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『友達とどんな話していたの?』


「……毎年、理科部の仲間とキャンプするの。みんなもうすぐ就職だし、来週の土日にキャンプに行こうって」


『キャンプか、いいね。俺も行きたいな』


「……えっ?」


『ダメかな?』


 矢吹君は同じ高校じゃない。

 でも、去年、幹事の京野琴美は、彼氏と一緒に参加した。


 十八歳で結婚した平真砂美たいらまさみは、旦那さんと二人の子供と一緒に参加した。


【結婚しても、家族が出来ても、毎年逢おう】これが元理科部の合言葉。


 だから、マルメゾンワールド高校の卒業生でなくても、参加は可能だ。


 矢吹君の参加に反対するものは、ただ一人。恵太……。


 でも、幹事の琴美の許可があれば、不可能ではない。


「ダメじゃないと思うけど……。幹事には知らせないと……。本当に行きたい?恵太や美子も一緒だよ」


『行きたい。俺の知らない上原のこと、たくさん聞きたいし』


「……だったら、幹事に聞いてみるね。ダメだったらごめん。またメールする」


『わかった』


「矢吹君、他に何か話があったんじゃないの?」


『上原におやすみが言いたかっただけだよ。おやすみ』


「……お、おやすみなさい」


 電話を切ると、胸がキューンと音を鳴らす。


 私に『おやすみが言いたかっただけ』だなんて……。


 枕を抱き締め、思わずニヤケる。


「きゃは、そんなぁ」


『お前、何やってんの?』


「……っ、い、いつの間に部屋に入ったの!?いつから、そこにいたのよ!?」


『ずっといたけど。真っ赤な顔して、グニャグニャ体くねらせて、大鍋で茹でられている蛸みたいだな。新種のダンスか?』


「蛸で悪かったわね。人の電話を盗み聞きするなんて、サイテー」


 キュンキュンしていたハートが、かめなしさんの一言でぶち壊しだ。


『まさか……お前……浮気してるのか?』


「さっきから、お前お前って煩い。浮気って、意味わかんないし」


『人間なのに浮気の意味がわかんないのか?浮気とは恋人がいながら、他の異性に心や体を許すことだ』


 猫のくせに、イヤな感じ。


「恋人いないから、浮気にならないし」


『うわ、俺という恋人がいながら、よく言うよ。毎日キスやハグをする相手は、だろう。それとも、俺はキスフレか』


 完全に勘違いしている。

 それは、ペットだからだ。


 大体、キスフレってなに。

 友達にキスを許すなんて、論外だ。

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