41
スポーツクラブまで自転車を走らせる。
「優香、スポーツクラブのあとキャンプの買い出しだからね。琴美から、飲み物とアルコール類、おつまみとお菓子宜しくってメールきたよ」
「うん。わかってる」
「琴美の今カレ、楽しみだね。野球選手なんだって」
「……ま、まじで」
「有名選手なのかな?誰だろう。ドキドキするね」
「……う、うん。楽しみだね」
みんなに逢えるのは楽しみだけど。
矢吹君が参加すること、恵太に内緒にしているから、心苦しいな。
恵太の反応が一番怖い。
◇
―ワンダフルスポーツクラブ―
「あっ、優香、美子」
駐輪場に自転車を止めていると、スポーツクラブの入口で洋子が手を振った。洋子の隣には、矢吹君がいる。
どうして矢吹君が……。
二人で一緒に来たのかな?
「矢吹のやつ、洋子ともよろしくやってんのかよ。優香、あいつはそういう奴なんだよ。わかったか」
なによ。
偉そうに。
「わかってます。美子、行こう」
「……う、うん」
矢吹君と洋子。
笑顔で話してる。
どうして笑顔なの。
洋子が矢吹君の特別になったのなら、そう言ってくれればいいのに。
二人の横をスルーした私。
逃げるように、スイミングの更衣室に飛び込む。
美子が心配そうに私を見つめた。
「……優香、明日大丈夫?」
「へ、平気、平気。全然平気。私と矢吹君は友達だから。洋子と矢吹君も友達なんだよ」
「優香、友達でいいの?」
「美子こそ、友達でいいの?」
「私は……もういいんだ」
「もういいって……?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます