WAVE2:鎧ゴブリン現る!
あれから数日後、僕はまた、森の奥の切り株に突き刺さった斧……つまりアクスカリバーを引っこ抜いた。
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「おお!勇者様!大変なことになったで!」
サポジイが大慌て出迎えてくれた。
「どうしたの?」
「詳しい話は見てもろてからや!はよ来てや!」
急かすサポジイに連れられ、僕は見張り台へと急いだ。
麓を見下ろすと、頑丈な鎧を着込んだゴブリンがいた。
「あれは?」
「ドワーフの防具職人が動いたんや。あれはごっつ頑丈やで!」
確かに、見るからに頑丈だ。
ここで、僕が置かれている状態についておさらいしておこう。
1.魔物たちは、聖斧アクスカリバーを狙って、登山道を登ってくる。頂上の町に辿り着く前に、全てのモンスターを撃退しなければならない。
2.僕は、アクスカリバーの力で”ご先祖様”を呼び出して山道に配置し、モンスターをやっつける。
3.ご先祖様にはいくつか種類がある。今の状態で呼び出せるのは「バトル木こりLv2」「マホーク木こりLv2」「ローリング木こりLv1」の3種類。
3.1.バトル木こりは、防御力が高い基本の木こり。トマホーク木こりは、強力な斧を投げられるが、回数に制限がある。ローリング木こりは、丸太を転がしてモンスターを薙ぎ払うが、気をつけないと見方も巻き込む。
4.登山道は大きく4分割され、下から第1山道、第2山道、第3山道、第4山道となっている。各山道はつづら折りで分断されているので、ローリング木こりの影響は他の山道には及ばない。
今のところは、こんなところだろうか。ようはタワーディフェンスゲームだ。これまではトマホーク木こりの攻撃力で押し切ってきたけど、鎧ゴブリンは耐えそうだ。
「でも、こんな時こそローリング木こりの出番じゃないかな」
「ええところに気が付きましたな!その通りや!」
「よし,それじゃあ……第1山道最奥にローリング木こりを、第2山道中腹にトマホーク木こり、2山道奥にバトル木こりを配置!」
僕がアクスカリバーに祈ると、木こりのご先祖様が現れた!
「「「「「転がしたるでーっ!」」」」」
「「「「「やったるわーっ!」」」」」
「「「「「かましたるーっ!」」」」」
今日も木こり達の幽霊は元気いっぱいだ!
「よーし、みんな、配置に付け!」
一斉に配置につく木こり達!そして!
ブオオーッ!ブオオーッ!
魔王軍の笛が鳴る!進軍が始まった。
◆WAVE2-1 START!◆
鎧ゴブリン10匹は山道を登ってくる。僕は鎧ゴブリンをひきつけて、ローリング木こりに指示を出す!
「今だ!」
「「「「「たーおれーるぞー!」」」」」
ローリング木こりが木材のご先祖様を切り倒し、山道を転がる!
「「「「「「「「「「グギャッ!」」」」」」」」」」
鎧ゴブリン10匹の鎧が歪む!
「「「「「ほなさいなら」」」」」
ローリング木こりたちは消えていく。
鎧ゴブリン10匹が第1山道を通過!
「「「「「かましたるーっ!」」」」」
第2山道に待ち変えていたトマホーク木こり5人の手投げ斧が同時に放たれた!
「「「「「グギャーッ!」」」」」
鎧ゴブリン5匹が消滅!
「「「「「かましたるーっ!」」」」」
さらに、トマホーク木こり5人から、2本目の手投げ斧が同時に放たれた!
「「「「「グギャーッ!」」」」」
鎧ゴブリン5匹が消滅!
◆WAVE2-1 CLEAR!◆
「ハハッ!鎧ゴブリンも大したことないんじゃないかな」
「そんなことあらへん。ローリング木こりが強いんや。それと、気ぃつきましたか?怪物のスピードに」
サポジイの言葉に、鎧ゴブリンの進行速度を思い出す。
「たしかに、ちょっと遅かったような」
「ああ、その通りや。やつらの足は遅い。トロールとおんなじくらいや。せやから、鎧を着てないゴブリンが一緒に出てきたら、注意せなあかん。ほれ、言うてるそばから来おったで」
サポジイの声に麓を見下ろすと、鎧を着たゴブリンと、鎧を着ないゴブリンの混成部隊が準備されていた。さらに、トロールもいる!トロールはゴブリンよりもタフで攻撃力も強い!
