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「ナギ、気持ちは有り難いが、俺達だけが脱獄することは出来ない」


「タカ、彼女に逢いたいんだろう。彼女のことが好きなんだろう。彼女は僕と同じ、チャーミングなんだよ。地球の男が放っておかないよ。それに、ナイトが傍にいるんだ。ナイトはイケメンだし、彼女のことが好きなんだ。それに彼女は『異世界ファンタジー』のナイトの大ファンだった。みすみす彼女をナイトに取られてもいいの?」


「……それは」


「セガはタカの護衛だ。一緒に逃げて」


『おい、俺は護衛かよ』


 カマキリがナギの耳元でパタパタと飛び回る。


『ていうか、ナギがいなければ俺達元に戻れねーじゃん』


「窓から外に出たら、元の姿に戻してあげる。タカもセガも人族なんだ。先祖は地球人、地球に戻る権利はある。さあ、早く行って」


 ナギがスティックを一振りすると、俺の姿はカブトムシに変わった。


『……っ、何でタカがカブトムシで俺がカマキリなんだよ!』


「このスティックが、二人に最も相応しい虫に変えただけだよ。僕の意思じゃない」


『ちえっ、カマキリって、何だよ』


 ブツブツ不満を言うセガに、ナギは笑っている。俺達は牢の中を自由に飛び高窓から外に出る。ナギはスティックを振り、俺達を元の姿に戻した。


「タカ、セガ、元気で……」


「ナギ、お前も必ず地球に来いよ。俺達、待ってるからな!」


「ありがとう。タカ、ナイトと仲直りしてね。僕達は仲間なんだから」


「……わかった。ナイトと話し合うつもりだ」


「タカ、草むらに虫がいるだろう。何でもいいから、虫を捕まえて牢に投げ入れて」


「虫?ナギ、まさか、食うのか?」


 セガの言葉にナギがプルプルと首を左右に振る。


「やだな。違うよ。二人のダミーにするのさ」


「俺達のダミー!?」


 俺は草むらにいる殿様バッタを捕まえ、セガは石の下に身を潜めるダンゴムシを掴む。


「それにそれぞれの息を吹きかけて、牢に投げ入れて」


「わかった」


 






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