第5節 俺の身体は。

(は?)


俺は言葉を失っていた……。


それはそうだろう、最近大ヒットした某アニメ映画や某少年武術家と同じように性別が変わると書いてあるのだから……


その時、頭の中に聞き覚えのある声が響いた。


「もっしもーしカミトくん聞こますかー」


「この声ちんちくりん女神か!」


「だいせいかーい!みんなの女神様アルミスでーす。てかちんちくりん言うな!」


「こんな所に出現させやがって!ていうかこの呪いなんなんだよ!」


「それはあいつが邪魔するから間違っちゃったんだよ……あーそうそうその呪いについて繊細に教えてあげよーと思って念話したんだ!」


(あいつって誰だよ……)


「その呪いはねー転換の呪いって言って、私の能力の一部なんだよー」


ちんちくりんの話によると、女神には地上の様子を観察するために依り代ってものを作ることが出来るみたいだ。


依り代とは女神が精神を憑依させて操ることが出来て、他の女神はこれでVRゲームのような娯楽を得ているらしい。


ちんちくりんは他の女神と同じことをして、娯楽を得ることが嫌らしく、異世界人である俺達を投入することで、地上に別のアプローチするつもりらしい。


女神はひねくれても神らしく、直接的に呪いを与えることはできない。


そこで思いついたのがステータスを二分割して、使っていない依り代に移すという方法だった。


この方法だと俺の戦力を半分にしつつ、レベリングの手間も二倍になる為、間接的に呪いのような効果を発揮できると考えたみたいだ。


性別に関しては、まず男型の依り代を作っておらず、魔獣型もあったがそれはあまりにも可哀想ということで、人間の女型になった。


(女神ってやつはどこまでも勝手な……)


「まあもっとひどいことしてる人もいるからまだマシなんじゃないかなー私」


「心を読むなって……ステータスを半分ってなかなかえぐくないか?」


「まぁ半分っていってもTPとMPをそれぞれ片方ずつにしただけだからさー」


「すまんちょっと分からない……」


「んーしょうがないなー。んじゃあわかりやすくしてあげるよ!もう一度ステータスを開いてみてー」


俺は言われるままステータスと念じた。


カミト ハナブシ(男)17才 人間

Lv.1

HP 100

SP 100

TP 50

術技 なし

スキル 鑑定、収納

ユニークスキル ???

祝福 数学の祝福(和)

呪い 転換の呪い


(ずいぶんすっきりしたな……)


「転換したら女の子の方のステータスに自動で変わるようにしてあげたからさ」


「俺は自分で転換するタイミングを選べるなら一生しないぞ」


するとちんちくりんの声が明らかに動揺した。


「えっそれは困る。神の威厳として困る!」


ちんちくりんはしばらく沈黙した。そして突然。


「そうだ!1日毎に主の体を入れ替わるようにしよう!うん。そうしよう!」


「ちょっとま……」


反論しようとしたが彼女は俺の話を遮って


「何回も転換されて男の子のまんまでいられるのも面白くないから転換側の体になれる時間を1日1時間に限定しよう」


ちんちくりんはまるでおもちゃの新しい遊び方を見つけた時のようなテンションになっていた。


(あー俺はまた余計なことを言ってしまったのかも……しれない)

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