「どないしましょか?」
僕は少し考えた。
「このまま行こう。このままで、行けると思う」
「ほんまでっか!?」
「うん……たぶん……」
「ほんなら、その言葉、信じまっせ!」
ブオオーッ!ブオオーッ!
魔王軍の笛が鳴る!進軍が始まった。
◆WAVE2-2 START!◆
ゴブリン5匹と鎧ゴブリン5匹は山道を登ってくる。だが、まだ僕は指示を出さない。
ゴブリン5匹が1山道を通過!
「「「「「かましたるーっ!」」」」」
第2山道に待ち変えていたトマホーク木こり5人の手投げ斧が同時に放たれた!
「「「「「グギャーッ!」」」」」
鎧ゴブリン5匹が消滅!
続いて、鎧ゴブリン5匹とトロール5匹が山道を登ってくる。
「今だ!」
「「「「「たーおれーるぞー!」」」」」
ローリング木こりが木材のご先祖様を切り倒し、山道を転がる!
「「「「「グギャッ!」」」」」
鎧ゴブリン5匹の鎧が歪む!
「「「「「ゴゥッ!」」」」」
さらに、トロール5匹にダメージ!
「「「「「ほなさいなら」」」」」
ローリング木こりたちは消えていく。
鎧ゴブリン5匹とトロール5匹が第1山道を通過!
「「「「「かましたるーっ!」」」」」
さらに、トマホーク木こり5人から、2本目の手投げ斧が同時に放たれた!
「「「「「グギャーッ!」」」」」
鎧ゴブリン5匹が消滅!
「「「「「ほなさいなら」」」」」
手斧をうち尽くしたトマホーク木こりたちは一時撤退。
「「「「「「やったるわーっ!」」」」」
バトル木こりがトロールに攻撃!
「「「「「「ゴッ!」」」」」
トロールはまだ倒れない!トロールの反撃!
「「「「「ゴウッ!」」」」」
「「「「「「まだまだやでっ!」」」」」
バトル木こりは倒れない!強化で打たれ強くなっているのだ!バトル木こりの反撃!
「「「「「「やったるわーっ!」」」」」
「「「「「ゴワーッ!」」」」」
5体のトロールが攻撃を受けて霧となって消滅!
◆WAVE2-2 CLEAR!◆
見えているモンスターは全滅!
「「「「「ウオオーッ!勇者!勇者!勇者!勇者!」」」」」
木こり達の勝鬨の声が山にこだまする!
◆WAVE2 ALL CLEAR!◆
「いやあ、今回も見事なお点前で!」
「う、運が良かっただけだよ」
実際、そのとおりだったかもしれない。それに……この手のゲームは、僕の得意なやつなのだ。
「そんな謙遜せんでも!ま、次もよろしくお願いしますわ!」
「あ、今回の強化は?」
「今回はローリング木こりの強化1回が精一杯なや。でもとっとくこともできるで。どないする?」
「うーん。それじゃあ、今回は保留で」
「ほなそういうことにしときますさかい」
「うん。それじゃあまた」
「ほな。またな」
僕は切り株にアクスカリバーを打ち込み、元の世界に帰った。
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一方その頃。魔王の城では!
「魔王さま!鎧ゴブリンもやられてしもた!」
側近ゴブリンが心配する。
「ふーむ……なるほどなあ……」
水晶玉でランバージャック王国を覗く魔王は、顎をさすって作戦を考える。
「どないしましょ……?」
「せやな……」
魔王が不敵に笑う。
「一気に勝負仕掛けたろやないかい……!」
WAVE2:鎧ゴブリン現る! 終わり
【体験版はココまでです】
アクスカリバーTD デバスズメ @debasuzume
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