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そのあとを、琴美、真砂美の車が続き、私はポツンと取り残され、矢吹君を見つめた。
「遅刻したから、みんな怒ってるのかな?上原ごめんな」
違うよ……
そうじゃない。
「私が矢吹君と付き合っているって。嘘をついたから……」
「だったら、嘘でなくせばいいんじゃない?」
えっ……?
どういう……意味?
「俺は上原とちゃんと付き合いたいと思ってる。ダメかな」
「……や、や、や、矢吹君!?」
「上原が、まだ友達でいたいと言っても、もう友達ではいられない」
「……わ、わ、わ、私」
「好きなんだ。初めて逢った時から。一目惚れって、こんな気持ちをいうのかな」
ストレートに告白され、その言葉がスーッと心に浸透していく。
「……私も矢吹君のことが」
好きという気持ちは、まだ朧気でハッキリしているわけではない。友達として好きなのか、異性として好きなのか、その感情すらも自分で掴めていない。
矢吹君は、困っている私の頭をポンッと叩いた。
「ごめん。そんな顔しないで。俺達も行こうか」
「……うん」
矢吹君は助手席のドアを開けた。ポルシェに乗るなんて初めての体験で、ドキドキする。
「矢吹君、これレンタカーなの?」
「あはは、違うよ。自分で買ったんだよ」
「……じ、自分で!?……凄いね」
矢吹君はセレブなのかな。
この若さでポルシェを自分で買うなんて、一般的には考えられない。
「矢吹君は海外の大学を卒業したんだよね?」
「海外留学が長かったから帰国子女だとよく言われるけど、実は三年前から日本にいるんだよ。最終学歴は北海道の大学なんだ。父は俺が日本に戻ることは反対したんだ。『おとなしくしてろ』ということなんだろう」
矢吹君はお父さんとうまくいってないのかな?三年前から日本にいたんだ。
立ち入ったことを聞いてしまい、会話が途切れる。
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