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「私もだよ。ずっと、美子と仲直りしたかった」
「私達、就職してもずっと友達だよね。恵太の事はもういいんだ。恵太は私にとって、大切な友達だもん……。一生、親友だから」
「美子……」
『恵太は友達だ』と言い切り、気丈に笑う美子に、胸が締め付けられた。本当はまだ恵太のことが好きだってこと、鈍感な私にもわかってる。
「美子、せっかくカラオケに来たんだから歌おうよ!いつものやつ、派手に歌っちゃおう!」
「うん……そうだね」
私達はいつものナンバーを選曲し、次々と入力する。マイクを握り、踊りながら歌いまくった。
テンポのいいロックや、人気アイドルグループの曲。切ない曲は美子と二人で、泣きながら歌った。
恵太の話は、それ以上話せなかった。
美子を傷付けたくなかったから。
恵太と私の間に恋愛感情がないことを伝え、矢吹君と付き合っていることを正直に話した。
「キャンプの時……本当にキスしたの?」
「……うん」
「え――!?あれ、本当だったんだ」
美子が奇声を上げた。
涙がぶっ飛ぶくらい驚いている。
「ファーストキスって……どんな感じだった?」
「……ドキドキしていたから、よく覚えてないけど、幸せだった……」
「優香に先を越されるとは思わなかったな。優香は矢吹君のことが本当に好きなんだね。恵太も失恋したんだ……。私ね、優香が恵太のことを好きなら、それでもいいと思ってた。大好きな恵太と大好きな優香が付き合うなら、友達だもの、一番の応援団にならないとって……」
美子……
そこまで思ってくれてたんだね。
「……私も恵太のことは好きだけど、それは友達としての好きで、矢吹君とは……違うんだ」
「……そうだね。ごめん、変なヤキモチ妬いて……」
「私こそ、優柔不断で……ごめん」
美子と仲直り出来た。
その勇気をくれたのは、飼い猫のかめなしさんだった。
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