第3話 ハーフのウーロン茶
溝田さんが、深夜にコンビニで夜食を買った時のこと。
特定の値段以上買い物をしたからクジが引けると言われたので、よぅしと引いてみるとポカリが当たった。
まぁこんなもんか、と思いながら駐車場に止めていた車に乗り込もうとすると、急に割れ鐘のような大声が耳に飛び込んできた。
「何だ、何ということだ、何と!!」
見れば駐車場の一角で、ホームレスのような風体の中年男がなにやら叫びまくっている。
わぁ、この町にも遂にこのテの人が・・・?と思って固まっていると、ホームレスはその視線に気づいたのか、大袈裟な身振りでこちらをびしっと指さし、
「わかったぞ!貴様、クジを引いたな、引いたのだ!」
流石にギクリとしたという。だが、
「ウーロン茶が当たった!俺も好きだ、ウーロンだ!ウーロン飲みたい!!」
的外れな言葉が続いたので、彼はホッと胸をなで下ろし、車を出した。
ちょっと頭のおかしな人が無軌道にああやってるんだなぁと思った。
再び固まったのは、家に戻ってコンビニの袋を開けた時だった。
そこには買ってきたワンコイン価格の弁当と、何故かウーロン茶が入っていた。
(ちゃんと、ポカリ入れるとこ見たのに・・・)
しかも、
(・・・・・・半分、ない)
500mlのウーロン茶は、きっかり半分ほどがなくなっていた。
キャップを捻ってみると、まだ口が開いていないことがわかった。
結局、ウーロン茶は捨てた。同じ袋に入れていた弁当も捨てた。
それ以来、コンビニでクジを勧められてもお断りするようになったという。
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