第41話 醒めない夢

41.

~深山康文と果歩の結婚生活  (38)




 思い起こせば、海外へ行ったことが夫の性に対する考え方を

大きく根本から変えてしまったのかもしれない。


 伴侶になる人の職場環境は、家庭に入った妻にとって

すごく重要なのだと考えさせられるものがある。


 

 山奥で働く男達をTVで見ていてしみじみとそう思った。

コンビニなんかとは無縁でおやつやおにぎりを買うことも

出来ない山深い場所で木を切る男たち。


 仕事っぷりがかっこいいっ♪

 きゃぁ、すてきっ ♪(口に出てたよっ)


 彼らが口に出来るのは伴侶が持たせてくれた

愛妻弁当のみ。

 周りが自然と男たちばかりじゃあ、出会いもないっ

気の迷いもないっ、だから浮気もないっ。



  ♪~無いない、ない・・浮気はないっ~♪(歌う)




 私は一番結婚してはいけない業種の人間と結婚したって

わけよ。


 はぁ~。



 しかも今の夫の立ち位置は、人を雇う立場で、やろうと

思えばいくらでも喰っちゃえるんだよね、いやぁ~

下品な言い方なんだけど。



 ところで、夫はあの仲間友紀とは別れると言ってたけど

あれからどうなってるのだろう。


 居直ってる夫は、浮気の否定さえしなかった。

 私に謝ることも。



 離婚を決められない今の私にはもはや打つ手無し。


 仲間と夫に慰謝料を求めるべきなのは判っているのだ

けれど、今の我が家の経済状況で・・

幾度にも亘る浮気に・・

もう請求する為に動く元気もないっていうのが

正直なところだ。


 何か酷く疲れている。


 こんなの駄目なのは判ってるんだけどね。

 悪人は成敗しないといけないのだから。



 そんな風に過ごしていた私を心底怒らせ、悲しませようと

する人物が私に会いにきた。

 

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