第40話 醒めない夢

40.

~深山康文と果歩の結婚生活  (37)



  夫と小娘にはもちろんのこと、自分自身にも嫌気が差して

しばらく毎日を過ごす日々。


 クリスマスに斉藤さんと会ってから早いものでもう

2ヶ月が過ぎようとしていた。


 娘も後1ヶ月半で3才を迎える。

 本当なら可愛い盛りの子を夫婦で愛でて最高に幸せを

味わって過ごせる時節なのにもったいないよね、私も夫も。


 悲しさや悔しさに負けてグタグタになることもあるけど

愛しい娘の可愛い盛りのこの時期を大切にしなきゃって

改めて心に誓った。


 娘にはどんなにか慰められてきたかしれない。



 私は思う・・・




 ちょっと振り向けば娘を授かった幸せがあって

その幸福を享受できるというのに。


 真っ当な道から横道にそれて、快楽に囚われてしまった夫。 


 夫は全然娘に執着してないし、愛情もあるのか無いのか

判らない。

 彼の娘への愛情を測れないほど、最近家にいつかなく

なってるし、気持ちも完全に外に向けられているから

測りようもない。


 今は私のことはもちろんのこと、娘のことさえ眼中に

ないのだろう。


 そんなだから、娘が存在することの有難さも幸せも

見えてはいないはず。


 こんな夫にいつか娘の存在の大きさ、大切さに気付く日が

来るのだろうか!


 この想いが私の中から中から・・溢れてくるのだった。


 放り出した家族がいつまでも自分を慕い続けてくれるなんて

おとぎ話のようなこと考えてないよね? 


 こんな家庭必要?


 ここ最近 毎日のように・・呪文のように・・

私は自分に問いかけている。



 だけど、娘といる時はなるべく忘れるように努めて

娘を慈しみ見守るように過ごしてもいる。


 言葉数も増えてかわいいんだぁ~。

 母もしょっちゅう、子守を買って出てくれる。


 実家の側で家を構えてくれたことだけは夫に感謝だね。


 だけど、、後はぜーーーーんぶ、グタグタのボロボロだよ。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る