第6節 水って大事ね……。

ちんちくりんはその後も色々と条件やルールを決めていった。ステータス説明をまかりやすくまとめて見ると。


①俺には2つの肉体がある。


②本体側と転換側の肉体は深夜0時に入れ替わる。


③主体側から転換側に自分の意思で転換できるのは1日1時間のみ。


0時にリセットされる。


④男型(自分)はTPを持っている。


女型はMPを持っている。


その他のステータスは共用。


⑤Lv.はそれぞれの肉体が持っていて、本体側で使用した体に経験値が入る。


⑥経験値はポイント系に通常均等に割り振られるがMPとTPにはそれぞれ割り振られるはずだった分が上乗せにされ振り分けられる。


⑦TPとMPは魔法と術技に連動してる為、男型は術技、女型は魔法しか覚えることが出来ない。


⑧片方の肉体が死亡した場合、精神はもう片方の肉体に移動する。深夜0時になるまでに肉体を蘇生出来なければ転換の呪いによって死亡する。


⑨裏技として片方の肉体でダメージや状態異常を負っていても転換すれば、もう片方の肉体で行動できる。ただし0時になると強制的に転換する。


⑩転換するのは体のみなので装備品や衣類などは引き継がれる。


⑪転換側の体は収納空間に収納されている。


転換の呪いの説明はこんな感じだ。


制限は多いが有効に使える可能性があることが分かった。


(是非とも回復魔法を覚えたいところだな……あるか分からないが)


「他になんか質問あるなら聞くよー」


アルミスはきちんとした説明ができて、満足したのかすごく御機嫌みたいだ。


念話なので顔は見れないが声がやりっきったーって感じで高揚している。


(数学の祝福は多分大したことのない能力だろう……あと気になるのは。)


「このユニークスキルの???ってなんだ?」


「あーそれ……私もわかんないんだよねー」


「は?お前がつけたんだろ?」


「いやーていうか覚えてないの?」


「ん?何のことだ?」


「覚えてないなら教えてあげなーい」


「いやいや何でだよ!」


「その方が面白そうじゃん。今はまだ使えないとだけ言っておこうかなぁ」


「Lv.を上げろってことか……?」


するとアルミスははぐらかすように


「そゆことそゆこと。んじゃ頑張ってねー」


「ちょ!場所だけ変えて……」


ブチン、電話が切れた時のような音がなり、それからアルミスは話しかけてこなかった。


「何なんだよ……」


一人で思わず呟いてしまった。


♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢


アルミスとの念話が終わって5時間後………


かなり歩いたが森の出口は一向に見えない、まるでどこまでも続いてるかのようだ。


男子高校生の中で、体力のある方のカミトでもさすがに腹がすいてきて、喉もかわいた。


(ひとまずここら辺でひと休みするか……)


移動中、食べれそうな草やキノコなどをとってきたので今日の食料は問題ないだろう。それよりも必要になるのは火と水だ。


焼かないで見知らぬ草やキノコを食べるほど俺はチャレンジャーではないし、そもそも水がなければ死んでしまう。


(せめて水だけでも確保できれば……)


俺はそう思いながら何となく周りにびっしり生えているコケに鑑定を使ってみた。


ミズダメコケ

食用不可。


湿気の多いところに生えている。周りの水分を吸って蓄えることが出来る。


(ん?もしかして……!)


俺はすぐにコケをむしり取って、絞ってみた。


コケからは薄緑色の液体が染み出てきた。


いつも通りならば絶対飲まなかっただろう。


だが水を求めてた俺は急いで近くにあったコケを集めて、上を向いて口を大きく開けて、その上でコケを絞った。


すると小さい缶ジュースの半分くらいの水分が出てきて、喉を潤してくれた。


「ぷはぁ助かったー」


カミトは安堵の声を上げた


青汁を薄めたような味で、美味しいとは言えなかったが背に腹は変えられない。


その後もミズダメコケを見かけては収納に入れた。


こうしてこの先の水問題は解決したのである。

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