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 美子は私から視線を逸らした。


 恵太と上手くいってないのかな。

 私まで緊張する。


 明日のキャンプで、恵太と美子を仲直りさせないと。


「あっ、いたいた。優香、昨日あれから矢吹君と逢ってないよね?」


 洋子に話し掛けられ、思わず首を左右に振る。


「逢ってないよ。用事を思い出し、本屋にも行かず真っ直ぐ帰ったから」


「なんだ、そうだったんだ。矢吹君の言ったこと本当だったみたいね」


「……それどういう意味?」


「昨日、優香が帰ったあと、矢吹君もすぐに席を立ったから。もしかしたら、優香を追い掛けたんじゃないかって、恵と話してたんだ。けど、さっき矢吹君に確認したら、違うっていうからさ」


 矢吹君……

 あれからすぐにカフェを出たんだ。


「私達、四月から社会人だし。スポーツクラブも夜じゃないと来れないし。矢吹君も就職決まってるのかな?私達と同じ歳だよね?優香、何か聞いてない?」


 矢吹君の就職先、聞いてなかった。

 そんな話に、全然ならないし。


 スポーツクラブの時間変更なんて、考えたこともなかった。


 みんな夜の時間帯に変更するか、辞めちゃうんだろうな。矢吹君も、変更するのかな。


 明日のこと、まだ話してない。

 車、どうなったんだろう。


 あと一台、誰が出すのかな。


 「車、私出すから。就職祝いにパパが新車買ってくれたんだ。軽自動車だけど、初ドライブだよ。優香、乗る?」


 初ドライブ……か。

 それはそれで、ちょっと怖いかも。


「私は……。恵太が車出せるみたいだし」


「そうなんだ。楽しみだね」


「……うん」


 その日、いつものように時間を過ごし、スイミングのあとは三人でキャンプの買い物をし、購入した品は恵太の家に配達してもらうことにした。


 ――夜、矢吹君からメールが入る。


【明日、オートキャンプだよね。俺、車出すから】


【いいの?】


【うん。上原と二人で乗りたいからさ】


 わ、私と……二人で!?


 車の台数は、足りている。

 でも、鼓動がトクトクとスキップし、NOとは言えなかった。


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