123
「ナギ、気持ちは有り難いが、俺達だけが脱獄することは出来ない」
「タカ、彼女に逢いたいんだろう。彼女のことが好きなんだろう。彼女は僕と同じ、チャーミングなんだよ。地球の男が放っておかないよ。それに、ナイトが傍にいるんだ。ナイトはイケメンだし、彼女のことが好きなんだ。それに彼女は『異世界ファンタジー』のナイトの大ファンだった。みすみす彼女をナイトに取られてもいいの?」
「……それは」
「セガはタカの護衛だ。一緒に逃げて」
『おい、俺は護衛かよ』
カマキリがナギの耳元でパタパタと飛び回る。
『ていうか、ナギがいなければ俺達元に戻れねーじゃん』
「窓から外に出たら、元の姿に戻してあげる。タカもセガも人族なんだ。先祖は地球人、地球に戻る権利はある。さあ、早く行って」
ナギがスティックを一振りすると、俺の姿はカブトムシに変わった。
『……っ、何でタカがカブトムシで俺がカマキリなんだよ!』
「このスティックが、二人に最も相応しい虫に変えただけだよ。僕の意思じゃない」
『ちえっ、カマキリって、何だよ』
ブツブツ不満を言うセガに、ナギは笑っている。俺達は牢の中を自由に飛び高窓から外に出る。ナギはスティックを振り、俺達を元の姿に戻した。
「タカ、セガ、元気で……」
「ナギ、お前も必ず地球に来いよ。俺達、待ってるからな!」
「ありがとう。タカ、ナイトと仲直りしてね。僕達は仲間なんだから」
「……わかった。ナイトと話し合うつもりだ」
「タカ、草むらに虫がいるだろう。何でもいいから、虫を捕まえて牢に投げ入れて」
「虫?ナギ、まさか、食うのか?」
セガの言葉にナギがプルプルと首を左右に振る。
「やだな。違うよ。二人のダミーにするのさ」
「俺達のダミー!?」
俺は草むらにいる殿様バッタを捕まえ、セガは石の下に身を潜めるダンゴムシを掴む。
「それにそれぞれの息を吹きかけて、牢に投げ入れて」
「わかった」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます