WAVE1:魔法使いノーム軍団
あれから数日後、僕はまた森の奥の切り株……つまりアクスカリバーを引っこ抜いた。
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「おお!勇者様、お待ちしておったで!ちょうどええところに来てくれはって助かりますわ!」
数日前と変わらずサポジイが出迎えてくれた。
「ちょうどいいところって?」
「今朝方のことや。魔王軍が大群で麓に集まってきよったんや」
「ええ!?大変じゃないの!?」
「ああ、えらい大事や。ほんでな、どないしよー思て、勇者様が来るのを今か今かと待っとったっちゅーわけや!ささ!はよう見張り台へ!」
僕は、サポジイと一緒に見張り台へと登った。
麓を見下ろすと、そこにはゴブリンとトロール以外に、初めて見るモンスターがいた。身体はゴブリンよりも小さく、三角帽子を被って小さな木のステッキを持っている。
「あれはノームや」
「ノーム?それってもしかして妖精の?」
「ああ、せや。やつらは魔法をつこうてくる。まあ、言うても化物どももこの森は燃やしとうないさかい、つこうてくる魔法は単純なマジックミサイルや」
マジックミサイル、つまり”魔法の飛び道具”のことであり、衝撃波を飛ばすような魔法だ。
「ふーむ……」
相手も遠距離攻撃を使ってくるということだ。さて、どうしたものか。
「ああ、せや。今回からは勇者様に全面的にご先祖様のシキを取ってもらいますんやけど、1つだけ説明させてもらうわ」
サポジイは山道を指差しながら説明する。
「麓からこの白までの山道は、つづら折りになっております。長ーい道が4本、3つの曲がり角でつながってるもんだと思ってくだはれ」
「道の名前とかあるの?」
「特にないんや。まあ、守りやすいように、下から第1山道、第2山道、第3山道、第4山道と言うております。ほいで、トマホーク木こりの斧は危険やさかい、”同じ山道でトマホーク木こりより下には誰も配置できない”んや」
「じゃあ、上にバトル木こりを置いて、その下にトマホーク木こりを配置するのは?」
「それは問題ないで」
「じゃあ、第1山道にバトル木こりを置いて、第2山道にトマホーク木こりを配置するのは?」
「それも問題ない。山道の曲がり角を超えれは、投げた斧は森に消えるさかい」
それを聞いて少し考える。……でも、前と同じとように、最初にトマホーク木こりを配置して、その後にバトル木こりを配置するのがいいんじゃいだろうかという考えに落ち着いた。
「よし、配置は決まったよ!」
僕がアクスカリバーに祈ると、バトル木こりとトマホーク木こりのご先祖様が現れた!
「「「「「やったるわーっ!」」」」」
「「「「「かましたるーっ!」」」」」
今日も木こり達の幽霊は元気いっぱいだ!
「よーし、みんな、配置に付け!」
一斉に配置につく木こり達!そして!
ブオオーッ!ブオオーッ!
魔王軍の笛が鳴る!進軍が始まった。
◆WAVE1-1 START!◆
ノーム5匹は山道を登ってくる。第1山道でトマホーク木こり達を見つけると、魔法で先制攻撃!
「「「「「ヤブレカブーレ!」」」」」
ノームのマジックミサイル!
「「あかんわこれっ!」」
2体のトマホーク木こりが直撃を受けて一時撤退!
「「「かましたるーっ!」」」
3人の手投げ斧が同時に放たれた!パワーアップしたその本数は1人2本!
「「「「「ノワーッ!」」」」」
6本の手投げ斧がノームにヒット!5体のノームが消滅!
◆WAVE1-1 CLEAR!◆
「危なかった!」
僕はノームたちの魔法をあなどっていた。まさか、トマホーク木こり達が先制を取られてしまうとは。
「ノームの魔法、あなどったらアカンで」
「うん、そうだね……」
「まあ、気ぃ落とすことないで。トマホーク木こりは打たれ弱いんや。マジックミサイル2発でさいならっちゅーわけやな。バトル木こり達やったら2発は耐えよるから、近づいてきたノームを返り討ちにもできるさかい。覚えていてな」
「うん、わかった!」
フンスッと気合を入れ直す。
「よーし、その意気や!」
麓の方では、次の部隊が準備されていた。ゴブリン5匹とノーム3匹、そしてトロール3匹の混成部隊だ。
「フーム、こりゃあバトル木こりたちでも抑えることができへんかもしれん。どないしような」
たしかに、さっきの戦いを見る限り、同じ配置じゃダメだ。なにか、考え方を変えないと……。
「そうだ!トマホーク木こりを第3山道の奥に、バトル木こり達を第4山道に!」
「ええんか?そんなに下げてもーて?」
「うん。いいんだ。僕の考えが正しければ……」
一斉に配置につく木こり達!そして!
