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いつものように、平泳ぎ、クロール、背泳と自由に泳ぐ。気になるのは二階のジムだ。恵太が余計なことを言わなければいいけど。
途中休憩を挟みながら、一時間泳ぐ。
スイミングのあと、携帯電話を確認すると、矢吹君からメールが入っていた。
【わかった。中原には黙っておくよ。今日、二人で少し話せるかな?この間のカフェで待ってる。】
えっ……?
二人だけで……?
スポーツクラブは自転車で通っている。
美子には本当のことを言えたとしても、恵太には言えないよ。
どうしよう……。
「優香、誰から?」
美子にメールを見せる。
「カフェに行きたいんでしょう。わかった。恵太は私が何とかする」
「いいの?」
「優香の恋、応援したいから」
「……美子」
「洋子や恵が来る前に、早く行きなさい」
まだ完全に乾いていない髪のまま、更衣室を飛び出し、恵太がいないことを確認し、隣接するカフェに飛び込み、抹茶ラテを頼む。
しまった。
自転車は駐輪場に置いたままだ。
……大丈夫かな。
カフェの一番奥の席に座り、メニューで顔を隠し駐輪場を観察する。
スポーツクラブから美子と恵太が出てきた。恵太は私の自転車を見つけ、美子に何か言っている。
恵太がカフェに視線を向けた。
思わず、テーブルの下に隠れる。
暫くして、恵太と美子が自転車に跨がり、二人で走り去った。
美子がどんな嘘を吐いて、恵太を納得させたのかわからないけど、取り敢えず一安心だ。
数分後、スポーツクラブから矢吹君が出てきた。今日はスポーツブランドの黒いシャツに、ベージュのパンツ。どこにでもあるファッションなのに、矢吹君が着るとまるでモデルみたい。
それに比べ、今日の私はブルーのTシャツにブルージーンズ。かなりダサい。
矢吹君は入店すると私を見てにっこり笑った。カウンターでアイスコーヒーを頼み、そのまま席に近づく。
「ごめん。待った?中原が帰るまで、様子見てたら遅くなった」
「ぜ、全然待ってないよ。今、来たところ」
緊張してストローをくわえると、ズズッと音が鳴った。矢吹君を待ってる間に、抹茶ラテは飲み干してしまったのだ。
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