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―ホワイトメイディ城―
俺達は国家警察に捕らえられる。
「離せ!この御方を誰だと思っているんだ!タカ王子に手を掛けていいと思ってんのかよ!」
セガは後ろ手にされ、警察官に歯向かう。
「国王陛下より、タカ王子を捕らえるようにとのご命令がありました!どうか抵抗するのはお止め下さい」
「俺の名はセガ。母は国王陛下の実妹で、クロサワ公爵夫人だ。ナギはエルフ王の第一王子!王族にこのような振る舞いをして、ただですむと思うなよ!」
騒いでいると、背後から野太い声がした。
「セガ、王族でありながらその振る舞いはなんだ。恥を知れ」
「国王陛下!」
警察官は俺から離れ、国王に最敬礼した。
「タカ王子、第二王子たるもの、執事に
国王は語気を強め、威圧的な態度で俺を睨みつける。
「国王陛下、お言葉ですが、俺達はナイトに誑かされたわけではありません。自分達の音楽を広めたくて、地球に行ったんです。国王陛下も俺もこの体には地球人の血が流れている。五百年前、確かにこの王国は戦乱の世だったかもしれない。だけど、もうそろそろ獣族にこの王国を返還してもよいのではありませんか?」
「何だと。この王国が平和であり続けられたのは、人族が王国に君臨しているからだ。獣族に実権を渡せば、また戦乱の世に逆戻りだ。この平和な王国に何万もの血が流れることになるだろう」
「果たしてそうでしょうか。獣族も人族からたくさんのことを学んだはずです。俺は国王陛下自ら、その地位を獣族に返還し、人族は地球に帰還するべきだと思っています」
「そのようなことが簡単に出来ると思うのか」
「この王国に相応しい国王を、国民が決めればいい。ナイトは獣族の王の血を引いている。獣族に王位を奪われることを恐れ、ナイトに罪を被せ魔術を掛け、ナイトの両親や親族を投獄したのではありませんか」
国王陛下を批難するなんて、たとえ第二王子でも許されるはずはない。だけど、国王陛下の思惑が透けて見え、実の父親だからこそ、その姑息な手段が許せなかった。
「国王陛下、いや……お父様。俺は地球に行ってよくわかったんだ。俺達の居場所はこの王国じゃない。地球なんだよ。お父様だって本当はそう思っているんだろう」
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