ブオオーッ!ブオオーッ!
魔王軍の笛が鳴る!進軍が始まった。
◆WAVE1-2 START!◆
怪物の軍団が山道を登ってくる。
ゴブリン5匹とノーム3匹が第1山道を通過!
その後、ゴブリン5匹とノーム3匹が第2山道を通過!トロール2匹は歩くのが遅く遅れ、ようやく第1山道を通過!。
ゴブリン5匹とノーム3匹が第3山道を登る。トマホーク木こり達を見つけると、ノームが魔法で先制攻撃!
「「「ヤブレカブーレ!」」」
ノームのマジックミサイル!
「あかんわこれっ!」
1体のトマホーク木こりが直撃を受けて一時撤退!
「「「「かましたるーっ!」」」」
4人の手投げ斧が同時に放たれた!その数8本!
「「「ノワーッ!」」」
3本の手投げ斧がノームにヒット!3体のノームが消滅!
「「「「「グギャーッ!」」」」」
5本の手投げ斧がゴブリンにヒット!5体のゴブリンが消滅!
「「「「ほなさいなら」」」」
手投げ斧部隊は斧を投げ終えると一時撤退。
……
トロール3匹が第2山道を通過!
「「「「「もいっちょいこかーっ!」」」」」
手投げ斧部隊復活!トローエウを迎え撃つ!
「「「「「かましたるーっ!」」」」」
5人の手投げ斧が同時に放たれた!その数10本!
「ゴゥッ!」
6本の手投げ斧がトロールにヒット!3体のトロールが消滅!
◆WAVE1-2 CLEAR!◆
見えているモンスターは全滅!
「「「「「ウオオーッ!勇者!勇者!勇者!勇者!」」」」」
木こり達の勝鬨の声が山にこだまする!
◆WAVE1 ALL CLEAR!◆
「なるほどな、足の速さの差に注目したっちゅーわけか!さすがやで!」
「ハハハ!いやあ、それほどでも」
ひとしきり喝采を浴びた僕は、サポジイと次回までの話をすることにした。
「そんで、今回も勇者様が次に来るまでの間に、アクスカリバーの力を鍛えときます。今の魔力やと、バトル木こり3段階強化か、バトル木こり1段階強化と新しい木こりの召喚準備ってとこやな。どないしましょか?」
「新しい木こりっていうのは」
「ご先祖様の木こりは、バトル木こりとトマホーク木こりだけとちゃうんや。今ならローリング木こりが呼べると思うわ」
「ローリング木こり?」
ローリング木こりとはいったいなんだろう?転がるのだろうか?
「ローリング木こりはな、切った木を運ぶために転がす役目の木こりや。幽霊になってもそれは変わらん。幽霊の木ぃ転がして、トマホーク木こりより離れた位置から一直線に攻撃できまんねん」
「すごいじゃん!」
「ただ、問題もあってな、1回の襲撃に1回しか使えんのや。丸太転がすタイミングをアクスカリバーで支持できるさかい。うまいことつかわんとアカンで」
「うーん……」
僕は迷ったけど、ローリング木こりで選択を広げるのは重要だと思った。
「じゃあ、バトル木こり1段階強化とローリング木こりで」
「まいど!ほなまたな!」
僕は切り株にアクスカリバーを打ち込み、元の世界に帰った。
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一方その頃。魔王の城では!
「魔王さま!ノームの軍団がやられてしもたで!」
側近ゴブリンが心配する。
「慌てんなこのスカタンが!んなことわかっとるっちゅーねん!」
水晶玉でランバージャック王国を覗く魔王は、すでに次の作戦を考えていた。
「それじゃあ、どないするおつもりでっか?」
「決まっとるやないけ……」
魔王が不敵に笑う。
「ドワーフを呼べい!本場の装備の違いを見せたるんや!」
WAVE1:魔法使いノーム軍団 終わり
WAVE2:鎧ゴブリン現る! に続く
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