第47話 醒めない夢

47.

~深山康文と果歩の結婚生活  (44)




 「そんなこと急に言われても、はいそうですかって

信じられないわ。

 いくら何でも夫があなたとの子供を迂闊に作るなんて」

 


 そこまで夫の頭のネジが緩んでるって思いたくない。

 子供なんて出来ちゃったら、それこそ・・それこそが

浮気のれっきとした動かしようの無い証拠になるのよ?


 そんな事夫がする・・はず・・ナイ...と思いたかった。



 私はこの時かなり狼狽してしまったようで、後で

考えるとどうしてあんなことを口走ってしまったのだろうと

いうようなことを彼女に言ってしまったのだった。



 「ね、どうして私にそんなこと話すの?

 まずは夫に話すべきよね?

 一体全体何考えてるの?

 人の心を弄んで何がそんなに面白いの? 」




 「わっかりましたぁ~。

 じゃっ、オーナーに言います。

 きっとオーナー、子供の為に私と結婚するって

言うんじゃないかなぁ。

 ・・だと奥さんが気の毒だと思って奥さんへ先に

お話持ってきたのに、奥さんったら私のこと悪く悪く

とっちゃうンんだものぉ、参るわぁ・・フフン~♪」




 やっぱりね、妻というものは夫が外で子供を作る

っていうのは、相当ダメージを受けるものなんだと

目の前のオーナーの妻の様子を目の当たりにして

仲間は強く実感した。




 予想外にうろたえている果歩の姿を見て溜飲を下げつつ

ある仲間はもっと苛めたくなり、予定していなかった次の手

の台詞を紡ぎ出した。



 何だかあんな女垂らし野郎のことを、どこかで信じてる風な

アイツの妻にすごく腹が立ったのだ。



 「えぇ、面白いですよ。

 私を好きになってしまった旦那さんにずっと縋り付いてて

哀れなもんよ!

 プライドってもんが無い人間見てると虫唾が走るんです、私。

 他の女を好きになって子作りまでしちゃった旦那と元サヤに

納まって幸せごっこしてそれでほんとに幸せって

言えるんですか?

 旦那の嘘にまんまと乗せられて・・あっ、違いました?

 ほんとは信じてないけど信じてる振りをして、きれいに

元サヤに戻りたいのかしら?


 どっちにしても私、奥さん見てるとムカムカ

するんですよね」




 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る