しかし自身の記憶が無いのでどうも人事の様な感じで話している。まあそれはそれで良い事なのだろう。


「そうだ、その為の身分証明書も揃えたんだ。結構苦労したんだよ。君は私の孫と言うことになっているんだ。」

 マクマホンは身分証明書を財布の中から取り出すとシンシアに渡した。

 身分証明書に書かれた名前はシンシア・デ・アルトーラ。これで晴れて4号機は正式に名前を持つことになったのだ。マリアはまるで我が子が生まれた時のように嬉しいと思った。


「叔父さんの孫では大きすぎませんか?」

 叔父とシンシアを見比べてマリアは言った。

 叔父さんの孫なら私の姪位かな?親子にしては近すぎるしね。マリアはそんな事も考えてしまった。

「ぎりぎりといった所かな。一応本物だが出生をたどっていくと齟齬がでるだろうね。」

 マリアはこの辺の叔父の不可解な力は判らないところだった。こんなに簡単に本物の身分証明書を偽造出来るものなんだろうかと訝ったが、それ以上は聞かなかった。


「あなたの将来にとってとても大切な実験になるのよ。」

 マリアはシンシアの手を取って言った。

「マリアはこの事が良いことだと思っておいでなのですか?」

 シンシアはマリアの方に向き直るとマリアの顔を見ながら聞く。

 シンシアに真っ直ぐ見られるのはこれが初めてだった。

 そのはかなそうな容姿とはまた違う、強固な意志のような物をこの時マリアは感じた。


「も、もちろんよ。」

 一応励ましのつもりで言ったマリアではあったがこのように真っ直ぐ視線を返されるとついたじろいでしまった。

「わかりましたマリアが良いのであれば私に異存は有りません。」

 いつもと同じように感情を示すこと無くシンシアは言った。


 叔父は時計を見る。

「そろそろ約束の時間だ。育児センターの責任者に紹介するよ。」

 そう言って叔父は立ち上がった。叔父の顔からは優しさが消えてシンシアの顔を真っ直ぐ見据えると言った。

「いいね、シンシア、絶対に君が無機頭脳だと気づかれてはいけないよ。そんな事になったらこの仕事を失うだけでは済まないからね。」



 叔父からの絶対命令であった。シンシアはたった今から完全義体の人間なのだ。

「判りました。」シンシアはそう答えただけであった。


 病院では育児部門の責任者でシンシアの配属の直属の上司の婦長さんを紹介した。


 中年のとても暖かい感じの人であった。耳にインカムを装備している。どうやら此処では全員がインカムを装備しているのかも知れない。

「あなたがシンシアさん?よろしくね、わたしは乳幼児管理部門のサキエ・クリストファよ。」

 優しそうな笑顔でシンシアを迎え入れた。

 穏やかそうな人柄に中にかなり強い意志を感じる人であった。マリアはこの人なら上手くシンシアを指導してくれるかも知れない。そう思った。


「はじめまして。よろしくお願いいたします。」

 シンシアは型通りの挨拶をする。やはり硬い感じは残る。

「それじゃあ現場の担当者の所へ連れていきます。仕事は明日から始めましょうね。」

「宜しくお願いいたします。」

「それじゃシンシアがんばってね。」

 そう言いながらもマリアはシンシアが戻ってくるまでロビーで待つことにした。

「それじゃ仕事場へご案内しましょうか。」

「はい。」


 シンシアはサキエの横に並んでついていく。


「あなたはおいくつ?」

 サキエは歩きながらシンシアに尋ねる。

 年齢?考えてみればシンシアは年齢を聞かれるのは初めてだった。自分は生まれてから何年立ったのだろうか?

「6歳……」あやふやにシンシアは答えた。

「そお、16なの人生はまだこれからね。」

 勝手にサキエは勘違いしてくれた。


 着替えをし、乳児室に行くとまだ歩けない子供たちが10人ほど部屋の中におり、一人の女性が子供たちの世話をしていた。

「ここは0歳児の保育室なの。ああ、ケイトなのね丁度いいわ。ケイトこの子は今度この部屋に配属されたシンシアさんよ。登録して上げて。」


 ケイトと呼ばれた女性は立ち上がるとシンシアの全身をなめるように見た。シンシアと同じくらいの体格で、プロポーションは胸を除いてそっくりで有った。

 当然である。顔は違っていても中身は同型のアンドロイドなのだ。

 看護ロボットはしばらくだまっていた。どうやらメインコンピューターにアクセスしているらしい。

「登録を完了しました。シンシアさん乳児部門へようこそ。」

 やや硬い感じで看護婦は言う。


「ケイトは看護ロボットなのよ。彼女と同じロボットが乳児部門に10体いてね、この施設全体では500体以上のロボットが10台のコンピューターで制御されているそうよ。これであなたはこの施設中の看護ロボットに覚えてもらえたのよ。」

