第2節 拉致されました。

港葵と名乗った少女は蹲りながらも話してくれた。


少女は綺麗な黒髪のロングヘアーで和服がとても似合いそうな美人さんだった。


「私調査用紙を出したら急に目の前が暗くなって……目が覚めたらここに……」


「やっぱりか……俺達もだよ。俺は花節上人。カミトって呼んでくれればいいよ」


「俺は吉田守、こいと同じ高校のクラスメートであり、親友だ!俺も名前で呼んでくれ!」


「あっお二人は同じ高校なんですね。私は聖花高校です」


「そこの中等部に妹が通っているから制服でわかっよ」


「そうなんですか……私、友達と一緒に調査用紙を出したはずなんですけど……」


「俺達とは状況が違うけど調査用紙ってところが同じだな」


「ああ。もうひとりの子も同じなら確定だな」


カミト達は未だに目を覚まさない少女に目をやると


「カミトさん起こした方がいいのではないでしょうか……」


アオイが提案するとカミトは「そうだな……」っと呟きもうひとりの少女の近くに行った。


カミトは少女の肩を掴むと優しくゆすりながら起こそうとした。


「うーーん……」


「おっ目を覚ましたみたいだぞ」


少女はゆっくりと起き上がると周りをふらふらと見渡し、カミト達を確認すると……


「ん?君たちだーれ?はっまさか僕にいたずらしようとしてる!?」


「「しねーよ」」


二人同時にツッコんでしまった…


「じゃあここどこなの?さっきまで僕高校で進路調査用紙を出したと思ったんだけど…」


どうやら彼女も同じく調査用紙を出したみたいだ。


「これで確定だな」


「やっぱり偶然ではないよな…四人が四人とも同じ状況で気を失うって」


「あぁ偶然ではないだろうな…ところで君の名前を聞いてもいいかな?」


「ん?僕?僕は東宮由香だよ。高校2年生。ユカって呼んでね」


そんな彼女の容姿は身長150㎝くらいで短髪黒髪であんまり表情が変化しないようだ。


きれいというよりはかわいいという感じだろう。


「僕達誰かに連れてこられたんだよね……?」


「ああ。多分そうだと思うぞ」


「だけどここ密室だよね扉ないし」


ユカはそう言うと部屋の壁をコンコンと叩いた。


すると天井から甲高い声が聞こえてきたのだ。


「はーーはっはーーやーーと起きたみたいだね!!」


高らかな声とともに天井に魔法陣が出現し、そこから幼女が壁をすり抜けるように


「うわっなんだこれーー!」


「なんか出てきたな」


「………すり抜けてきた!」


「えっ何ですかこの人!」


四人が思い思いの反応を見せている中でその魔方陣から現れた少女は腰まであるような薄い緑色の髪に青い瞳を持ち、小学生のような外見をしてた。


「ちょっとちょっとみんな反応が薄いよーはい拍手拍手!せっかく女神アルミス様があなたたちを呼んであげたんだから~」


(こいつ今なんて言った?呼んであげた……この幼女が?)


マモル達の顔を見渡しても同じように感じているのか口を開けて唖然としている。


「ちょっと待って君みたいな子が俺たちをここに呼んだのか?」


マモルが沈黙を破り話しかけていた。


「うんそうだよーー君たちの夢をかなえてあげたのです!」


「待ってください!私そんなことお願いした記憶ないです!」


アオイが食い気味に女神アルミスに話しかけた。


「うん僕もお願いしてないなー」


「もちろん俺もだ」


「ていうかここはどこなんだよ」


四人が口々にそういった。


「いやいやいや君たちは書いたじゃないか、あのなんだっけ進路調査用紙だっけ?」


「それとここがどこかという事だけどここは君たちの世界である地球と君たちから見ると異世界と呼ばれるイシアの狭間にある空間だよ」


アルミスはえっへんと胸を張りながらカミト達見ている。


(何が何だかわからんが一つだけ言えることがあるな……)


カミトは天井を見上げながら憂鬱な表情になると呟いた。



「俺達異世界に拉致れたんだ………」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る