Fの埋葬

第1話

風に膨らんだスカートの裾を

女の人は蝶に変えてしまう

甘い蜜を掻き集めるように

男の人の唇に止まり

門を叩けば中に入れてくれる

テレビドラマで良くある場面を

作り物だと信じていた頃

縫いぐるみの頬に口付けをして

一方的な愛情を注いだ

性というものを持った時から

私は蝶にはなれないと思う

女の人も男の人も皆んな

窓ガラスに指紋を残し

雨粒がそれを消して行くのを

待っているよりも拭いてあげよう

石ころを蹴飛ばしたまま歩いて

生身の人との関わり方が

体温を伝う事はなかった

細長い足でズボンを履いて

着なくなったスカートは可燃物

私は少年の日に帰るため

ボールペンにまたいで空を飛べる

※Femme＝女性