第9話
第9話〔黒いヒーロー登場!?〕
「超変身!!!!」
風見が叫ぶと、真っ赤な光が体を包み、中から仮面を被った赤い戦士が現れた。
風見は自分の体を見て、
「これが俺か?」
すると頭の中に何がいるような気がした。
『やあ、翔!やっと直接話せたね。』
「え!?お前トーカなのか?」
『そうだよ。今はこのTTユニットの中に居るんだ、そしてこのユニットを通して話しかけているんだよ。
このユニットは、君の体のすべての神経につながっている。そして人間本来の100%の力を発揮できるんだ。さらにこの赤いスーパースーツは、その100%の力を出しても体が耐えられるようにアシストしてくれるんだ。どうだ?体の痛みもないだろ?』
「ほんとだ、全然痛くない。これなら思いきりブッ飛ばせるな!
そういえば、声は友生のままなんだな。」
『最初に認識したのが友生の声だったからね。
君は、伝説の赤の戦士〔超蓮人TTT〕になったんだよ。』
「超蓮人TTT?へ~、伝説の赤の戦士か、わるくないな。よし!じゃあ行くぜ相棒!!」
そう言ったと同時に、風見は戦闘員の群れの中に突っ込んで行った。
その姿を見た憂樹は、
「なになに、風見のヤツ、ヒーローショーのバイトしてんの?しかも主役じゃない!今のうちにサインもらっておこうかな?
これ、まだ終わらないよね?あたし「タコ焼き」買ってくる。」
そう言い残し、憂樹はタコ焼きを買いに行った。
「あ~あ、行っちゃった…」
そんな2人見ていた清美は、
「ねえ、上地さん!今、神成さんが言ってた事は本当なの?」
「う…い、いや…あのね…」
返事に詰まる友生に、
「やっぱり神成さんが言ってた事はウソなんだ。だって、香もケガしてるし、風見くんも血が出てたから。それに、あんなに怒ってる風見くん、初めて見た…」
「う、うん。今、起きてる事は、全部ホントの事で、憂樹は何も知らないんだ。後でちゃんと説明するから、今はここから逃げなきゃ、香ちゃんの手当てもしないと。」
そのころ茂は、草村からの電話に出ていた。
「もしもし、今は電話してる場合じゃないんだけどな。」
茂は戦闘員と戦いながら、隙を見ては草村と話していた。
「ところで、ジョーカーのヤツ変身したぞ。」
「ああ、防犯カメラで見ていた。お前が持ってる黒い箱も、元は風見の持ってる箱と同じなんだから、お前も変身出来るんじゃないか?」
「え?俺も変身出来るのか!?」
「とりあえず、風見と同じ事をやってみろ!」
その言葉を聞いた茂は、戦闘員をかわしながら、一段高い場所に飛び移った。
そして携帯をポケットに入れ、反対のポケットから、黒い箱を取り出し、その箱をお腹に当ててみた。するとユニットから出たベルトが一周し、変身ベルトになった。
その姿が目に入った風見は、
「何!アイツも変身出来るのか!?」
戦闘員達も、ただでさえ手強い戦士が、もう1人増えるのではないかと思い、一斉に注目をした。
憂樹も「タコ焼き」を食べるのを止め、茂を見た。
そして、その場に居た全員の視線が茂に集中し、一瞬静まり返った。
そんな注目の中、茂が叫んだ!」
「超変身!!!!…」
しかし、何も起きなかった。
茂は声が小さいと思い、さっきより大声で叫んだ!
「超~!変身!!!!……」
やっぱり何も起きなかった。
すると、それを見ていた風見と戦闘員達は、何事もなかったかのように、戦いを再開した。
そして憂樹も、何事もなかったように、タコ焼きを食べ始めた。
茂は、すぐに建物の陰に身を潜め、草村に電話をした。
「お、おい育!変身出来ないじゃないか!それにけっこう恥ずかしかったぞ…」
「おっかしいな?おしい所まで行ってたんだが、なんだろうな?何がが違うんだろうな。」
その時、茂の頭の中に、友生の声が響いた。
『茂!ワードが違うんだ!ユニットに書いてる文字を叫ぶんだ!』
「ワード?あれ?この声さっきの女のコ?ユニットに書いてる文字って?
何か書いてあるのか?」
「どうした茂!何かあったのか?箱に書いてる文字って何だ?」
茂の突然の独り言に違和感を覚えた草村は、茂に訊ねた。
「今、誰かに頭の中に直接話しかけられたみたいなんだ。」
ピンと来た草村は、
「その声の言う通りにしろ、お前も変身出来るぞ!」
「よ、よし!やってみる!箱の文字だな?」
茂はユニットをよ~く見た。すると漢字の「絶」が浮かび上がっていた。
「これは…絶(ぜつ)でいいのか?」
茂は気を取り直し、さっきと同じ場所で構えた。
しかし、誰にも気に止められず、戦闘が繰り広げられていた。
もちろん、憂樹も友生や清美としゃべりながら、「タコ焼き」を食べていた。
「ふ~~…」
茂は息を整え、叫んだ。
「絶!!変身!!!!」
すると今度は、黒い霧のような物が体を包み込み、茂の体は一瞬見えなくなった。そして霧が無くなると、そこには真っ黒のスーパースーツに包まれた戦士が立っていた。
そしてベルトには、ローマ字で「BORENO」と書かれてあった。
「やったぞ!変身できた!!へへ、見てろ全員ブッ飛ばしてやる!」
「お~!ちゃんと変身出来たじゃないか。」
どこからか草村の声が聞こえて来た。
「あれ?育?なんで聞こえるんだ?」
「たぶん、そのベルトのせいだろうな、私の携帯声を認識して聞かせているんだと思う、もともとその箱も私が改造したものだしな。詳しい事は、帰ってから話す。とりあえず、がんばれ!」
茂は、ひとっ飛びで、風見の隣に行った。
「待たせたなジョーカー、またお前とヒーローごっこが出来るとは思わなかったぜ!」
「だから、その呼び方は止めろって、恥ずかしいだろ。
ヒーローごっこか、懐かしいな。まあ、今回はごっこじゃないけどな。」
「いつもどちらが悪役するかケンカしてたもんな。」
「ああ、でも今回は、悪役には困らないな。」
「じゃあ、とっとと終わらせて一緒に飯でも食うか。」
するといきなり草村の声が聞こえた。
「おい、お前ら、喋ってばりいないで、さっさと終わらせて帰って来い、あと、牛串を忘れるなよ。」
「あ、ああ、わかった。 」
『あ、僕も君には興味がある、ボレノ君。』
「トーカまで…じゃあ、やっちまうか!」
そして背中合わせになった2人は、お互い真正面の戦闘員に向かって、突っ込んだ。
「うおおおお~~~!!
「おりゃ~~~!!」
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