第11話☑ 醒めない夢 

11.☑


~深山康文と果歩の結婚生活 ⑧

     

問い詰める



 それからの私は、夫への毎日のメールはかかさなかったけれど

例の浮気については一切触れずに過ごした。



 そしてついに時は来たれり。

 カマかけてやる。

 さぁ、どう出る。


 10日あまりの沈黙を破り、私は勝負に出た。


          ◇ ◇ ◇ ◇



『はぁ~あ……100万近く使っちゃったぁ~』



『な……何いきなり、100万円使ったって……

何買ったんだよ』




『買ったんじゃなくてぇ~興信所に使ったお金よぉ~。

 この間、浮気してる相手とは別れてねって忠告してのに

まだ続いてたんだね。


 しかも時たま会って浮気とかじゃなくて、ほんとに現地妻に

してるんだものね。


 あきれてモノが言えない。


 いろいろと報告上がってるのよ?

 とぼけたって無駄。

 どうすんの?

 どうするつもりなの?』




『そんな君が想像してるようなことじゃないし、きっと興信所の報告書、

オオバーに盛ってある気がする。

 ただの気晴らしでやらかしちゃった浮気だよ。

 ただの浮気なんだしぃ……。

 もう絶対しないから、約束する。

 だからそんな冷たい言葉の羅列は止めて? 』




 吐いたよ、浮気はしてないって言ってた夫が浮気を認めた。

 ヤッター!!!



 もう止める……

 言い訳のオンパレード……


ってことは、私にまだ気持ち残ってるってこと?


 疑心暗鬼になりながらも私は自分の都合のよいように

解釈しているだけじゃないのか?  と考えてもみたり。



 一方で、夫の浮気が本気じゃないなら私たちまだ

やり直せるのかもなんて、そんな風にも考え直したりして

メールの返事をした。



『じゃぁもう絶対相手とは接触しないでよ?』



『分かってるって……嫌な思いさせてごめん』


 殊勝な返信メールが返ってきた。






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