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 スポーツクラブまで自転車を走らせる。


「優香、スポーツクラブのあとキャンプの買い出しだからね。琴美から、飲み物とアルコール類、おつまみとお菓子宜しくってメールきたよ」


「うん。わかってる」


「琴美の今カレ、楽しみだね。野球選手なんだって」


「……ま、まじで」


「有名選手なのかな?誰だろう。ドキドキするね」


「……う、うん。楽しみだね」


 みんなに逢えるのは楽しみだけど。

 矢吹君が参加すること、恵太に内緒にしているから、心苦しいな。


 恵太の反応が一番怖い。



 ―ワンダフルスポーツクラブ―


「あっ、優香、美子」


 駐輪場に自転車を止めていると、スポーツクラブの入口で洋子が手を振った。洋子の隣には、矢吹君がいる。


 どうして矢吹君が……。

 二人で一緒に来たのかな?


「矢吹のやつ、洋子ともよろしくやってんのかよ。優香、あいつはそういう奴なんだよ。わかったか」


 なによ。

 偉そうに。


「わかってます。美子、行こう」


「……う、うん」


 矢吹君と洋子。

 笑顔で話してる。


 どうして笑顔なの。

 洋子が矢吹君の特別になったのなら、そう言ってくれればいいのに。


 二人の横をスルーした私。

 逃げるように、スイミングの更衣室に飛び込む。

 

 美子が心配そうに私を見つめた。


「……優香、明日大丈夫?」


「へ、平気、平気。全然平気。私と矢吹君は友達だから。洋子と矢吹君も友達なんだよ」


「優香、友達でいいの?」


「美子こそ、友達でいいの?」


「私は……もういいんだ」


「もういいって……?」


 


 

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