第9話 醒めない夢

9.☑

~深山康文と果歩の結婚生活 ⑥ ~

      問い詰める



 帰国した翌日、旅の疲れも取れ頭もすっきりクリーンに

なったところで異国の地にいる夫にメールを送った。



 日曜日だから、ちょうどよかった。

 それとも女と一緒でニャンニャンするのに忙しいだろうか! 


 ええい、ままよっ!



 メール投下。



『休日だけど、今何してる?

 いろいろと忙しい?


 私からの家族一緒にそちらで暮らす提案がこれといった

理由もなくあなたから一蹴されて、腑に落ちなくて……それで

あなたに会いに今回行ったんだけど……その理由が

分かっちゃったよぉ~? フフン~』



 さてさて、すぐに返信がくるだろうか。



 流石にまだ午前中だからか、思ったより早く返信があった。




『突然訪ねて来て俺を驚かせたと思ったら

今度は日本から訳ありなメールで俺を驚かせるんだ?

言ってる意味がわからん! マジわからんわ。何それ?』



『そうなの? 

 おかしいなぁ~。

 悲しすぐるぅ(´;ω;`)


 私は顔文字を付けて送信した。



『なんか、離れてるからいろいろ考えすぎるンだよ。

 前も言ったけど、暮れには帰るからね……絶対。

 だからあんまりあれこれ悩まないように! 』



 --


 悩まないように?

 ナヤマナイヨウニ?


 夫に浮気相手が出来て、それを知って悩まない妻がいたら

お目にかかりたいもんじゃ、いや(オチツクノヨ)……お目に

かかりたいもんだわ。



『現地妻……東南アジアに単身赴任する人って現地妻作るのは

よくあることなの? 』


 返信が止まった。

 そりゃあそうだ。



『ねぇ、あなたの周りに現地妻作ってトラブル起こしてる人

いないの? 』


『さぁ、どうだろう。

 まだこちらに赴任してきて1年も経ってないから』



『そっか、そうだよねぇ?

 自分のことでいっぱいいっぱいで人のことなんて興味もないよね?」



『なんか、変だよ?

 どうしちゃったんだ? 』



『変なのはあなたよ。

 知ってるのよ……わたし』



『なにを?』



『何だろう?』」



『押し問答したいの?  まさかね』



『あなた、浮気してるでしょ? 』



『してない』



『とぼけても無駄よ。

 証拠押さえてるからね。

 取りあえず、今の相手と別れてください』




『バカだなぁ。

 別れるもなにも、そんな相手いないんだから』



 別れて下さい、私はそうあなたにお願いしています。

 このこと、忘れないで。じゃあ』




『君の勘ぐり過ぎだから、落ち着いて』



 言われなくたって落ち着いてるわ……よ。

 たぶん。

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