「はい。」

 そう答えたシンシアで有ったが中身は同じ看護ロボットである。先ほどからコンピューターがアクセスしてきていたのだ。

 サキエは耳に取り付けたインカムでスーを呼び出した。やってきた女性も耳にインカムをつけていた。

「この施設内ではロボットと人間が共同作業をしているの。外見からはどちらか判らないけどインカムを付けている人は人間、付けていない人はロボット、そう思っていいわ。」


「私もインカムを必要としません。」

 義体で有っても通常は通信機が標準で内蔵されている事はシンシアも知っていた。

「そおなの?でもあなたは人間なんだから必要無くとも付けていなさい。外から来た人間の中にはロボットにひどい態度を取る人もいるんですよ。」

「なぜでしょう。」

 シンシアはマサルの事を思い出した。彼の態度はそれとは少し違っているような気がしたが。


「それはね寂しい人の心のなせる事ね。心が有ることはすばらしい事だけれど、そう言う悲しい面もあるのよ。」

 サキエは寂しそうに言うロボットを見る。

「あのロボット達には心が無いのですか?」

「残念ながら無いようですね。自立思考を行えるほどの高性能なコンピューターだそうだけれど、心までは作れなかったみたいですよ。」


 そこへインカムを付けた女性がやってきた。

「およびですか?」

「ああ、スーさんこの人はシンシアさんよ。明日からここで働くのよ、仕事を教えて上げてね。」

「よろしくお願いします。」

 シンシアは頭を下げる。

「いいわ私の事はスーと呼んで頂戴。」

 黒人の太った女性は屈託なく笑った。


 マリアはシンシアを連れて帰る途中、繁華街に行くことにした。


 店先には多くの品物や服が展示されている。マリアは女友達との買い物は久しぶりだった。

 考えてみればこの数年間は仕事に忙殺されていたためである。

 マリアはウインドウを眺めながらはしゃいでいた。付き合わされているシンシアは表情一つ変えずに辛抱強く付き合っている。


 ところがマリアはシンシアの歩き方を見て驚いた。まるで男のように大股でゆっくり歩く。

 確かにシンシアは看護ロボットなので体は大柄にできている。相対的に頭は小さくなる為に全体のプロポーションは悪くない。

 看護服は結構プロポーションがしっかり出るので制作側も気を使ったらしく、看護ロボットは人間よりスタイルが良いというのが評判である。

 しかし考えてみればシンシアを外で歩かすのはこれが初めてであった。


「シンシア女の子がそんな歩き方をするもんじゃないわよ。」

 マリアはたまりかねて言った。

「私には性別が有りませんが。」

 シンシアは不思議そうな顔をする。


「それでもいまのボディは女の体だから女の子らしくしなくちゃいけないわよ。」

「わかりました、どのような歩き方をすればよろしいのでしょうか。」

 マリアはシンシアに歩き方を教える。


 すると驚くほど女らしくなりとても魅力的になった。さすがに無機頭脳は一度教えるとそのとおりの歩き方を崩さない。

 逆に言えば正しくないことを教えれば自分で修正することも無いのかも知れない。それはそれで危険な事なのだろう。

 アランが教えたらお尻を振りながら歩くようになりかねない。


 シンシアは、もともとその手の人間がデザインした顔なのでとてもかわい顔に出来ている。しかもあの胸である。

 繁華街を歩いていると若い男がシンシアを振り返るのがわかる。


 マリアは綺麗に育った自分の娘が誇らしく思うような感覚に捕らわれていた。

「シンシアわかる?」

「なにがでしょうか?」

「若い男の子があなたを見て振り返っているわ。」

 そう言われたのでシンシアはこの数分間の街頭の監視カメラの記録を再生してみた。


「先ほどから24人の男性が私の近くを通り過ぎました。振り返ったのはふたりだけですが。」

「統計を取っているんじゃ無いから!」

 いかにもシンシアらしい反応だとマリアは思った。


「でもあなたはとても目立っているのよ。」

「それは好ましいことでしょうか?」

 そう聞かれてマリアは少し答えに戸惑ってしまった。シンシアが一般市民と共に暮らすとなれば目立たないほうが良いに決まっている。


「あなたの立場ではちょっと難しい所ね。でも悪い事じゃないわよ。少なくともあなたはロボットには見られていないという事だから。」

「それは重要な事なのでしょうか?」

「とても重要よ、あなたにそのボディを用意したのはあなたに人間としての物の見方を身につけて欲しかったからなのよ。」

 人間としての物の見方と言われて改めてシンシアはロボットの目だけを通して周りを見てみた。


 実はそれまでシンシアは周囲にあるカメラからロボットの周囲を同時に見ていたのだ。自分の動きと周囲の安全を確保するためには必要な事だと思っていた。

 人間の視点。それは視野の狭さを意味し危険性の掌握に不向きであると思った。しかしその行為は自らの個という認識を新たにする。

 自分とは何か?自分はどこから来てどこへ行くのか?人が普遍的に考える事柄についての新たなる視点を手に入れるきっかけになる。

 マリアが何気なく放ったこの言葉はシンシアに今までとは違う思考の方向性をもたらすことになった。



 しかし人として生きるという事の意味をこの頃のシンシアはまだ持ってはいなかった。







アクセスいただいてありがとうございます。

登場人物

エムリア・スー          シンシアの務める病院の先輩

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