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 国王は全ての責任を、獣族であるナイトに負わせ、ナイトの両親や親族を投獄し、ナイトに魔術を掛けたが、ナイトは追っ手から逃げ延びた。


 ナイトは自分の家族を捕らえた国王に強い反感を抱いた。即ち、王族である俺やセガにも反発し行方をくらました。


 俺はナギにそっくりな地球人を捜すことに、セガと二年を費やした。


 ――そしてセガは……原宿で偶然優香を見つけた。ナンパには失敗したが、優香を密かに尾行し、優香の行動パターンを調べ、スポーツクラブに通っていることを突き止めた。俺は優香に近付くために、スポーツクラブに入会した。


 当初は、ナギの魔術を解くために優香に近付いた。それは否定しない。

 だが、ナギの魔術が解けたら、俺達が逢う理由はなくなる。


 そう思うと無性に寂しくて、自分が優香に特別な感情を抱いていることに気付く。


 優香をナギに逢わせるタイミングを謀りながら、優香との時間を失いたくはなかった。


 優香と……離れ離れになることが寂しかったんだ。


 ――恵法大学附属病院で中原と偶然逢うまで、全ては順調だった。


 結果的に、中原がナギと優香を逢わせてくれたことで、ナギに掛けられていた魔術が解けた。


 ――でも、それは誤算だった。


 ナギの目覚めは、俺達の別れを意味している。俺はもう……引き返せないほど、優香のことを好きになってしまっていた。


 でも、優香を俺達の争いに巻き込むことは出来ない。


 だから……

 ナギが恋人だと、嘘をついた。



 正直、キャンプ場でナイトに再会した時は驚いた。ナイトが俺より先に、優香を見つけ一緒に暮らしているとは思わなかったからだ。


 ナイトは俺の顔を見るなり、怒りを露わにした。俺にはナイトの姿も声も聞こえていたが、地球人の手前、聞こえない振りをした。


 ナイトは俺達のことなんか忘れてしまったように、すっかり地球に馴染んでいた。


 ナイトのことだ。彼女に拾ってもらえるように、何らかの秘策を考えたに違いない。


 アイツは狡賢い男だ。

 それくらいやりかねない。


 でも一緒に暮らすうちに、優香に恋愛感情を抱いた……。だから、帰還することを拒んだのか?


 そんなはずはない。

 ナイトが優香に恋をしたとしても、人間の優香にはにしか見えないはずだから。

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