43

 ――待ちに待った土曜日――


 マルチメゾンワールド高校の前で待ち合わせた私達は、みんなが揃うのを待つ。


 琴美はすでに来ていて、運転席にはサングラスを掛けた逞しい男性。誰だろうと、マジマジと目を凝らして見るが、野球に疎い私には彼がどの球団の選手なのか、見当もつかない。

 徒歩で現れた片桐かたぎりひろこと琴美はキャッキャッと手を取り合う。


「久しぶり!元気だった?どこに内定決まったの?」


「私はソマリアデパート、琴美は?」


「私はドレミ幼稚園」


 みんなは挨拶代わりに、就職先を言い合っている。私と恵太はまだ決まっていないため、答えることが出来ない。


「琴美、彼紹介してよ。プロ野球選手なんだよね?」


「マスコミに撮られても困るし、キャンプ場についたら紹介するよ」


 マスコミか……

 聞いてるだけで、ドキドキする。


 凄いな。

 どこで知り合ったんだろう。


 白い軽自動車で現れた洋子と恵。

 黒いワゴン車の平真砂美たいらまさみは、家族みんなで参加だ。


「恵太!久しぶり!」


「おう!宏一こういち!カンジ!元気かよ!」


 恵太は相津宏一あいづこういち伊藤いとうカンジと再開し、嬉しそうに頬を緩めた。


「これで全員集合だよな?車がないのはひろこと宏一とカンジだよな。どうする?俺の車、あと二人乗れるし。洋子の車も二人OKだろ。じゃんけんする?」


「じゃんけんしなくても。ひろこは私の車に乗せるから、宏一とカンジは恵太の車でいいんじゃない?」


 洋子の一言でアッサリ決定するが、まだ矢吹君が来ていない。


 学校の場所がわからなかったのかな?

 携帯電話を気にする私に、恵太が気付く。


「優香、どうしたんだよ。乗れよ」


「……待って。あと……一人」


「あと一人?誰だよ?まさか顧問だったタコ先生?」


 元顧問は凧三四郎たこさんしろう先生。でも、来るのはタコ先生じゃない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます