第46話 醒めない夢

46.☑

~深山康文と果歩の結婚生活  (43)



 遊ぶ相手なぞ、すぐに見付かるさ。

 無意識に康文はそんな考えを持っていた。


 なのであまり仲間に執着することもなかった。



          ◇ ◇ ◇ ◇




 仲間の様子から見て、あまり良い話でないことだけは確かだ。


 はて?

 私に聞いてほしいという話とは一体どんな話なのだろう。


 夫と別れてほしいとか?

 そして離婚してくれだとか?


 いろいろ想像逞しくしていた私に放った彼女の言葉は

 私の想像を超えていた。

 


          ◇ ◇ ◇ ◇



 「どうしよう……あたし」



 「……」


  何さ、勿体つけて。


  早く話なさいよ、私は元々あなたの話を聞きたくて

 ここへ来たわけじゃなし、勿体ぶんじゃないわよ。


 こっちは暇じゃないのよ?

 イライラしちゃう!!



 もじもじして悩む振りをしている仲間は次の言葉を

放った。




「あたしぃ~、妊娠したみたいなんですぅ。

 生理不順だから気付くのが遅れてしまってぇ~。

 

 実は私、近々婚約者との挙式を控えているので早く

どうにかしないと……。


 万が一彼にバレたら、私お終いだわぁ」


 メソメソした風を装いながらチラチラと私を見つつ

絶望感漂わせて話す女。



 ひっ、なにぃ~、何言ってるのこの子。

 げっ……妊娠ってニンシンって今言いました?




「病院へはひとりで行きますから、同意書にサイン

してくれませんか?


 それに私お金がないので費用のほうもできれば

お願いしたいんです」




「ちょっ……ちょっと待って。

 それって、妊娠してるって確かなの?」



 

「病院で1度診てもらってますから100%確実です。


 婚約者とは一度も婚前交渉してないから絶対

オーナーとの子です」



          ――――――――――



 いや、何と私の呑気なことよ。




 普通は旦那が浮気をしたら一番に気になるところ

だったのかもしれないというのに、私の頭には全く

一度も、浮かんだことがなかったのだ。



 既婚者相手に浮気できるような女は皆チキン……もとい

鶏頭をつけているに違いないと思ってきたが、私の頭も

大して変わりなかったかもしれない。



 おお、私の鶏頭よ、驚くことなかれ……今更だ。

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