第2話 newgame

むかしむかし、ある少年がおりました。その少年は最愛の妹を強盗に殺され、その強盗を……いえ、強盗の関わった全ての人間を恨みました。

その少年はある誓いをたてました。自分が変わらないように、自分を失わないように、誓いをたてました。

その誓いは───────


2016年9月18日午後19時25分


少年はある男を殺しにきた。その男とは、ある会社の社長。その会社は大手金融企業の本社の社長。そして、強盗に金を貸した張本人。だから殺す。

そして少年はその男の目の前にはたっている。

手に持ったナイフを男に突きつける。そして問いかける。何故、あの男達に金を貸したのか、そしてこの会社の繋がりはどのまであるのかを問いかける。

だが男は答えない。恐怖もなにもないような笑顔を浮かべてヘラヘラと笑っている。少年にはそれが誓いを貶しているように見えた。だから少年は問いかけを止めた。そして、男に刃を突き刺した。

男は自らに突き刺さったナイフをみて、叫び声をあげる。少年は男に三度ナイフを突き刺し心底嬉しそうな笑顔をして笑っている。また終わりに近づいたと、あと少しでまたお前に会えると。そう思いながら笑っている。



むかしむかし、ある少女がおりました。少女は自分を愛した人達が────


少女は別れを見つめている。ここ数週間、連続で少女の関係者が殺されている。自分が笑顔で始まりを迎えようとしているのに周りから人が消えていく。しかし、少女にはまだ希望があった。この光が包むこの部屋で少女の頭を撫でる。人形の様に虚ろな目をしている兄が希望だった。そして少女は誓いを確かめる。忘れてしまわないように。失ってしまわないように。そうやって誓いを確かめながら少女は希望と終わりの中を揺れ動く。  


────カチリ、カチリ、カチリ、ガチリ

────時計の針は確め始める。自らの進みが確かであることを


────それが運命であることを



────壊れていく時の中で淡々と調べ続ける


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無題終末 楠木黒猫きな粉 @sepuroeleven

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