第7節 森の歴史(カミトは知りません)

水分を確保したカミトはもう少し歩いてみることにした。


(どこまで続いてるんだよ……)


この世界には魔獣や魔物と言われる存在がいるようだが運がいいのか、この森にいないのか分からないがまだ1度も遭遇していない。


(しかし1人で歩くのも寂しいもんだな……マモル達は無事なのかな……)


カミトがマモル達の心配をしてる一方では、マモルは古帝都【ファラオ】、アオイは魔法都市【ロンギル】、ユカは盗賊ギルドフォロカスのアジトのある《サクート砂漠》に転移させられていた。


それぞれの職業に最も近いであろう場所に転移させられている。


カミトも始めは新人冒険者が集う街【リトライン】に転移するはずだったが、ある手違いでここに転移されている。


《深王の森》には古い言い伝えがある。


何千年前から進化を止めている森には数多くの古代の遺物が眠っていると考えられている。


また環境に適応進化してきた動植物が少ないために、現代では消えてしまった珍しい効果を持つ古代生物も数多く生息している。


『ミズダメコケ』もその1つである。


その希少性とロマンから数多くの冒険者や国の調査が入ったが、帰ってきたのは半分ほどである。


帰ってきたものの話では《深王の森》は浅層、中層、深層、最深層、核層と分かれているみたいだ。


浅~深層には層が深くなっていくにつれて上級の魔物が多くなってくるそうだ。ここまでは比較的無事に帰ってきているものが多い。


最深層に至っては数える程しか帰還者がいないため、確信はないが魔獣が出現するそうだ。


この世界では魔物にもランクがあり、下級、中級、上級があり、特定のユニークモンスターが進化すると魔獣という名前になる。


魔人や獣人などは太古の昔に人間と魔獣が交わったことにより生まれた、突然変異種が祖先と言われている。


そういった実験をしている国もあるみたいだが、まだ成功例は公にされていない。


さらに魔獣が伝説や逸話を残し、神格化されると霊獣や神獣となるという記録が残っている。


そんな魔獣が最深層には何体か確認されているみたいだ。


また森の中には塔が出現し、その中にはアーティファクトが眠っていると言われている。


塔の主は霊獣で挑戦者に試練を与えているそうだ。


核層と呼ばれる森の中心部に到達した者は今までに1人しか居ないらしく、その人物も心を壊していて詳細を聞くことは叶わなかったみたいだが、そのものが持ち帰ったアーティファクトが素晴らしい性能だったようだ。


核層からの生還者が唯一伝えた情報は……「核層には何もいなかった……」これだけである。

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