第8節 女の子になりました。
カミトが《深王の森》をさ迷うこと10時間、辺りは真っ暗になっていた。
昼間でも静かすぎて怖いくらいだと思っていたが、夜になった森は不気味過ぎた。
まず生き物の声がひとつもしない。風で木の揺れる音がざわっざわっと静寂の中に響いている。
カミトは大木の根が作り出す僅かな隙間で夜を過ごそうと思っていた。
(今日はここで野宿か……こっわ……)
今日1日で女神に拉致されたり、異世界に飛ばされたり、色々経験したが、暗闇の中この森をうろつく事が一番怖いと思った。
(朝になったら何とかして火を見つけないとな……せめて湿ってない木があるといいんだが……)
あたりを探してもそのような木はない。
明日の活動予定を立てていたカミトは疲れからいつの間にか気絶するように眠ってしまったのだった。、
♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢
眠っている時に突然電気をつけられて眩しくて起きてしまった経験はないだろうか?。
まさに今がそれだった。
「うわっなんだ!眩し!」
目を開けると……
暗闇に淡く輝く魔法陣……怖すぎである。
何かの儀式のような光景のなか、その魔法陣が自分の頭上から足先までをスキャンする形で通り過ぎた。
(うっ……)
目を開けると先程までと何も変わらない暗闇が広がっていた。
「なんだ……夢かよ……」
そう呟くとカミトはまた深い眠りについた。
(あれ?なんか声違くなか…………すーすー)
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夢の中の眩しい光と違い、木々の隙間から指す、柔らかい光を浴び、カミトは目を覚ました。
「うーーん!よく寝た!よく寝た!」
(うん?なんか声が高くないか?)
立ち上がると昨日までの目線よりも10cm以上低く感じる。
着ていたブレザーやズボンも袖や裾がブカブカで立ち辛い。
もしやと思い視線を落とし、胸を触る。
(やわらけー……)
そこにはBくらいだろうか……あるようでないような膨らみがあった。
(昨日の魔法陣って……夢じゃなかったのか……)
胸を触りながらカミトはあたりを見回した。
(鏡のようなものはないよなぁ……)
実際に見たことがある訳では無いから顔は分からないが、身長は150ちょいくらい。
体重は男の肉体よりも大幅に軽くなっている。
腕や足は華奢で転んだらすぐに怪我をしてしまいそうだ。
胸は成長途中なのか小さくもなく大きくもなく、動きやすいくらいの大きさだ。
髪を触った感じだとショートヘアーで、抜けた髪の色は漆黒のような黒であった。
声は人懐っこい幼女と少女の間のような声。
「はーーー……」
カミト(少女)の口から大きなため息が出た。
(あの魔法陣って呪いの発動の合図だったのか)
これが転換の呪いによる転換生活の始まりだった。
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