第10話 醒めない夢

10.


~深山康文と果歩の結婚生活 ⑦ 


     

問い詰める



 どうしようか。

 シラを切り通しそうな夫に対して、この後どうやって

問い詰めようか。


 どうすれば・・いい?



 クアラルンプールから帰国後、私は子育ても心在らずで

ずっとこの件に頭を悩ませ続けていた。




 そんな時、以前読んだ本の中に書かれていたことがぶわっと

いきなり閃いたのだった。


 著者も旦那さんに浮気をされたことがあり、それをコミックに

していた本だ。



 Kindle版を購入していた私は再度読み直してみた。

 そうだ、これだっ・・これでいこう。



 ひとまずの方向性を見出した。


 後はどれだけ女優になれるか・・なのだが、如何せん今のところ

Face to Faceで話すという状況ではなく、女優にならなくても

いいみたい。


 女優になるのは、次回に持ち越しだな。


 うえたあゆみさんの「カマかけたらクロでした」という

コミックエッセイにも書いてあったように私も盛大なカマを

かけてやろう。



 まぁカマったって、あれだけの証拠があるので

100%クロ認定の上でのことなんだけどね。




 シラを切るってことは、まだ私との離婚は考えてないって

ことだよね?


 だけども、カマをかけて夫が居直った場合のことも考えて

おかないといけない。



 これがまた私にとって難しい問題というか、決断というか。


 商社マンとして外国に赴任して1年もしないうちに・・

きっとあっちに行って半年も経たないうちっていうヤツだ。



 今になっていろいろネットサーフィンして知ったこと・・

特に東南アジアに赴任になると現地妻というか、あちらには

若くてぴちぴちした女性(子)が金蔓になる日本人男性を

モノにしようと手ぐすね引いて待ってるのだとか。



 自分と家族の生活がかかってるから、したたかにもなるし

男性側が本気になった場合、別れさすのは難しいらしい。


 私の思い描いていた総合商社・・

そしてそこに勤める若き戦士たち・・の姿・・は勇者で

素敵な企業戦士・・だった。



 TV番組プロ○ェッ○ョナルの中の彼らはまさしく素敵な

若き戦士だった。



 しかしながら負の闇の部分を就職時に知っていたなら

夫に商社は止めて欲しいとお願いしていたことだろう。



 赴任先での・・赴任期間限定の現地妻のことなど目を瞑って

しまえばいいのだろうか。

 私は器の小さな女なんだろうか?


 何度自問自答してみても、答えはNOだった。


 鷹揚に構えてなんかいられない。

 心の奥底を覗き込んだらすごいものが見えた。


 それは・・自爆テロもやぶさかではない、女の姿だった。





 

 

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